フルレバレッジの度胸と多角的リサーチで資産3億円超え。大型株で勝ち続ける投資術

2011年に240万円を元手に株式投資を開始し、育児休暇中のデイトレードで資産1億円を達成した個人投資家であるちょる子氏。その後、高配当株投資とスイングトレードにより、現在では3億円以上の資産を持つ。ときにフルレバレッジの信用取引も辞さぬ強気の投資スタンスと、それが蛮勇にはならないリサーチへの真摯な姿勢について話を聞いた。
構成/岩川悟 取材・文/吉田大悟 写真/塚原孝顕
3億円超の投資ポートフォリオ
——ちょる子さんは現在3億円以上の資産を保有し、高配当株投資とスイングトレードなどの短期投資を中心に株式投資をされているそうですね。大まかなポートフォリオを教えてください。
ちょる子:不動産やコモディティなどへの投資もあるのですが、株式だけに限っていえば(2025年12月時点)高配当株投資で1.5億円、短期投資の枠として1.6億円です。短期投資枠における現在のポジションは5,000万円で、余力(現金)として1.1億円あります。その他、NISAの「つみたて投資枠」が少しある感じですね。
どうしていまのような配分なのかといえば、わたしは年初に一年のテーマや値動きを予測して投資計画を立てるのですが、実は2025年の日経平均株価は低迷すると予測し、年末時点で3万6,000円くらいだろうと踏んでいました。そのため、11月頃を暴落のタイミングと見越し、秋頃に短期投資枠もインデックスも売却して現金化していたのです。
結果的には、高市政権誕生で日経平均株価は5万円を突破するなど大きく見込みが外れたので、短期投資の余力1.1億円は購入リストを立てて暴落待ちしています。
——すると、ちょる子さんの基本的な投資スタンスは暴落時の逆張り投資ということなのでしょうか?
ちょる子:そうですね。わたしは育児休暇中にデイトレードを行い、億り人を達成するなど大きく稼いでいたのです。しかし、AI insideというPER200倍もの急成長株に入れ込み過ぎてしまい……あるとき大暴落が起こり、1日にして2,400万円の大損失を被ったことがありました。
それから長期高配当株投資とスイングトレードに切り替えるにあたり、基本的には大型株を暴落時に買うというスタンスに切り替えました。なぜなら、大型優良株であれば暴落局面でも極端には下がりませんし、しっかり株価が戻ってくることを育児休暇中のデイトレードで何度も見てきたからです。
暴落しても、配当をしっかりと出してくれる高配当株銘柄は株価を徐々に戻していきます。また、株価の戻りが悪くとも配当利回りの高さで利益を得ることができます。また、スイングトレードにおいても、大型の値がさ株やテーマ株を暴落時に買って着実にリバウンドを取ることが基本スタンスです。ただ、信用取引も使って大きく投資することは変わりません。
——先の話にありましたが、インデックスファンドも売却しているというのは驚きました。
ちょる子:本来そういうものではないですものね。積み立て投資のドル・コスト平均法を否定するわけではないのですが、わたしはこれまでも暴落時に買い増し、回復したら売却ということを繰り返しています。これはもう性格なのですが……合理性のあるチャンスを目の前にすると、投資できるものには投資してしまうのです。実はAI insideで痛い目を見たあとも、海運株に信用取引も使って、大きく買い、上手くいったこともあります。
そんなこともあり、長期保有したいと思う高配当株はあえて対面証券に口座を移しています。スマホで簡単に取引できないようにすることで、自分の欲望から高配当株を守っているのです(笑)。
年初に構想するテーマの見定め方
——年初にテーマを予測するというお話がありました。どのように予測を立てるのですか?
ちょる子:各ニュース、業界ごとの足元の業績、産業サイクルなど、複合要素で総合的に判断しています。例えば、2025年のテーマは防衛株と銀行株、そして2024年の引き継ぎでAI・半導体と見ていました。
防衛株と銀行株の理由はシンプルです。防衛株は2024年11月にトランプ氏が大統領選挙に勝利し、各国に防衛費の引き上げを求めていました。銀行株は、日銀の政策金利の引き上げが要因です。
一方、AI・半導体は複合的な判断でした。2方向の成長要因を見ていて、ひとつはエヌビディアの業績拡大によるサプライチェーンの恩恵と市場の連動です。また、もうひとつは産業ごとの需要サイクルです。
スマホの買い替え需要は3年周期で高まり、パソコンの買い替え需要は7年周期で高まります。そのふたつの周期が2024年に被り半導体需要が高まったのですが、2025年も半導体メモリの価格が高騰していたことから、その流れが続く可能性が十分にあり得ました。さらに2025年10月にはWindows10のサポート終了があり、パソコンの買い替え需要が高まることも必然でした。
結果的には、AIの普及にともなう世界的なデータセンター建設の需要などから、エヌビディアが市場を牽引した要因が大きいと思いますが、多角的に見るようにしています。
——業界ごとの「足元の業績」というのは、例えばどういうケースですか?
ちょる子:年初のテーマ予測とは話がズレますが、例えば2025年夏の時点で建設業界の中間決算が好調で、売上も粗利率も大きく改善していました。つまり、これが足元の業績です。
建設業界が好調だった理由は、世界的な建材費の高騰と職人不足による人件費の上昇を価格転嫁しながらも、不動産の需要が旺盛だったことによるものです。また、急増するデータセンターや半導体工場の建設に対し、各種の助成金が打ち出されたことで採算性が改善したこともあるでしょう。
こうした足元の業績変化に対し、その要因をニュースや政策、経済指標、SNSで大勢を占めている意見などから裏付けることを習慣化しているのです。そうすることで、年初のテーマを考える際にも材料になります。建設業に関しては、2026年も重要なテーマのひとつといえるでしょう。
——SNSも情報源にしているのですね。
ちょる子:わたしは重視しています。例えば、ある銘柄で事業提携などのニュースがあったとき、SNSが大きく反応しているのであれば関心が高いのだとわかりますよね。しかし、なんらかの材料を出してもSNSでそれほど関心を持たれなくなったとしたら、それは「飽きられている」可能性があります。
実際にチャートを見てみると、好材料を出したはずなのに反応が鈍いとなれば、「この銘柄は潮目が変わったのだな」と判断します。
とても地道な作業なのですが、チャートと業績の変化要因をリサーチし続けることが大切だと思っています。とはいえ、なにも自分ひとりですべての情報を集めているわけではありません。毎日の値動きの要因を解説してくれるアナリストや、様々な視点を提供してくれる投資家はたくさんいますからね。
また、ニュースを追うためには日経新聞を読み、日経CNBCの番組もルーティンとして観ています。ニューヨーク市場や東京市場の値動きをわかりやすく確認できるからです。ただ、わたしも本業があって働いているので時間がなく、毎日1時間や2時間もリサーチしているわけではありません。大事なことは、短時間でも継続することです。市場の動きとニュースの連動性を把握し続けることで、「こういうニュースがあると市場はこう動くのだな」という経験値が貯まって、先々を予測する勘所が鍛えられます。
投資家のセンチメントから買いのタイミングを測る
——逆張りにおける買いのタイミングはどう考えていますか?
ちょる子:投資家のセンチメントを測るうえで、参考にしている指標がふたつあります。ひとつは、Fear & Greed Index(F&G指数)、もうひとつは日経平均ボラティリティー・インデックス(日経VI)です。
●Fear & Greed Index(F&G指数)
CNNが発表する、米国投資家の「恐怖(Fear)」と「欲望(Greed)」の感情を0~100の数値で表し、市場のムード(楽観的か悲観的か)を示す指標。数値が低いと恐怖が強く(売られ過ぎのサイン)、高いと欲望が強い(買われ過ぎのサイン)を示す。
<ムードのレベル>
100~75:EXTREME GREED(極端な貪欲)
75~55:GREED(貪欲)
55~45:NEUTRAL(中立)
45~25:FEAR(恐怖)
25~0:EXTREME FEAR(極端な恐怖)
●日経平均ボラティリティー・インデックス(日経VI)
投資家が日経平均株価の将来の変動をどのように想定しているかを表す指標。指数値が高いほど、投資家が今後、相場が大きく変動すると見込んでいることを意味する。日経平均先物および日経平均オプションの価格をもとに算出する。
世界経済は米国を中心に動いていますし、日本市場といっても売買の約7割は海外投資家によるものですから、その中心にいる米国投資家の心理を重視しています。F&G指数が25を下回る「EXTREME FEAR」にあることがひとつの基準で、20以下で押し目買いになりやすい傾向があります。
一方、日経平均株価に対するセンチメントを表す日経VIは、数字が高いほど下落か急騰の局面にあると予測でき、これを恐怖状態と捉えます。以前は平均で15程度の水準にあったので20以上が買いの兆候だったのですが、2024年7月に日銀の利上げ表明があって暴落して以来、日経VIは20を下回らなくなってしまいました。これは判断が難しいのですが、わたしは28以上を買いの目安にしています。
2025年4月のトランプショックのときは、F&G指数が5以下にまで落ち込む一方、日経VIは50を超えていたので、明確に買いのチャンスだったことがわかります。
——F&G指数で20以下、日経VIで28以上を基準として、両方が基準超えのタイミングで大型優良株を買うのですね。
ちょる子:そうです。さらにテクニカル分析も踏まえて判断していくことが多いですね。時価総額1兆円以上を目安に、値がさ株やテーマ株、高配当株をリストアップしておき、安値のタイミングで買っています。
大事なことは「海外投資家が買える銘柄」を選ぶことです。わたしたちが米国の半導体銘柄を買うとき、選ぶのはエヌビディアやAMDであって、よくわからない中小型の関連株には手を出しづらいですよね。同じように、海外投資家も選ぶのはセクターの代表的な大型株です。
また、日本の個人投資家から見て魅力的な銘柄でも1日の売買代金が小さいのでは、海外の機関投資家は多額の資金を入れることができずに敬遠してしまいます。資金が集まりやすく、しっかりリバウンドして上昇トレンドを描く銘柄をリストアップしておくことが大切だと思います。
ちょる子
父親の影響を受け、2011年に240万円から株主優待を目当てに株式投資をスタート。2019年から産休・育休をきっかけに、大型株のデイトレードを開始。職場復帰後の2022年までに資産1億円を達成し、以降は短期投資と高配当株投資に移行。2025年には資産3億円を突破した30代の兼業投資家であり、育児に励む2児の母親でもある。現在はPRやIR関連の仕事も手掛けながら、投資関連のメディアにも多数出演。
