これぞ人生を楽しむ投資。資産と喜びが増え続ける優待投資にある醍醐味

日本株投資の楽しみには、配当金や売却益を期待するだけでなく、企業から提供される商品やサービスを受け取れる株主優待がある。なかには、たとえ配当利回りが1%程度であっても優待利回りを合算すると5%を超えるような銘柄も珍しくなく、その恩恵の大きさは付加価値に過ぎないともいい切れない。約15年にわたり優待投資を実践し、YouTuberとして情報発信を続けるカブ主優待ライダー氏に、優待投資の魅力と実践方法を聞いた。
構成/岩川悟 取材・文/吉田大悟
※記事中の株価や優待内容などは、すべて2026年1月28日時点の情報です
優待投資との出会いとその魅力
——自己紹介も踏まえ、優待投資を始めたきっかけを教えてください。
カブ主優待ライダー:わたしが株式投資を始めたのは、リーマンショックから少し経った2010年頃のことです。きっかけは勤め先の同僚からのすすめで、当時、紳士服のはるやま商事の株主優待が「どのワイシャツでも1枚もらえる」という内容で、高いものだと1万円相当の商品も選べたのです。
リーマンショック後で株安でしたから、1株が300円から400円程度です。100株買っても3万円から4万円で、優待利回りが数十%にもなりますから、「こんなお得なことがあるのか!」と驚いたことを覚えています。その頃はなにせ株安でしたから、他にも優待を含めた利回りで10%を超えるような銘柄がゴロゴロしていて、そこから優待投資に興味を持ちました。
——現在ではそこまで高い優待利回りにはなりませんよね。それでも優待投資を続ける理由は?
カブ主優待ライダー:お金を増やすだけなら、インデックス投資や高配当株投資のほうが効率的かもしれません。しかし優待投資には、「人生を楽しみながら資産を増やせる」という独自の魅力があると思っています。株主優待とは、基本的に消費を前提とするものです。商品をもらって使ってみたり、クーポンで食事をしたり、イベント招待で外出のきっかけになったりするなど、資産にはなりませんが楽しい経験ができて、人生の充実につながります。
——資産形成の手段でありながら、「お金を使う機会」にもなるということですよね。
カブ主優待ライダー:近年、『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』(ダイヤモンド社)という本がベストセラーとなり大きな話題となりましたよね。資産を蓄えて経済的に豊かになるだけでは不十分であり、同時に消費して人生を豊かに生きなければならないことを謳った本です。その考え方を自然に実践できるのが、まさに優待投資だと考えています。
毎年届く優待品を通じて、新しい発見や喜びにつながる消費のきっかけが提供され、人生が楽しいものとなるのです。例えば、日々忙しいと出不精にもなるものですが、ホテルの優待クーポンをもらったことで「家族で旅行に行ってみるか」と思えるなら、それは株主優待が人生の喜びを後押ししているといえますよね。
いま、わたしは優待の権利が発生するもので100銘柄以上を保有しています。感覚的には毎日なにかが届いていて管理しきれない面もありますが……とても楽しいです(笑)。
銘柄選びのポイントとビギナーにおすすめの銘柄
——優待株の銘柄選びで重視しているポイントは、どのような点にありますか?
カブ主優待ライダー:もっとも大切なのは「自分が使える優待かどうか」です。いくら優待利回りが高くても、近所にないお店や行くことのないレジャーの優待では意味がないので、自分自身が無理なく利用できる食料品や日用品、レジャー関連の優待を中心に選んでいます。
関連して、優待の有効期限の管理も大切なポイントですね。せっかくもらった優待も、使わずに期限切れになってしまってはもったいないですから。
——その他にはなにかありますか?
カブ主優待ライダー:なるべく優待利回り4%以上を選ぶようにしていますが、利回りが高過ぎる銘柄には注意しましょう。自社の商品やサービス、それに使える金券など、企業が原価の支出で済んだり販促活動につながっていたりする優待なら3%から5%程度が妥当な水準です。一方、QUOカードなどのように、企業が額面通りに支出している優待では1%以下が目安でしょう。配当性向の考え方に近いのですが、それ以上は「出し過ぎ」と考えて、持続性の不安から敬遠しています。
まして、リーマンショックのような大暴落時は別として、通常時に優待利回りが10%を超えるような銘柄は、いずれ優待廃止や優待内容が改悪されるリスクが高いと思います。また、企業の安定性も見極める必要があるでしょう。業績が悪化すると優待が廃止されるリスクがあるため、持続的な経営ができる業績や財務状況、自己資本比率などもチェックしています。
——優待投資ビギナーにおすすめの銘柄を教えてください。
カブ主優待ライダー:最初におすすめする鉄板の銘柄は、NTTとソフトバンクです。現時点で株価が150円から250円程度ですから、仮に100株買っても1万5,000円から2万5,000円程度で、継続保有が必要ですが初心者にも買いやすいといえます。100株からNTTは「dポイント」、ソフトバンクは「PayPayマネー」がもらえるので、使い方に困らないことがおすすめの理由です。また、高配当株としても定番の銘柄です。
続いては、使いやすさと優待利回りの高さで、クリエイト・レストランツ・ホールディングスとヤマダホールディングスです。クリエイト・レストランツ・ホールディングスは「しゃぶ菜」や「磯丸水産」など全国展開の飲食店を運営しており、直近で株価は700円台です。100株7万円台の投資で、年間3,000円分の優待券をもらうことができますし、保有株数に応じて優待金額が増えていくのも魅力です。家電量販店のヤマダホールディングスも株価は500円台なので、100株5万円台の投資で年間1,500円分の優待券がもらえます。
——商品などを直接受け取れる優待では、どのようなおすすめ銘柄がありますか?
カブ主優待ライダー:優待を選べる楽しさがある点でいくと、ヤマハ発動機とTOKAIホールディングスを推します。ヤマハ発動機は100株で10万円から12万円程度は必要ですが、優待内容は100株以上300株未満、且つ、保有期間が1年以上3年未満の場合、1,000ポイントが付与され、同社の工場がある全国各地の名産品を選ぶカタログギフトになっています。バイクやボートに関する体験イベントもありますが、名産品ギフトがおすすめです。さらに、3年以上の保有で3,000ポイントに付与が拡大します。
また、エネルギー事業を軸に多角的な事業を展開するTOKAIホールディングスもいいですね。100株で11万円から12万円程度ですが、100株でQUOカード500円分、同社グループの食事券1,000円分、格安SIM「LIBMO」の割引券の他、宅配用の飲料水などから優待内容を選ぶことができ、それに加え、希望の株主には同社グループの結婚式場や飲食店での割引券ももらえ、多角企業ならではのサービスといえます。このほかにも、魅力的な優待株はたくさんありますから、ぜひ探してみてください。
株主優待は、いま盛り上がりを見せている
——最近の優待投資のトレンドはありますか?
カブ主優待ライダー:ここ数年で、株主優待のデジタル化が大きく進んでいます。紙の優待券ではなく、スマホアプリやURLで利用できる電子ギフトが増えてきました。また、「プレミアム優待倶楽部」のような株主優待の外部サービスを導入する企業も増加傾向です。これは、株主優待としてポイントが提供され、獲得ポイントの範囲で複数の選択肢から好きな商品を選べるサービスです。自分のライフスタイルに合わせて選べるので、とても使い勝手がいいですね。
さらに、長期保有優遇の傾向も強まっています。保有株数だけでなく保有期間によって優待内容を変える企業が増えていて、投資家の囲い込みを図る動きが活発化しています。関連して、保有株数の区分を細かく設定する企業も増加しています。以前は「100株以上」と「500株以上」だけだったのが、100株、300株、500株、1,000株と細分化されて、それぞれで優待内容がよくなっていく設計です。
また、コロナ禍で廃止された優待制度を復活させる事例も出てきています。くら寿司やJPホールディングスなどがその一例で、今後もかつての人気優待銘柄の復活が期待できます。これは「新NISA」の開始で個人投資家が増えたことと、企業側が株主の囲い込みを図りたい思惑が重なった結果だと思います。いま、まさに優待投資は盛り上がりを見せていると感じます。
——最後に、これから優待投資を始める個人投資家へメッセージをお願いします。
カブ主優待ライダー:先の通り、優待投資の一番の魅力は「投資を楽しめること」です。配当金や売却益の数字を見るだけでなく、実際に投資先企業の商品やサービスを受け取ることで、投資の実感が得られます。
インデックスの積み立て投資だけを行っている方も、自分がよく使うお店、好きな商品、サービスを提供している企業が優待制度を売りにしていたら、そこから個別株投資を始めてみてはいかがでしょうか。
もちろん、優待内容が変わることもありますし、株価が下がることだってあります。でも、目的は優待を楽しむことですから、売却をしない長期保有が前提です。そのことを踏まえていれば、あまり精神的にキリキリすることも少なく、投資を続けるモチベーションも維持しやすいはずです。長い目で見て、楽しみながら資産を増やせる。それが優待投資の本質だと考えています。
カブ主優待ライダー
岡山県在住。40代のサラリーマン投資家。投資歴=優待歴15年程度。YouTubeチャンネル「カブ主優待ライダー・株主優待」では、6年間ほぼ毎日、株主優待や高配当株投資を中心に情報を発信し続け、動画本数は2,000本以上、登録者数は8万人を超える(2026年2月9日時点)。名前の通り、スーパーカブをこよなく愛し、遠方でも愛車で出かけるライダーでもある。
