2025年下半期も金が注目される5つの理由【ゴールド月次モニター】

・当社は2025年 年央の金市場見通しで、金価格は構造的に上昇した公算が大きく、新たなベースラインが1オンス3,000ドルになるとの見方を示しました。
・金市場では18カ月にわたる熱狂的なラリーの後、今後数四半期の上振れ余地は限られる可能性がありますが、上場投資信託(ETF)への資金流入、中央銀行の購入、ドル安基調、フィアット通貨の代替資産としての需要といった支援要因があるため、当社は2026年にかけて金に対する強気姿勢を依然として維持しています。
・当社は引き続き金価格が今後6~9カ月で横ばいから上昇する確率を80%とみており、強気シナリオ(確率30%)では1オンス4,000ドルに迫る可能性もあると考えています。そのため、戦略的ならびに戦術的に金に資産を配分することを選好しています。
出所:ブルームバーグ・ファイナンスL.P.,ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント(2005年~2025年6月)
金ETFの金保有量は2020年のピーク時に比べると依然として低水準
・金の現物を裏付けとする金ETFセクターは、2025年最初の6カ月のうち5カ月で資金流入を記録し、 2025年6月末までの直近12カ月では9カ月で資金流入が見られました※1。世界の金ETFからの資金流出サイクルが転換したことは今や明らかなようです。
・金の現物を裏付けとするETFに対する需要は、他の需要分野を抑制したり、金のリサイクルを促したりすることで、金価格の上昇を下支えすると見られます。
・世界の金ETF全体の金保有量は、最近の流入基調にもかかわらず、2020年第4四半期のピーク時から約18~19%少ない水準で2025年下半期を迎えました※2。つまり投資家が金保有量を増やす余地は十分にあると言えます。
出所:ブルームバーグ・ファイナンスL.P.,ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント(1990年~2025年)注:米国株式:S&P 500指数、米国債(投資適格債):ブルームバーグ米国総合債券指数指数
歴史的に見て高水準にある米国株式/債券の相関は、3月/4月の市場ボラティリティ急伸時と同様に、金をポートフォリオのヘッジに使用することをサポートしています
・米国の株式/債券の相関が30年ぶりの高水準に上昇するなか、2022年以降、金をマクロ・ポートフォリオ・オーバーレイや経済のテールリスクのヘッジに使う根拠が強まっています。
・金は国債や投資適格社債の代わりではありません。しかし、貿易政策によりインフレリスクがさらに長期化する可能性もあるなか、金利ボラティリティが高まる環境の下では、「デュレーション」または「分散投資」のヘッジとして使用する機会が増える可能性があります。
・実際、今年3月/4月に、株価が急落し長期債利回りが上昇した際には、金は強力な市場ヘッジ手段としての役目を果たし、主要なドル建てのグローバル資産クラスすべてをアウトパフォームしました※3。
出所:ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント、ワールドゴールドカウンシル、欧州中央銀行、2024年12月31日時点。過去のパフォーマンスは将来のパフォーマンスの信頼できる指標にはなり得ません。
中央銀行の調査により、準備資産としての金に対する信認が浮き彫りに
・金はユーロを抜き中央銀行の第2の外貨準備資産に浮上しました。世界の外貨準備に占める金の割合は2024年に18%となり、2014年から2023年の年間平均11%から大幅に上昇しました※4。これに対してユーロの割合は16%と、長期平均の15%をわずかに上回る水準にとどまっています※5。
・ワールド ゴールド カウンシル(WGC)の2025年中央銀行金準備調査によると、世界の金準備が今後12カ月で増加するとの回答は全体の95%と過去最高となり、自行の金の保有比率の上昇を予想しているとの回答は43%で同じく過去最高でした※6。重要な点は、自行の金の保有比率の低下を予想している中央銀行は73行のうち1行もなかったことです※7。
・依然としてドルが世界の外貨準備の中心であり、その割合は46%でした※8。しかし戦略的なドル離れの動きは加速しているようで、回答した中央銀行の73%が今後5年間で世界の外貨準備に占めるドルの割合は低下すると予想しています。同時に、76%が2030年までに世界の外貨準備に占める金の割合は上昇すると回答しています※9。
出所:ブルームバーグ・ファイナンスL.P., ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント、2025年6月30日時点。過去のパフォーマンスは将来のパフォーマンスの信頼できる指標にはなり得ません。
FRBが利下げを行えば、ゼロクーポン資産の機会コストは低下するため、金は恩恵を受けるでしょう
・FRBは2025年および2026年の追加利下げを示唆しているため、マネーマーケット利回りのさらなる低下が見込まれます。そうなれば現金や同等物への投資妙味は薄れ、金のように利回りを生まない資産を保有する機会コストは低下します。
・米ドルの大幅な下落基調、ならびに2025年下半期にFRBがハト派姿勢に転じる可能性を背景に、マネーマーケット・ミューチュアルファンドに積み上がる過去最高の約7兆ドルの資金の一部が金にシフトする可能性もあります※10。ドルが弱含めば、キャッシュの相対的な購買力は損なわれ、価値保存機能とポートフォリオ分散効果を備える金のような実物資産に投資する根拠が強まります。
・最近のFRBの金融緩和サイクル(2001年、2008年、2019~2020年)では、その後に金価格が上昇の勢いを強めており、金が金融政策の転換期のポートフォリオ・ヘッジ手段として有効であることが分かります。
出所:IIF,ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント、2025年3月31日時点。
「フィアット通貨※の代替資産」を求める投資家の需要が長期的に金の需要を促進
・コロナ禍後、投資家の間ではフィアット通貨の代替資産に対する需要が急拡大しています。注目されるのは、これが米国および世界的な現象である点です。
・世界全体の部門別債務は2025年第1四半期に過去最高の325兆ドルに迫り、名目ベースの世界GDPの約3倍となりました。重要な点は、そのうち政府債務が占める割合が30%と過去最高となったことです※11。
・金は伝統的なハードマネーであり、政府のバランスシートが財政不均衡を是正できないなか構造的に恩恵を受けるでしょう。
※金など価値ある実物資産の裏付けという制約を受けずに、政府の信用に基づいて発行される通貨
◆注記
1 Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 6/30/2025.
2 Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 6/30/2025.
3 Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 4/30/2025.
4 Source: YouGov, World Gold Council, as of 6/17/2025.
5 Source: YouGov, World Gold Council, as of 6/17/2025.
6 Source: YouGov, World Gold Council, as of 6/17/2025.
7 Source: YouGov, World Gold Council, as of 6/17/2025.
8 Source: YouGov, World Gold Council, as of 6/17/2025.
9 Source: YouGov, World Gold Council, as of 6/17/2025.
10 Source: ICI as of June 11 2025.
11 Source: IIF, State Street Investment Management, data as of March 31, 2025.
◆用語集
中央銀行
国または国家連合のために、貨幣および信用の創造と分配を独立性を持って管理する金融機関
COMEX
コモディティ(主に金、銀、銅、アルミニウム)の先物を取引する市場
金のスポット価格
スポット市場における金の価格。国際的通貨コード「XAU」で表記される、1 トロイオンス当たりの金価格。米ドル建て。
LBMA午後金価格(米ドル/オンス)
LBMA金価格はIBAが独立して管理し、価格算出のためのオークション・プラットフォームを提供していますが、知的所有権はLBMAに帰属します。プラットフォームは、電子的に取引および監査が可能で、証券監督者国際機構(IOSCO)の金融ベンチマークに関する原則に沿って設計されています。
実質金利
インフレ調整後の金利。物価上昇の影響を取り除くことで、真の借入れコストおよび投資による実際の利回りを反映します。
米連邦公開市場委員会(FOMC)
米連邦準備制度内にある委員会で、金融政策を決定します。
解放の日
広範にわたる関税措置の実施について、米貿易政策の転換点という位置づけを象徴するために用いられた言葉。米国の産業を海外の製造業への依存から「解放」し、貿易不均衡を解消するという考えを反映しています。
脱ドル化
国際貿易、金融取引、外貨準備における米ドル依存を減らすプロセスで、多くの場合、その背景には地政学的動機、制裁リスク、自国通貨を活用しようとする動きがあります。
関税
外国から輸入される財とサービスに国が課す税金で、通常、財政収入を拡大するため、あるいは国内産業を海外との競争から守るための手段として用いられます。
◆ご留意事項
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本稿に示されている見解は2025年4月30日時点のSPDRゴールド戦略チームの見解であり、市場やその他の状況によって変わる場合があります。本資料には、将来の見通しと見なされる可能性のある記述が一部含まれています。その様な記述は、将来のパフォーマンスを保証するものではなく、実際の結果や展開はこれら予想とは大きく異なる場合がある点にご注意ください。
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*2025年3月末時点、ETFの運用資産総額1兆5,535.8億米ドルを含み、そのうち約1064.2億米ドルは、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ・ファンズ・ディストリビューターズ・エルエルシー(「SSGA FD」)がマーケティング・エージェントを行っているSPDRの金の資産です。SSGA FDはSSGAの関連会社です。すべての運用資産残高は監査前の数値です。
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