ますます目が離せないインドの携帯電話市場あれこれ!
──インド・ニューデリー

固定電話はひかず、一人で仕事用と分けて2台持っている人が多い。
このところのインドにおける「携帯電話ビジネス」には目を見張るものがある。2013年では携帯電話の加入者数が8億7000万人を突破した。破格な数といっていいだろう。
この大きな伸びは、基本的にはインドの高度経済成長のおかげだが、それを後押ししている要因がいくつかある。
その一つは、非常に安い通信料金と携帯電話機である。通信料金は、市内通話なら2分でも約8円程度。携帯電話はもはや「高嶺の花」ではなくなった。
携帯電話機は安いものでは800ルピー(約1200円)からで、低価格の機種のほとんどは中国製である。
インド国産のスマートフォン(以下スマホ)も、最近顧客を増やしてきている。輸出入のコストを省き、自国での開発ができるため低価格で提供できるのが強み。ブランド製品と見劣りしないお洒落なデザインも受け、MicromaxとKarbonnの2 社の提供する「100ドルスマホ」は頭角を現してきた。
市場の拡大のもう一つの理由が「SIMフリー」方式だ。携帯機種を変えずSIMカードを買えばどこの通信事業会社でも使用できる。新機種が出たらSIMカードのみを新機種にあわせて入れてもらえるので、機種変更も簡単にできるのだ。
インド携帯電話市場の最近の動向としては、スマホの増加が顕著である。インドのCyber MediaResearch社の最近の調査では2013年第1四半期(3カ月)インドで販売された携帯電話は約6073万台で、その10%にあたる611万台がスマホだった。
ここでスマホに詳しい読者なら、「iPhoneは?」と首をかしげるだろう。アップル社のiPhoneはインドでも非常に人気があるが、シェアの上位に出ていないのには大きな理由がある。iPhoneはいわゆる「SIMロック」方式であり、インド国内で購入すると高くつく。そのため、香港やシンガポールで安く購入してインドに持ち帰り、インドでSIMを買って使用している人がほとんど。その結果、iPhoneはインドでの販売に統計数字が全く出ないというわけだ。
スマホにせよ簡易携帯にせよ、インドは世界で中国に次ぎ第2位の非常に大きな市場であり、大きな成長が見込める分野だ。インドの携帯電話ビジネスは、今後も目が離せない大きな市場である。
文・写真/パッハー眞理 編集協力/堀内 章子