激動の2026年国内市場。多角的にストーリーを描く、柔軟な変化対応が重要

2026年2月の衆議院議員選挙では、高市総理が率いる自民党が歴史的圧勝を遂げた。高市政権の経済政策への期待感から株式市場は上昇を続け、年内には、日経平均株価が6万円台、7万円台に上昇するという見立てもある。一方、積極的財政にともなう金利上昇やインフレの加速、財政規律への不信などから、株価暴落への不安の声もある。そうしたなか、「相場の変動はあまり気にしない」と語るのは、個人投資家のカブ主優待ライダー氏だ。「いかなる相場でも粛々と割安株を探し、積み上げていくだけ」という同氏の投資戦略を聞いた。
構成/岩川悟 取材・文/吉田大悟
相場の変動に「付き合わない」投資手法
——2026年の相場について、どのような見通しを持っているでしょうか。高市政権による経済政策への期待感から、日経平均株価はこれからも上昇の一途を辿るという見方がある一方、暴落の可能性を指摘する声も聞こえます。
カブ主優待ライダー:期待に沿わない回答だと思いますが、「わかりません」といわざるを得ません。なぜなら、わたしは先々の相場を予測して動くのではなく、実際に市場が揺れ動いたときに対応する投資スタイルだからです。ですから、いまから先々を見越して売買のタイミングを測ったり、仕込んでおいたりするような投資にはあまり積極的ではないのです。
もちろん、まったく無視できるわけでも、見通さないわけでもありません。2026年も日銀の利上げが続く観測がありますし、政府の経済政策の影響も気になります。日銀の政策決定会合の開催日には、「どう動くのだろうか」とソワソワすることも事実です。しかし、それを自分の投資行動に直結させるわけではないということです。
——「予測は信用できず、投資根拠にならない」ということでしょうか?
カブ主優待ライダー:例えば、セオリーに基づく予測は、裏切られることが多いと思います。2025年では、日銀の利上げは不動産セクターに逆風のはずでしたが、実際には利上げをしても需要が勝ってしまい、下がるどころか全面高のような状況になりましたよね。また、円安を抑えるための利上げでしたが、結果的には円安が進んで株価が押し上げられました。ですから、マクロ的な観点から相場を予測し、相場が動いたときに備えることは大切だと思いますが、「起こる前提」で投資計画を立てると振り回されてしまうということです。
こうした相場の変化を、もっと多角的にファクターを分析できる専門家なら読み解けるのかもしれませんが、わたしはそこまでではありません。ですから、わたしの投資戦略の根本は、インデックス投資に近い考え方なのです。インデックス投資の王道は、市場がどうあれ淡々と積み立てることですよね。その考えをもとに、高配当株や優待株で実践しているイメージです。
現時点で投資資金、つまり、入金力を確保しているのなら、その時々の市場で「相対的に割安」と思える銘柄を見つけ、淡々と買い増ししていくわけです。ですから、2026年は変化の激しい相場になるはずですが、「関係ない」といえてしまいます。相場がどう動くかを予測するのではなく、動いた結果として目の前に現れた「割安になっている銘柄」、ひいては配当利回り・優待利回りが高く、今後の株価の回復も見込める銘柄を拾い上げる営みを2026年も継続していくつもりです。
あらゆるストーリーを想定し、銘柄をリストアップしておく
——相場の変化に対応するためには、幅広いセクターに目を配って投資する必要がありますよね。
カブ主優待ライダー:そうですね。例えば、相場を動かすファクターのひとつは為替動向です。円高に振れれば、自動車などの輸出関連株が売られて株価は落ちることが見込まれます。わたしは「カブ主優待ライダー」の名前の通り、スーパーカブが好きで本田技研工業の株を保有しているのですが、自動車産業のなかではシェアも高く、配当利回りも高い優良株です。円高は、わたしにとってホンダ株を買い増す絶好の機会になるでしょう。ただし、ひとつの銘柄に過度に集中するのは危険ですから、分散投資は大事にします。
逆に、円安に振れたのなら、輸出株は値上がりして手を出しづらくなります。その場合は、原料高騰が嫌気されて通信や交通、外食などの内需株にチャンスが訪れます。例えば、通信大手のNTTは、円安によって2024年に日経平均株価が最高値を更新して以降、さらに市場が株高にある現在も株価は振るわないのがいい例です。内需株では、銀行は継続的な利上げの後押しがあり、不動産や建設も需要高が見込まれて増配が期待できるため、買い増しを検討したい銘柄です。
また、これら内需株は株主優待の内容が生活に密着し、使いやすさに優れているものも多いので、世間が半導体株や輸出関連株の上昇で熱狂していても、粛々と内需株を買い増ししたいと考えています。こうして、あらゆる状況を想定して多面的なストーリーを描き、その主役となる銘柄をリストアップしておいて、相場に応じて対応していきます。
——予測に基づく投資はしないということでしたが、高市政権が掲げる「重点17分野投資」による影響についてはどう見ていますか?
カブ主優待ライダー:現在、国土強靱化や防衛、あるいはAI・半導体といった分野に、国から莫大な補助金や施策が投入されています。新聞やテレビニュースの情報を入手すると国策に対するプロジェクトのスピード感と予算の規模感には驚かされることがよくあります。「じゃぶじゃぶ」といっていいほどのお金が特定領域に流れ込んできますから、株価を押し上げる可能性は高いと思います。
個人的には、防災や防衛、あるいはBCP(事業継続計画)に関わる重工系の銘柄に注目しており、すでに株価は上昇しています。ただし、先のとおり「これからもっと上がるから買う」のではなく、今後、市場の調整局面などで割安になった瞬間があれば、そのときに拾い上げるつもりです。その瞬間を見逃さないために、つねに監視リストに関連銘柄を入れています。
感情を揺さぶる相場の変化に備える
——日経平均株価しかり、TOPIXしかり、今後も上昇が見込まれる反面、様々な要因が絡み合い、暴落のリスクも考えられます。買い増しのチャンスであるなか、含み損が大きく膨らむ精神的にハードな局面でもありますよね。粛々と買い増しを行うためのマインドがあればお聞かせください。
カブ主優待ライダー:先に、わたしの投資戦略をインデックス投資に例えましたが、NISAの「つみたて投資枠」によるインデックスファンドの平均保有期間は1年から2年程度というデータがあります。その原因は、株価上昇時に売却したい欲や、暴落時に手放したい恐怖など、人間の感情がインデックス投資の合理性を上回ってしまうからだと思います。
わたしも暴落に恐怖した経験はあり、コロナショックのときにはじめて大きな含み損を抱えました。毎日、証券口座の資産が目減りしていくのを見るのは、本当に精神的に苦しいものです。そのときに、わたしのメンタルを支えてくれたのは、意外にも「将来の希望」ではなく「過去の実績」でした。
投資を始めてから、もらった配当金や株主優待を記録しているのですが、暴落の真っ只なかで心を落ち着かせたのは、「これまでに、その銘柄から受け取った利益の大きさ」だったのです。配当・優待実績を見て、「これまで、これだけ稼がせてもらったのだから、未確定の損失に慌てることもないだろう」と思えたわけです。人それぞれだとは思いますが、過去の配当や優待、利確分などのリターンを可視化しておくのは、含み損への精神安定にいいかもしれません。
——インデックス投資では、資産価値が基準価額次第で変わってしまいますが、高配当株投資や優待株投資は、配当や優待で株価に基づく資産とは別の価値を生み出してくれる点はメリットですね。
カブ主優待ライダー:そうですね。インデックス投資を長期継続することもそうですが、投資は「市場に参加し続ける」ことがなにより大切です。そのためには、感情をコントロールし続けることが求められます。激しく変化する相場に対し、なにをモチベーションにして参加し、なにを盾にして自分のメンタルを守るかが鍵となるでしょう。2026年の相場を読み解こうとする前に、投資家としての自分の感情とメンタルについて、整理しておくことも大切だと思います。
カブ主優待ライダー
岡山県在住。40代のサラリーマン投資家。投資歴=優待歴15年程度。YouTubeチャンネル「カブ主優待ライダー・株主優待」では、6年間ほぼ毎日、株主優待や高配当株投資を中心に情報を発信し続け、動画本数は2,000本以上、登録者数は8万人を超える(2026年2月9日時点)。名前の通り、スーパーカブをこよなく愛し、遠方でも愛車で出かけるライダーでもある。
