配当金は、投資のモチベーションを高めてくれる。高配当株投資にあるメリットと実践法

1億4,000万円の資産を持つ投資系ユーチューバーのぽんちよ氏は、資産形成期にはグロース株投資を積極的に行い、ある程度の資産形成ができた段階から、高配当株投資に切り替えたという経緯がある。このように、資産が増えていく過程で、キャピタルゲイン目的の株式投資から、インカムゲイン目的の高配当株投資に切り替えるケースは少なくない。高配当株投資のメリット、そして、高配当株投資を行ううえでの実践的なアドバイスをもらった。
構成/岩川悟 取材・文/吉田大悟
グロース株投資から高配当株投資に切り替えた理由
——ぽんちよさんは200万円から投資をはじめ、資産形成期はグロース株投資で資産を伸ばしていったそうですね。その投資戦略で資産は5,000万円を超えるなど順調だったと思うのですが、なぜ高配当株投資に切り替えたのでしょう?
ぽんちよ:わたし自身の働き方の変化が大きな理由です。当時、副業としてのYouTubeは視聴者数こそ伸びていましたが、まだ収益性は低く、会社員として働きながら節約をし、給与をどれだけ投資に回せるかを考えていました。
しかし、資産が5,000万円を超えたタイミングで会社を辞めて独立し、YouTubeを本業とし、他の事業も行う働き方に変えたのです。そうなると、労働収入が不安定なうえに、グロース株投資も行っているのではリスクが高過ぎます。当時、エヌビディアをはじめとする米国株や、国内ベンチャーのような企業にも投資をしていました。コロナショック以降の上昇相場によって含み益は増えていましたが、保有銘柄に大きな下落があれば含み益は一気に減ってしまいます。ですから、働き方に合わせて比較的リスクが抑えられ、定期収入も得られる高配当株投資を検討したというわけです。
また、労力の問題もあります。先のようなグロース株のリスクを回避するため、保有銘柄の決算を必死に追いかけて精神的にもキリキリしていました。高配当投資に切り替え、その負荷から解放されたことで、だいぶ精神的にも安定したように思います。同時に、自分の事業にも集中できるようになりましたね。
——高配当株投資のメリットを教えてください。
ぽんちよ:大きく2点あります。ひとつは、いまもお話した株式投資を継続するうえで重要なメンタルへの好影響です。現在、わたしの資産は1億4,000万円ですが、高配当株は50%にも満たないので配当金はそこまで多くはなく、それだけで暮らせるほどでもありません。しかし、配当金が入ってくるという事実は、想像以上の安心感を与えてくれます。
例えば、2025年はS&P500、日経平均株価ともに2月から4月にかけて大きな下落相場がありました。下落局面ではグロース株投資に限らず、その他の投資手法やインデックス投資であっても含み損が生じます。以前は「また資産が減った……」と精神的ダメージをただ受けるだけでしたが、高配当株を持っていると下落相場でも配当金が入ってきます。これが、慈悲のようにありがたいのです(苦笑)。そういった救いがあると株式投資を続ける力になりますから、投資ビギナーの人でも一部、高配当株を持ってみるのはいいと思いますよ。
もうひとつのメリットは、モチベーションを高められることにあります。例えば、株式投資をはじめてから、資産1,000万円までは明確な目標にしやすいのですが、それを突破すると多くの投資家がモチベーションを失うといいます。「ある程度の資産ができてしまった」という感覚があると同時に、かといって、2,000万円や3,000万円はだいぶ遠い感じがするからです。
実際は、1,000万円の元本があれば、2,000万円や3,000万円の資産もそう遠くはなく、本当の勝負はこれからです。モチベーションを失い散財したり、失うのを恐れて投資を控えたりするのではもったいないですよね。そこで、高配当株投資に視点を変え、例えば「毎月10万円の不労所得を目指してみよう」というような目標を立てると、生活が豊かになることがイメージしやすく、モチベーションも高まるはずです。
毎月10万円(年間120万円)の配当金を得るには、利回り4%であれば3,000万円の資産が必要になります。すると、3,000万円という資産に「意味づけ」がなされ、株式投資に熱意を持てるのではないでしょうか。
日本高配当株投資における銘柄の選び方
——投資初心者にとって、高配当株投資というと日本株が真っ先に思い浮かぶと思います。ぽんちよさんは、日本高配当株でどのような銘柄選びをされていますか?高配当株投資のイメージを掴むためにもお聞かせください。
ぽんちよ:高配当株投資では、証券会社などの銘柄検索機能を使いスクリーニングをかけ、投資候補となる銘柄を探すのが一般的です。例えば、一般的に高配当株といえば「配当利回り4%以上」などを指しますから、利回りの高さで検索をかけます。そうして浮上してきた銘柄の業績や配当実績、現在の株価の割安感を見て投資判断を行うという感じです。
しかし、わたしの場合は「配当利回り2.5%」と、かなり抑え目な設定で検索しています。なぜなら、「現在の利回りが高い銘柄」よりも「継続的に増配する銘柄」に投資したいと考えているからです。
配当金は、高ければいいというわけではありません。順調な事業成長によって時価総額(=株価×発行済株式数)も配当金も上昇しているのなら構いませんが、投資資金を集めるために配当性向(=企業の利益のうち、配当金として株主に還元する割合)を高めていて、実際は利益が圧迫されているような企業も少なくありません。そのような銘柄は、本来は事業成長に向けて投資するべき資金を株主に分配しているため、将来的な成長性は低くなります。その結果、現時点での配当利回りは高くても、業績が伸びずに減配や無配になるリスクがあると考えましょう。
そのため、わたしは配当利回りを「2.5%以上」と低めに抑えたぶん、長期的な事業成長を見込む基準として、配当性向は無理のない「40%以下」、また「売上高成長率5%以上」をキープしていることを一次的な絞り込みとし、将来的な増配の可能性を見ていきます。
ただ、こうしたリサーチを行うには、決算書を読み解く知見が欠かせません。投資初心者がいきなりはじめるには、ややハードルが高いのではないでしょうか。そこでわたしは、これから高配当株投資をはじめるのなら、米国高配当株ETFのほうが安心だと考えます。
米国高配当株ETFはなぜ安心なのか?
——米国高配当株ETFのメリットを教えてください。
ぽんちよ:米国高配当株ETFの優位性は、「①安定した実績」「②信託報酬率の低さ」「③手間が少ない」ことにあります。
「①安定した実績」については、米国は日本よりも株主還元の意識が高く、株主配当に積極的です。25年間、50年間と連続増配を実現している企業も珍しくなく、そうした企業を集めたETFも安定した実績を挙げています。米国は年4回の配当がスタンダードなので、少しずつでも3カ月に一度入金があることも嬉しいポイントです。
そのうえで、「②信託報酬率の低さ」があります。定番といえる米国高配当株ETFのほとんどが、信託報酬率1%を切るので安心して選ぶことがでるでしょう。
最後に、「③手間が少ない」についてですね。米国の個別株で高配当株を探そうと思うと、かなり大変なのです。米国株は身近な企業が少ないですし、決算書やニュースも英語でわかりにくく、リサーチや投資判断にかなりの手間がかかります。それがETFなら、プロの目で選んだ高配当株50社、100社などに分散投資ができます。また、より実績の高い投資銘柄への組み替えもファンドが勝手に行ってくれますから、自分でリサーチや戦略策定をする必要がありません。
——投資初心者が米国高配当ETFにチャレンジする場合、「どのETFを買うべきか」に悩むと思います。ぽんちよさんならどのようなアドバイスをしますか?
ぽんちよ:米国高配当株ETFを見ていくと、そこまで悪い商品はないと思います。ですから、人気ランキング上位の商品を検討しつつ、投資方針や信託報酬率を見て自分が納得いくものを買ったらいいと思います。ランキング上位にあるETFというのは、必然的に信託報酬率が低くて過去の実績に優れたものがほとんどです。あえて人気に逆らってまで、マニアックな商品を探す必要はないでしょう。
わたし自身も、最初はあまり深く考えずに買っていました。購入を検討したタイミングで利回りのよかったSPYD(SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF)を最初に購入しましたが、これはまさに米国高配当株の定番中の定番です。SPYDは、S&P500構成銘柄から配当利回り上位の80銘柄を四半期ごとに抽出しているので、景気敏感株が多めです。そのぶんボラティリティが高く、配当利回りが高いときは、グッと利回りが上がることで知られます。
一方、SPYDと同列の定番の商品に、VYM(バンガード・米国高配当株式ETF)があります。こちらは特定業界に偏らない約440の高配当銘柄に投資するETFで、景気敏感株とディフェンシブ株のバランスに優れています。
つまり、VYMはSPYDよりも安定志向のETFといえるのですが、バックテストをしてみたら直近の相場ではVYMのほうが配当実績は高かったのです。それからは、SPYDよりもVYMをコアに据えて買い進めています。ETFごとに、銘柄数もカバーしている業界も異なるので、複数のETFを保有するほうが分散効果は高いといえます。ただ、あまり多くを持つ必要もないでしょう。あまり種類を増やすと、管理が大変になりますからね。
2種類から3種類を保有し、相場が下がって利回りが高くなっているタイミングで買い増すくらいがちょうどいいのではないでしょうか。ただし、これからはじめる人は、相場を気にすると買うタイミングがわからないと思いますから、まずは「相場に関わらず買ってみる」ことが大事だと思うのです。実際に買ってみて、配当金を受け取ってモチベーションを高め、相場に慣れながら他のETFのリサーチにも取り組んでみてください。
ぽんちよ
新卒で就職後、友人に株式投資を勧められて個別株投資をスタート。転職を経て北陸地方でサラリーマン生活と副業のYouTube動画作成に明け暮れるなか、2021年夏に金融資産5,000万円達成。翌2022年3月に会社を辞めてFIREを実現し、現在は資産1億4,000万円を超える。YouTubeチャンネル「【投資家】ぽんちよ」はチャンネル登録者数49万人を突破(2025年10月現在)し、FIREを目指す投資初心者向けに投資・節約・副業に関する情報を発信している。
