マーケティングSaaSとM&A戦略が牽引する急成長
高収益性と資本効率性を武器に市場をリード
投資判断
“マルチサービス展開が牽引する持続的成長。高ROE企業としての市場評価と中長期投資妙味”
株式会社エフ・コード(以下、エフ・コード)は、デジタルマーケティング領域におけるCX(顧客体験)SaaS「CODE Marketing Cloud」を中核とし、継続課金型の堅実な収益基盤を構築している。同プロダクトは、ユーザー行動の可視化からパーソナライズ配信、LPO(ランディングページ最適化)に至るまでをワンストップで提供し、既存顧客の継続率も高水準で推移。これに加えて、近年のM&AによってWeb制作、UI/UXデザイン、SEO支援、CRM最適化など、周辺サービスへ拡張を進め、DX支援の総合力を高めている点が評価される。
2023年以降はAI・Technology領域におけるM&Aの実行や同領域のソリューションの開発にも着手し、既存サービスとの統合によって顧客単価の向上および併売効果が顕在化しており、収益性も拡大。2024年12月期は営業利益1,432百万円(前年比+122.2%)、2025年12月期はさらに2,200百万円の着地を見込むなど、2期連続で大幅な営業増益を実現・予想している。
株式市場においては、同社のPERは20.94倍、PBRは4.34倍、ROEは20.8%と高収益企業としてのバリュエーションが付与されている。これらの水準は、市場が年率+20%前後のEPS成長を織り込んでいることを示唆しており、一定程度の継続成長が前提となっている。しかし実際には、足元の収益成長はこの期待値を大幅に上回っており、営業キャッシュフローも堅調。EPSは2021年12月期の修正EPS* 13.40円から2025年12月期(予想)のEPS 104.84円と4年間で約7.8倍、CAGRで約67%の成長となっており、また2025年2月に発表した中期経営計画においては2027年12月期における営業利益50億円とCAGR 50%以上の継続を想定するような利益目標を掲げている。自己株式の取得(2025年に合計20万株、約3.5億円)に加え、新たなM&Aのための資金確保も進めるなど、資本政策面でも柔軟性を高めている。
一方、株式益回り(逆PER)は約5%と一見すると控えめにも映るが、過去4年間で年平均67%というEPSの高成長を実現してきた実績と、中期経営計画で掲げる3年CAGR 50%以上という力強い成長指針を前提にすれば、現行のバリュエーション水準には割安感すら感じられる。特に、M&Aによるスケーラビリティの継続的な拡大と、それに伴う営業利益率・ROICの改善が維持される限り、本銘柄はポートフォリオ内のグロース枠として非常に魅力的な選択肢となり得る。
総合的に見て、エフ・コードは「継続型SaaSによる安定収益 × M&A戦略による成長加速 × 高ROE体質」という3つの強みを兼ね備えた希少なDXプレイヤーである。市場が評価する成長期待に対し、これまでの業績はそれを上回るペースで進捗しており、中長期での成長シナリオに対する確度は一段と高まりつつある。こうした背景から、構造的な収益基盤と高成長の両立を評価する機関投資家にとっては、引き続き注目すべき投資対象といえる。次セクションでは、同社の事業基盤の構造的な強みを検証する。
*過去の繰越欠損金等による一時差異等の当期利益への影響が大きいため、税前利益に税率を乗じた修正当期利益を期中平均株式数で除した修正EPSを利用。
1. 会社概要
“CXとDXの接点に立つ成長企業。SaaS × コンサルティングで差別化を図る”
エフ・コードは、東京都新宿区に本社を構えるデジタルマーケティング支援企業であり、顧客体験(CX)を起点としたSaaS型サービスおよびDX推進支援を中核事業として展開している。2006年に創業し、2018年に主力製品であるWeb接客ツール「CODE Marketing Cloud」の提供を開始。2021年12月に東京証券取引所マザーズ(現グロース市場)に上場した。
同社の提供価値の本質は、「デジタル×顧客体験」に特化したプロダクトとコンサルティングの融合にある。SaaS型のマーケティングツール提供だけでなく、クライアントごとの業界課題や顧客行動に基づくデータを活用し、戦略設計から実行支援までを一貫してサポート。これにより、ツール導入のみならず業績インパクトまでを意識した支援体制を構築している。
事業セグメントは単一(DX事業)だが、実際には「マーケティング」「データサイエンス」「プロダクト」「エンジニアリング」「クリエイティブ」など多岐にわたり、これらを包括的に組み合わせることが可能な点が強みとなっている。さらに、顧客のWeb接客・EFO・チャットボット導入・データ解析に至るまで、1,000社以上の支援実績から蓄積された“CXデータ基盤”を活用しており、属人性の排除と再現性の高い改善施策を同時に実現している。
近年はグループ体制を強化し、M&Aによって以下の企業を傘下に収めている(2025年5月現在で連結子会社11社)。いずれもWebマーケティング、SNS運用、AI開発、IT教育等の成長市場を担う企業であり、ホールディングス的色彩を強めながらスケーラブルな成長戦略を志向している。
主要な子会社としては株式会社SAKIYOMI(SNS運用支援)、株式会社BUZZ(エンジニア向け教育事業)、株式会社SpinFlow(生成AIプラットフォーム開発)がある。
2024年12月期の連結売上収益は51.3億円、営業利益は14.3億円、ROEは20.8%。営業活動によるキャッシュフローも9.1億円と堅調に推移しており、安定した成長基盤と高収益性を兼ね備えている。
“マーケティングテクノロジーで世界を豊かに”をミッションとする同社は、CXを起点としたDX支援を通じて、企業と生活者の関係を最適化し続けるプラットフォーム企業への進化を目指している。
2.事業の特色、内容
“CXデータに基づくSaaSと伴走型DX支援の融合で高解像度なマーケティング支援体制”
エフ・コードの事業は、顧客体験(CX)向上を中心に据えたSaaS型プロダクトの提供と、デジタルマーケティングにおけるプロフェッショナル支援を統合的に行うDXサービスで構成されている。単一セグメントながらも、SaaS、UI/UX改善、データ活用、広告・CRM・SEOなど、企業のデジタル戦略に不可欠な領域を多面的にカバーしている点が最大の特徴である。
中核プロダクト「CODE Marketing Cloud」は、Webサイト上でのユーザー行動を解析し、最適なタイミングでポップアップなどのアクションを提示するWeb接客ツールである。アクセスログや顧客DBなどと連携し、既存のページ構成を改変することなくLTV(顧客生涯価値)を最大化できる設計となっており、顧客ごとのニーズに応じた高度なパーソナライズ施策が可能である。
その他にも、EFO(エントリーフォーム最適化)ツール「f-tra EFO」、チャットボット「sinclo」、LINEやMessengerに対応する「hachidori」などのSaaS製品群を展開。これらのプロダクトはすべてSaaS型で提供され、契約継続率が高く、安定した収入をもたらしている。
一方で、SaaSの提供にとどまらず、コンサルティング型のDX支援も同社の主力領域である。独自のCXデータ基盤を活用し、同業他社との比較、業界構造の可視化、データに基づいたコミュニケーション戦略の設計など、マーケティングPDCA全体を支援するサービス体制を確立。戦略立案段階では経営レベルでの支援を提供し、実行段階では広告運用・UI改善・営業支援に至るまでの伴走型サポートを行っている。
この構造により、顧客企業1社に対して複数サービスを提供する「併売」が進行し、顧客単価が上昇。さらに、2022年以降に加速したM&A戦略により、SEO支援、動画制作、IT教育、AIプロダクト開発など、隣接領域へのサービス展開が進み、グループとしての提供力が一段と高まっている。
2025年12月期には、マーケティング領域で売上55億円、AI・Technology領域で45億円を見込むなど、後者の急成長が目立つ構造となっており、AI関連プロダクトとコンサルティングのシナジー創出が今後の収益牽引役となる可能性が高い。
このようにエフ・コードは、SaaSとプロフェッショナル支援を組み合わせた“総合DXプラットフォーム”として独自のポジショニングを確立しつつある。定量的なKPIとしても、顧客数は5年間で10倍(2020年228社→2024年2,179社)に増加しており、複数年にわたる高成長がすでに実績として裏付けられている。
