【対談】元半導体工場勤務も驚く「キッツ」の正体。9万種の製品と水素が創る未来

そもそも「キッツ」ってどんな会社?
節約オタクふゆ子氏(以下、ふゆ子):本日のゲストは、国内バルブメーカー最大手、株式会社キッツの河野誠社長です。社名の「キッツ」にはどのような由来があるのでしょうか?
河野社長:会社は1951年に創業しました。創業者の名前である北澤利男(Kitazawa)の頭文字を取り、海外でも呼びやすいアルファベット4文字の「KITZ(キッツ)」としました。
ふゆ子:バルブと聞くと、水道の蛇口のように「ハンドルをくるくる回すもの」というイメージ がありますが、具体的にはどのような役割を担っているのでしょうか?
河野社長:基本的には、水、空気、ガスといった「流体」があるところには必ずバルブが必要になります。最も身近な例は家庭の蛇口ですが、実際には工場、病院、学校などのあらゆる施設に存在しています。バルブが持つ機能は、大きく分けて「開ける」「閉める」「制御する」といった機能をもっているものです。
ふゆ子:もしバルブがこの世からなくなってしまったら、私たちの生活はどうなるのでしょうか?世界が成立しなさそう・・・、文明が一気に後退してしまいそうな・・・
河野社長:バルブはインフラを支える不可欠な部品であり、社会が機能しなくなるだけでなく、化学製品などの製造もできなくなってしまいます。
国内シェアNo.1を支える「9万種」と「一貫生産」
ふゆ子:キッツさんが国内ナンバーワンである最大の理由はどこにあるのでしょう?
河野社長: 最大の強みはあらゆる市場に対応できる製品を幅広く揃えるという戦略を長年続けてきたことです。同業他社はどちらかというと自分たちの強い市場分野に合わせたラインナップでビジネスをされていますが、私どもは各市場に対応できるバルブを揃えてきた結果、製品群は9万種類にのぼっています。
ふゆ子:9万種類!桁が違いますね。
河野社長:加えて、素材である「鋳物(いもの)」から自社で生産する一貫生産体制も強みです。他社は素材を外部調達することが多いですが、私たちは「素材はバルブの命」と考え、品質安定のために自社生産にこだわっています。さらには、北海道から沖縄まで網目のような販売ネットワークを構築しており、これも競合メーカーにはない大きな強みとなっています。
「半導体」と「データセンター」が新たな成長エンジンに
ふゆ子:主に関わっている業界ってどういったところですか?
河野社長:メインは建築設備の業界や機械装置、それと石油化学分野というところが我々のメインの商品ですが、最近では半導体関連の市場にも参入ができているという状況です。
ふゆ子:半導体銘柄は非常に話題ですよね。一投資家として気になりますし、実際に国内各地でも半導体工場が建設されています。実は私、以前半導体工場の開発職として勤めていたのですが、当時はバルブを操作してガスの流量を変えることで結果が全然違ってくるという経験をしていました。
河野社長:実際に半導体をつくっているわけではないですが、私どものバルブは、半導体工場の配管や半導体装置メーカーの装置内、それと半導体の材料を作っている化学メーカーのプラントで数多く使われているという状況で、半導体銘柄の一部に加えていただいています。
ふゆ子:データセンターについてはどのような状況でしょうか?
河野社長:世界中でデータセンターの建設が活況です。サーバーを冷やすための空冷、水冷、液冷といった配管に、私たちのバルブがたくさん使われています。特に北米はデータセンターの世界需要の50%を占める最大の市場ですので、そこでのビジネスをさらに広げようとしています。
世界トップ10の売上を誇る
ふゆ子:世界を舞台に展開されているのですね。
河野社長:現在、キッツのグループ会社は全世界で34社になりますが(2025年12月31日時点)、全社を挙げて生産能力の増強や在庫の拡充を行い、各エリアでデータセンターの仕事を取りに行っています。
ふゆ子:売上の比率を見ると、半導体以外にも建築、石油、水処理、機械装置などの売上がかなりあり、バランスが良いと感じます。今のトレンドである半導体の勢いが落ち着いたとしても、売上が大きく下がることはなさそうですね。
河野社長:私たちは、どこかの市場が悪くなっても他の市場がカバーして相殺できるよう取り組んできました。その強みが業績に現れ、2021年から2025年まで5期連続の増収増益、過去最高売上の更新に繋がっています。
ふゆ子:中期経営計画について教えてください。
河野社長:5期連続で増収増益を達成しましたが現状に満足せず、もう一段階上のステージを目指しています。具体的な事業規模としては売上高2,000億円、グループ全体での営業利益率10%(営業利益200億円)、そして当期純利益を安定的に100億円超えにできる会社にしたいと考えています。以前は1桁台だったROEについても、現在は2桁台を維持できる体制が整ってきました。
ふゆ子:製造業という括りで見ると、営業利益率10%やROE2桁というのは高い水準ですよね。
河野社長:国内ではそう評価いただけるかもしれませんが、グローバルで戦う一流企業は営業利益率20%以上を実現しています。海外の投資家の方々に「この会社が欲しい」と思っていただくためには、そのレベルに到達する必要があります。現在は2027年までの中期経営計画「SHIN Global2027」を進めており、真のグローバル企業を目指して進化を続けています。グループのシナジーとグループの利益の最大化を図っていくということで、キッツグループはOne Teamになろうと「One KITZ」を目指して進めています。
次なる柱「水素ビジネス」への挑戦
河野社長:私たちは脱炭素社会の実現に向けて、水素に活路を見出そうとしています。水素ビジネスを通じて温暖化対策やCO2削減、再生可能エネルギーの利活用に貢献するため、すでに水素の専門チームを立ち上げ、最先端の技術を投入しています。
ふゆ子:具体的にはどのようなものを開発されているのですか?
河野社長:大きな柱の一つは、マイナス253度という極低温の「液化水素」に対応するバルブの開発です。また、水素自動車やトラック、バスなどに水素を充填するための「水素ステーション」向け製品でも、すでに貢献が始まっています。
ふゆ子:水素は粒子が最小で漏れやすく、管理にはかなりの技術が要りますよね?
河野社長:おっしゃる通りです。水素は漏れやすく、高いシール性(密閉性)が求められるだけでなく、高圧への対応や極低温環境など、乗り越えなければならないスペックの障害が非常に多いのです。そのため、同業他社も簡単には参入できません。実際、この分野で信頼されているバルブメーカーは、国内でも2社程度だと考えています。
ふゆ子:高い技術の壁があるからこそ、キッツさんの強みが活きる分野なのですね。
河野社長:2030年には、この水素事業を100億円規模にまで育てたいと考えています。そうなれば、経営を支える新たな大きなビジネスユニット、すなわち「次の柱」になると期待しています。
キッツの志に共感いただき「キッツ応援団」になってほしい
ふゆ子:株主への還元についても、新しい方針を打ち出されていますね。
河野社長:株主様への還元をより積極的に進めるため、配当性向をこれまでの35%前後から40%以上へと引き上げました。これにより、2025年12月期の一株当たり配当金は、昨年の46円から7円増配の53円としました。また、2026年12月期の計画を達成した暁には、さらに6円増配を実施する計画です。私共にとって、長期にわたって保有してくださる株主の皆様は、非常に心強い存在です。この対談を通じて、一人でも多くの方が私たちの志に共感し、『キッツ応援団』として支えてくださるようになれば、これほど嬉しいことはありません。
【本編動画もチェック!】
今回の対談で語られた、河野社長の情熱溢れるメッセージやキッツの全容は、ぜひYouTube動画でご覧ください!
▼動画はコチラ▼
https://www.youtube.com/watch?v=U42h5OQokog
株式会社キッツ(6498)
株式会社キッツは、国内No.1シェアを誇る総合バルブメーカーであり、人々の生活インフラから最先端産業までを巧みな技術で支えるグローバル企業です。創業時より培われた「一貫した生産体制」を強みに、水・ガス・石油などの流体を制御するバルブを製造・販売し、住宅やビル、病院といった日常のライフラインを支えています。
また、世界的なAI需要を背景とした「半導体銘柄」としての顔も持ち、製造装置に不可欠な超高純度バルブの提供や、「水素ビジネス」への注力など、成長市場に即した戦略を展開。9万種以上の製品群と多角的な市場展開により、2001年以降赤字なしという鉄壁の経営基盤を誇り、配当性向の引き上げなど株主還元にも積極的に取り組むことで、持続的な企業価値の向上に挑んでいます。
公式サイト:https://www.kitz.co.jp/
