日経平均6万円も夢ではない?2026年日本市場の相場・テーマ予測

240万円を元手に、デイトレードやスイングトレード、高配当株投資を駆使し、現在3億円以上の資産を保有する個人投資家のちょる子氏。マクロ経済の視点、そして、政治・経済など多角的なニュースから相場を読み解く明快な語り口で人気を博し、近頃、メディア出演、イベント登壇機会が増えている注目の投資家だ。そんな彼女に、2026年の投資テーマとその背景にある情勢について解説をお願いした。
構成/岩川悟 取材・文/吉田大悟 写真/塚原孝顕
「AIバブル崩壊の心配はない」と考える理由
——ちょる子さんは、毎年年初に年間のテーマを見据えて投資計画を立てるそうですが、2026年に想定しているテーマ株はどんなものですか?
ちょる子:まず、AI・半導体は引き続きのテーマとなるでしょう。AI需要からデータセンターの建設が増加し、データセンター向けの半導体需要も増しています。
「AIバブルが崩壊するのでは?」という不安の声も聞かれますが、仮にバブルだとしても崩壊はずっと先であるとわたしは考えています。バブルというのは実態以上に期待値が高まり高騰している状態を指すわけですが、AI関連産業は実態がないのではなく、まだ実態を形づくっている最中だからです。
日本国内でも人材不足の課題があり、例えば介護ロボットの開発などAIに解決してほしいことはたくさんありますよね。そうした研究開発や製品化がひと段落するまで、AI・半導体は長期的に続くテーマだと考えているのです。
ただし、DeepSeekショックのような事態やレアアースの供給問題など、一時的な下落局面の可能性は否定できませんし、2025年までのようにエヌビディア一強とは限らず覇権争いも起こり得ますから、波のある相場になるのではないでしょうか。
——確かに、2025年もAI・半導体はボラティリティが高かったですね。
ちょる子:わたしは昨年、半導体株の東京エレクトロンを最大で5,500株持っていたのですが、予想外の減収減益減配の業績下方修正が発表され、株価が下落し資産が大きく減少しましたが、救いだったのは、ちょうど8月に高配当株として持っていたJTが上方修正を出して、東京エレクトロンの下落分をカバーしてくれました。
半導体株に限らず、2025年は日経平均株価もボラティリティが高かったですし、2026年もトランプ大統領のアクションや地政学リスクといった不確定要素が多く、ボラティリティは高くなる可能性はあります。わたしも今年は過度にレバレッジを効かせた信用取引はデイトレードやスキャルピングと言った短期売買に留め、どのような相場になっても立ち回れるような分散投資を重視して取り組んでいこうと考えています。
2026年のテーマはAI・半導体、建設・不動産、銀行
——その他のセクターで、テーマとなり得るものは?
ちょる子:2026年に限らない長期的なテーマなのですが、建設と不動産、銀行などの内需関連セクターに注目しています。銀行を推す理由は、いうまでもなく利上げです。また、インフレ傾向にあるため、来年より今年のうちに設備投資をしようとする企業も多いことが見込まれ、資金調達の需要も高いと見ています。
2024年12月、30年ぶりに政策金利は0.75%へと引き上げられました。景気に対して大きく刺激も抑制もしない日本の中立金利の水準は1.2~1.5%といわれていますので、インフレ抑止のために1年に1段階ずつ長期的に引き上げていくのではないかと個人的に考えています。そのため、銀行は長期的なテーマになる見通しです。
建設業界は2025年の夏頃から業績が明確に好調です。世界的な建材費の高騰と人材不足にともなう人件費の高騰から、建設費への価格転嫁が進んでいます。
また、先のデータセンター需要も大きな後押しです。日本のデータセンターの市場規模は、情報通信白書(令和7年版)によれば2023年の2兆7,361億円から、2028年には5兆812億円に拡大すると見込まれていますし、国内の半導体工場の需要も高まっています。
建設も長期的なテーマですが、日本維新の会が推進する大阪都構想が前進すれば、さらに一段階伸び、投資家にとってはボーナスとなり得るでしょう。しかし、自民党との連立体制には不安もあるので、あくまでボーナスの可能性として捉え、過度な期待をしないようにしています。
——不動産はどうですか?都心部の投資マンションなどは、高騰し続けているのに需要が止まらない印象です。
ちょる子:不動産株については、事業内容をよく見ることがポイントです。都心のレジデンスやホテルなど、しっかりとした需要のある不動産を扱っていることが大切です。
また、2026年には不動産関連の規制が行われる可能性があります。例えば、外国人投資家による投機目的の購入や、短期転売に対する規制です。規制がどれほど影響するかは不透明ですが、様々な規制が報道されることで市場がネガティブに反応する可能性はあり得ます。ここは冷静になって、下落するようなら買いのチャンスと捉えたいですね。
——こうしたテーマを受けて、ちょる子さんが実際に買い進めている銘柄やおすすめがあれば教えてください。
ちょる子:基本、わたしはテーマの中心にいる時価総額1兆円以上の大型株をリストアップしておき、暴落時にポジションを取る逆張りを投資スタンスとしています。半導体株では東京エレクトロンやアドバンテストなど代表的な銘柄を押さえ、建築や銀行ではスーパーゼネコンやメガバンクがターゲットとなります。
スーパーゼネコンの代表5社はいずれも買いだと思いますが、個人的には半導体工場やデータセンターなど生産施設の建築に強い鹿島建設を推しています。また、メガバンク3行のなかでは、取得単価の低さで三菱UFJフィナンシャル・グループが買いやすいのでおすすめですね。
日経平均株価6万円のカギを握るのは政局安定
——高市政権の掲げる「重点投資対象17分野」など、2026年の株式市場の動向は政策に左右される面もあると思います。ちょる子さんはどのようにお考えですか?
ちょる子:もちろん注視はしていきますが……わたしは監視銘柄を絞り込むほうなので、正直なところ「重点投資対象17分野」については対象が広過ぎて、現状では追い切れないと感じています。
防衛分野のように、2025年のトランプ大統領就任からすでにテーマ化しているものはともかく、多くはまだ「高市総理が重点とした」だけです。今後、その時々で具体的に動き始める分野があるはずなので、その動向を見ながら考えていくつもりです。
それ以上に高市政権で注視しているのは、解散総選挙ですね。(2026年1月15日時点では)2月上旬に衆議院議員総選挙が実施される見込みですが、これまで少数与党であることがネックでしたから、高市総理の高い支持率を武器に解散総選挙を行い、政権基盤が安定する結果となるのであれば、さらに海外投資家の買いが集まることが予測されます。その場合、日経平均株価が6万円を超えていくのではないでしょうか。
——また、トランプ大統領の動向も日本市場に大きな影響を与えます。米国についてはいかがですか?
ちょる子:トランプ大統領の発言・行動で米中関係は緊張、米国市場ひいては日本を含む世界市場に影響を与えます。2026年1月3日には、まさかのベネズエラ攻撃を行い、今後はキューバ、イランへの対応も注視されています。
しかしながら、2026年に関していえば11月に中間選挙があります。これを乗り切るため、保護主義的なアメリカファーストは継続しながらも、米国市場に暴落をもたらすような対応は避けたいはずです。
また、FRBのパウエル議長の任期が2026年5月で満了します。常々、トランプ大統領はパウエル議長に「利下げに慎重過ぎる」と不満であったわけですから、後任は金融緩和路線となるでしょう。そのため、米国市場の値動きも悪くない一年になることを期待しています。ただ、そうはいってもインフレ次第でもあるため、CPI(消費者物価指数)は注視していく必要がありますね。
さらに、今年のトランプ大統領の政策で注目されているのは、「トランプ口座」です。7月に実施される「トランプ口座」は、今年1月1日以降に誕生したすべての米国市民の新生児に対して1,000ドル(約15.5万円)を拠出し、投資口座を開設する制度です。莫大な資金が米国市場に継続的に投下されることになるため、米国市場の値動きに影響を与えるはずです。
わたし自身も子育て中ですが、「トランプ口座」はかなりいい政策だと感じます。貧富の格差は、金融資産の有無によって長期的に広がっていきますから、金融資産そのものを平等に配ることで将来的な格差の是正につながると思うからです。日本でも日銀が100年がかりで保有ETFを売却するという話ですが、それなら子供たちに配布するというのもあってもいいと思いました。ともあれ、トランプ大統領の支持率に幅広い層で寄与するのではないでしょうか。
——米国市場は安定的、または上向きに推移することが期待できれば、日本市場にとってもそれは恩恵ですね。
ちょる子:懸念であった自動車部品関税についても、「米国で組み立てた自動車」であることを条件とした関税相殺制度が延長される見込みで、現地工場を持つトヨタ、ホンダには追い風でしょう。
日中関係については悩ましい面もありますが……高市総理とトランプ大統領の関係性も良好で、日本から80兆円の米国投資も決まっていますから、日米関係については大きな緊張なく進んでいくことを願います。
そうした日本の状況を、日本市場の売買の70%を占める海外投資家も見ているわけです。国内の政局が大きく変化しない限りは、2026年も海外投資は集まりやすい状況にあると考え、今年も攻めの投資をしていきたいと考えています。
ちょる子
父親の影響を受け、2011年に240万円から株主優待を目当てに株式投資をスタート。2019年から産休・育休をきっかけに、大型株のデイトレードを開始。職場復帰後の2022年までに資産1億円を達成し、以降は短期投資と高配当株投資に移行。2025年には資産3億円を突破した30代の兼業投資家であり、育児に励む2児の母親でもある。現在はPRやIR関連の仕事も手掛けながら、投資関連のメディアにも多数出演。
