高配当銘柄は「安定感」と「増配」で選ぶ。ビギナーにおすすめしたい永久保有10銘柄

高市政権が掲げる「責任ある積極財政」への期待も相まって、日本市場の株価は上昇が続いている。株価が上がることによる弊害ともいえるが、配当利回りでは不利になりつつあるいま、高配当株投資に関心を持つ投資ビギナーは、なにを基準に銘柄を選べばいいのだろうか。個人投資家のカブ主優待ライダー氏に、配当利回りだけに惑わされない銘柄の選び方と、永久保有を前提とした鉄板の高配当10銘柄を紹介してもらった。
構成/岩川悟 取材・文/吉田大悟
「配当利回り4%」も厳しくなった2026年の日本市場
——カブ主優待ライダーさんは、単に「高配当株」ではなく「高配当バリュー株」という表現をされていますよね。どのような銘柄選びをされているのですか?
カブ主優待ライダー:特別な着眼点で銘柄選びをしているわけではありません。わたしの場合、配当利回りは4%以上を目安にし、時価総額が一定規模あるものからPER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)をもとに割安な株価にある銘柄を探すため、「高配当のバリュー株」と呼んでいます。基本的には、PERで10倍以下、PBRで1倍以下を目安とします。
そのうえで、配当が安定していることを確認します。配当性向が高過ぎないこともそうですが、過去に業績が低迷したときも配当を維持した実績を重視しています。業績のいいときは配当を出していても、低迷したときに減配・無配にするのでは、長期的な保有は難しいからです。
むしろ、積極的な増配実績や、累進配当(企業が株主への配当金を減らさないか増やすことを基本方針とする配当政策)の導入、DOE(株主資本配当率:当期純利益ではなく、純資産に対する配当額の割合を示す指標。DOE導入銘柄は業績の変動に関わらず安定した配当を行うことが見込まれる)の導入など、苦しいときでも株主還元に積極的な配当方針を評価しています。
ただし、2025年から、特に高市政権発足後は状況が大きく変わっています。株価の上昇により、いまは時価総額が高く安定した銘柄では配当利回り4%はおろか、3%も難しくなっています。関連して、PER、PBRでも割安感が薄れてきました。ですから、4%以上や割安感にこだわり過ぎず、企業の実力を加味し、増配が期待できることも重視しているという感じです。
——そんな株高な状況を踏まえ、これから高配当株投資を始める個人投資家にアドバイスはありますか?
カブ主優待ライダー:配当利回りを重視するあまりに、不安定な銘柄に引っかからないことですね。株価が急落していれば配当利回りは上がりますが、回復できる実力があるのかを見極める必要があります。また、配当性向が高く、業績に比して無理に配当を出している銘柄は、単純に利益を減らすわけですから、業績は悪化し、結局は減配、無配ということになりかねません。
高配当株投資には、鉄板といえる銘柄があります。JT(日本たばこ産業)やNTTも高配当株の定番として有名ですし、メガバンクや通信、商社などの大手もそうでしょう。これらの多くは時価総額が高い、業界トップの銘柄です。よって、まずは盤石の大型株でポートフォリオの基盤をつくってから、次第にチャレンジングな銘柄に興味を持つくらいがいいのではないでしょうか。
永久保有したい、おすすめ高配当株10選
——高配当株投資のビギナーが最初に買うといい、時価総額が高く安定感のある高配当株銘柄を教えてもらうと同時に、それぞれ解説をお願いします。
カブ主優待ライダー:2025年末に好評だった、わたしのYouTube動画「2026年に買う!永久ガチホの厳選高配当10銘柄(ランキング形式で紹介)」で紹介した10銘柄をピックアップしましょう。基本的に時価総額が高く、業界トップの銘柄を各業界で分散するかたちで選出しました。また、一部例外もありますが、増配基調にあるものを選んでいます。
2025年末の段階から、いずれの銘柄も株価が上昇し、割安感や配当利回りも低下しているのですが、最初に買う銘柄としておすすめであることは変わりません。長期保有を前提に、株価が下がった局面や市場の暴落時に買えるよう、スタンバイしておくといいでしょう。
第10位 商船三井(2026年2月24日終値時点)
株価:5,505円 配当利回り:3.63% 時価総額:約1.9兆円 PER:9.48倍 PBR:0.70倍
商船三井は総合海運大手です。高配当銘柄のなかでも、配当性向は30%程度で比較的配当利回りも高い銘柄です。海運最大手日本郵船と甲乙つけ難く、どちらでもいいと思います。2025年末時点は商船三井のほうが配当利回りは高かったのですが、2026年2月24日終値の時点では、日本郵船の利回りのほうが4.28%と高くなっています。
第9位 本田技研工業(2026年2月24日終値時点)
株価:1,543円 配当利回り:4.54% 時価総額:約8.1兆円 PER:20.72倍 PBR:0.48倍
本田技研工業はバイクでは世界トップ、自動車でも世界上位にあり、近年では小型ジェット機にも進出しています。自動車業界における事業規模やシェア、業績の安定感でいえばトヨタ自動車なのですが、配当利回りではホンダに軍配が上がります。円安の進行により株価は上昇基調ですが、それでも配当利回り4%はありがたいですね。今後も円安基調であることを考えると、長い目で見ても割安な株価であると考えます。
第8位 武田薬品工業(2026年2月24日終値時点)
株価:5,818円 配当利回り:3.44% 時価総額:約9.2兆円 PER:59.45倍 PBR:1.20倍
製薬業界の国内最大手であり、2019年には海外製薬大手シャイアーを買収し、グローバルでも上位の製薬会社です。製薬関連銘柄は高配当銘柄が多いのですが、そのなかでも配当利回りでトップにつけています。配当性向が25年3月期は約286%と、利益以上の還元を行う極めて高い水準にありますが、40年以上にわたって減配がなく、抜群の配当実績を持つ企業です。そのため、PERも極めて高いのですが、安心して持ち続けられる銘柄であるといえます。
第7位 積水ハウス(2026年2月24日終値時点)
株価:3,769円 配当利回り:3.82% 時価総額:約2.4兆円 PER:10.53倍 PBR:1.27倍
住宅メーカーの最大手であり、近年の建材価格高騰と不動産の需要増から、今期は過去最高益となる見込みです。本来、住宅関連において逆風となる利上げ局面でも株価を落とさず、投資家の信頼も厚いことが伺えます。今後も住宅を含む不動産は株価上昇が期待されますし、積水ハウスは増配の実績も文句なく、安心感があります。
第6位 三菱HCキャピタル(2026年2月24日終値時点)
株価:1,495.5円 配当利回り:3.01% 時価総額:約2.1兆円 PER:13.42倍 PBR:1.12倍
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)に属する、リース業界トップクラスの企業です。リース業界はオリックスやみずほリースなど高配当銘柄が多いのですが、そのなかでも26期連続増配を実現している、おすすめ銘柄です。今後の利上げが追い風になり、さらなる増配が期待できます。取得単価が低めで、買いやすい点も評価できます。
第5位 INPEX(2026年2月24日終値時点)
株価:3,708円 配当利回り:2.91% 時価総額:約4.6兆円 PER:13.09倍 PBR:0.91倍
原油やガスなどのエネルギー生産を行う資源開発最大手です。日本政府が大株主であり、エネルギー関連銘柄のなかでも安定感があるといえるでしょう。おすすめする理由は、累進配当銘柄であることです。エネルギー関連銘柄は、中東情勢の悪化など国際情勢によって業績・株価が大きく変動するのですが、それだけに安定的な配当を約束する累進配当を導入した価値が大きいといえます。現在の配当利回りは高いとはいえませんが、株価の変動幅があるため、下がった局面では積極的に買いたい銘柄です。
第4位 三菱商事(2026年2月24日終値時点)
株価:5,132円 配当利回り:2.14% 時価総額:約20.6兆円 PER:28.08倍 PBR:2.09倍
5大商社(三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅)はいずれも安心できる銘柄だと思いますが、時価総額では三菱商事が頭ひとつ抜けて高く、配当利回りも比較的高いため選びました。総合大手商社でエネルギー関連に強みを持っており、今後も株価の上昇基調が期待できます。また、累進配当を導入し、増配基調である点も評価できます。それに加え、三菱商事は株主優待制度を実施していないのですが、株式関係書類に三菱グループのミュージアムの無料招待券が同封されるなど、「隠れ優待」に魅力があります。
第3位 東京海上ホールディングス(2026年2月24日終値時点)
株価:6,340円 配当利回り:3.33% 時価総額:約12.2兆円 PER:11.87倍 PBR:2.26倍
メガ損保3社(東京海上ホールディングス、MS&ADインシュアランスグループホールディングス、SOMPOホールディングス)では、配当利回りでMS&ADに劣るのですが、増配率の高さに注目してほしいと思います。2022年3月期 85円→2023年3月期 100円→2024年3月期 123円→2025年3月期 172円→2026年3月期 211円予定と、ここで紹介する10銘柄のなかでも増配の上げ幅が高いのです。現時点の利回りは3%台でも、5年、10年後の配当利回りはかなり期待が持てます。
第2位 NTT(2026年2月24日終値時点)
株価:150.8円 配当利回り:3.51% 時価総額:約13.6兆円 PER:12.897倍 PBR:1.30倍
誰もが知る、通信最大手企業です。時価総額が高く、割安感もあり、なによりビギナーでも買いやすい単価の安さが特徴です。2025年を通じて150円〜160円を行ったり来たりするボックス相場であり、2026年も同様であれば、下げのタイミングで少しずつ買い増ししていくといいでしょう。配当利回りも悪くなく、10年以上増配もしており、さらにグローバルで新技術の開発も行うなど成長要素も見逃せません。さらに、100株からdポイントが付与される株主優待もあります。安定感、期待感、即時的なメリットも備えた銘柄です。
第1位 三井住友フィナンシャルグループ(2026年2月24日終値時点)
株価:5,808円 配当利回り:2.70% 時価総額:約22.4兆円 PER:14.91倍 PBR:1.42倍
最後は、メガバンクの一角である三井住友フィナンシャルグループです。インフレの進行により、今後も日本銀行による年1回程度の利上げは続いていくと思われます。利上げは、金融業にとっては明確に追い風ですから、今後しばらく銀行株は買い増ししていきたいと考えます。メガバンクはいずれも株価が上昇しており、投資家によって推す銘柄は異なりますが、わたしはメガバンク屈指の収益力の高さと増配実績の高さから、三井住友フィナンシャルグループを推したいと思います。
高配当株投資は参加し続けることが大切
——ここまで紹介した10銘柄は、カブ主優待ライダーさんが動画を公開した2025年の12月末時点からいずれも株価が上昇し、割安感は低下しています。買いのタイミングについてはどう考えますか?
カブ主優待ライダー:わたしの場合、買いたい銘柄を事前にリストアップしておいて、株価が下がってきたタイミングで買い増しする戦略を取っています。高配当株投資のビギナーの方であっても、そのように準備しておくと、突然の暴落局面が来ても落ち着いて対応できるのではないでしょうか。株主優待の内容などもチェックしておいて、優先度をつけておくといいと思います。配当利回りはそれほど高くなくとも、株主優待で得られる価値を合算すると、利回りが1%どころか4%上がる場合も珍しくありません。
——先のNTT株のように単価が低く、100株で株主優待がついてくるなら、あまり株価を気にせず「とりあえず買う」というのもありですか?
カブ主優待ライダー:そうですね。NTTに限らず、「とりあえず買ってみる」というのは悪いことではないと思います。もちろん、わざわざ明らかな高値掴みをする必要はないわけですが、単元未満株も活用して1株から10株程度なら高値でも大きな損になりません。そうして、いろいろ買ってみるのは大事なことです。
ただリストアップだけするよりも、実際に保有してみることでその銘柄に強く関心が向きますよね。株価の動向をチェックする意識も高くなり、買い増しのタイミングへの精度も上がっていくはずです。
「株価が下がったら買ってみよう」と思っていると、株価の上昇局面ではいつまで経っても買うことができず、「それなら買っておけばよかった」ということになりかねません。資金の余裕を持ちつつも、少し買ってみて市場に参加することが、高配当株投資を前に進める力になると思います。
カブ主優待ライダー
岡山県在住。40代のサラリーマン投資家。投資歴=優待歴15年程度。YouTubeチャンネル「カブ主優待ライダー・株主優待」では、6年間ほぼ毎日、株主優待や高配当株投資を中心に情報を発信し続け、動画本数は2,000本以上、登録者数は8万人を超える(2026年2月9日時点)。名前の通り、スーパーカブをこよなく愛し、遠方でも愛車で出かけるライダーでもある。
