米国株式市場:セクター分散の拡大と主導セクターの集中(2026年5月セクターレビュー)

山口 美帆(やまぐち みほ)
ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント
セクター・スペシャリスト
ヴァイス・プレシデント
2025年11月にステート・ストリート・インベストメント・マネジメントに入社。機関投資家及びリテール向け営業活動を支援するセクター・スペシャリストチームの主要メンバーとして、投資、マーケティング、プロダクト、ガバナンス各チームと連携しながら、セクター戦略の国内におけるプレゼンス及びポジショニングの強化に取り組む。
ステート・ストリート入社以前は、モルガン・スタンレーMUFG証券で電子取引部門のシニアメンバーを務める。それ以前はバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ及びゴールドマン・サックス証券にて、クロスアセット製品における多様なトレーディング、セールス、リスク関連業務を歴任。ボストンカレッジにてプレローに重点を置いた社会学の学士号を取得、その後、英国BPPロースクールにて法学を学ぶ。
米国株式市場は引き続き底堅い推移を維持しているものの、足元では市場全体が均一に上昇するというよりも、セクター間のリターン差や評価差がより鮮明となる局面に入っています。特に、セクター間の相関低下とディスパージョンの拡大が確認されており、アクティブ運用やセクター選択の重要性が一段と高まっている点が、現在の市場環境の大きな特徴と言えるでしょう。
情報技術セクター主導の相場継続と集中リスク
直近の市場を牽引しているのは、引き続き情報技術セクターです。5月は好調な企業決算やAI関連投資への期待を背景に、パフォーマンスおよび資金フローの両面で主導的な役割を果たしました。ポジショニングも数年ぶりの高水準まで積み上がっており、市場の関心が同セクターに大きく集中している状況が見て取れます。
また、資金フローの観点でも、情報技術セクターは2か月連続で流入を牽引しており、AIを中心とした成長テーマへの期待が依然として強いことが確認されています。
一方で、ファンダメンタルズは引き続き堅調であるものの、バリュエーション面では割高感が意識されやすい水準にあり、今後はセクター全体への資金流入というよりも、銘柄やサブセクター間での選別がより重要となる局面に入りつつあると考えられます。
エネルギーセクター:堅調なファンダメンタルズとバリュエーションの魅力
エネルギーセクターは、短期的には価格変動の影響を受けやすい局面が続くものの、ファンダメンタルズ面では依然として良好な状況を維持しています。業績モメンタムや収益センチメントは引き続き高水準にあり、バリュエーション面でも相対的な割安感が残されています。
また、フローセンチメントの観点でも情報技術と並び上位に位置しており、投資家の関心が維持されている点も特徴的です。
そのため、足元の変動は中長期的なトレンド転換というよりも、ポジション調整や短期的な需給によるものである可能性が高く、引き続き注目されやすいセクターの一つと考えられます。
シクリカルセクター:製造業回復が支える構造的な追い風
足元では、製造業の回復が進展しており、PMIが4年ぶりの高水準に達するなど、マクロ環境の改善が確認されています。こうした動きは、資本財や素材といったシクリカルセクターに対する支援材料となっています。
さらに、AI関連投資や政策面の後押しも加わり、これらのセクターは構造的な需要拡大の恩恵を受けやすい環境にあります。一方で、短期的には金利上昇の影響などにより、フローセンチメントが悪化している局面も見られ、投資家心理の振れがやや大きくなっている点には注意が必要です。
ディフェンシブセクターの弱含みと市場構造の偏り
一方で、ヘルスケアや公益事業などのディフェンシブセクターは相対的に出遅れが目立つ展開となっています。市場全体としては、情報技術を中心とする成長セクターにリターンと資金が集中し、リーダーシップが限定的な構造となっています。
また、セクター全体でインプライド・ボラティリティが高止まりしている点も特徴的であり、不確実性の高さを示すと同時に、オプション戦略などを通じた収益機会の存在も示唆しています。
今後1か月を見据えた注目点
今後1か月の視点では、引き続き情報技術セクターが市場の中心となる可能性が高い一方で、ポジショニングの偏りやバリュエーション水準を踏まえると、短期的な調整リスクにも留意が必要と考えられます。
一方で、エネルギーや資本財、素材といったシクリカル分野では、マクロ改善と業績モメンタムの両面から引き続き支援材料が存在しており、調整局面が投資機会として認識される可能性も考えられます。
市場全体が高水準にある現在の環境においては、単純な指数投資だけでなく、各セクターの「バリュエーション」「モメンタム」「業績」および「フロー」のバランスを見極めながら、選別的にエクスポージャーを調整する視点がこれまで以上に重要となる局面に入っていると言えるでしょう。
ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントは、約半世紀にわたり、機関投資家、金融プロフェッショナル、そして個人投資家の皆様に、より良い成果をもたらすお手伝いをしてきました。インデックス運用やETFにおける革新に始まり、当社の厳格なアプローチは、市場で実証された専門知識と、お客様への揺るぎないコミットメントによって支えられています。現在、運用資産は5兆米ドルを超え、60カ国以上のクライアントと、そしてグローバル規模の戦略的パートナーと共に、投資家の皆様が目指すあらゆるゴールに到達するための、包括的でコスト効率の高い投資ソリューションを提供しています。
*2025年6月末時点、ETFの運用資産総額1兆6,898.3億米ドルを含み、そのうち約1160.5億米ドルは、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ・ファンズ・ディストリビューターズ・エルエルシー(「SSGA FD」)がマーケティング・エージェントを行っているSPDRの金の資産です。SSGA FDはSSGAの関連会社です。すべての運用資産残高は監査前の数値です。
ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントは、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社が行う資産運用関連業務のブランド名です。
