スポーツ参加イベントで観光客誘致 インバウンドに長けたロッテルダム
オランダ・ロッテルダム

定期的に行われるスポーツ・フェスティバルの参加者。(画像提供:Stad Rotterdam)
ロッテルダムは「マース河のマンハッタン」と呼ばれ、高層ビルがマース河沿いにそびえ立つオランダ第2の都市である。第二次世界大戦中に爆撃を受け、市街のほとんどが崩壊したが、その後の復興により現在では5大陸を結ぶ欧州一のハブ港として重要な地位を不動のものとしている。
近代都市としてよみがえったロッテルダムは、常に進化する都市として斬新的な顔を持ち合わせている。一昨年に政府から「スポーツシティ」として認定を受けた。これは村おこしならぬ「市おこし」的な役割を果たしており、観光客誘致にも一役買っている。
もともと市には半官半民の運営組織「ロッテルダム・スポーツ」が存在し、スポーツを通じて市民だけでなく、観光客の積極的な参加を促してきた。ロッテルダム・マラソンはまさに好例の一つだろう。市内のスポーツ設備の充実にも力を入れている。本格的なボート・レースが初心者でも体験できる人工湖「ウィレム・アレキサンダー・バーン」は、トライアスロンにもチャレンジできる総合スポーツ施設で、水湖周辺にはジョギング・コースや自転車専用道路も整備され、サイクリングも楽しめる。観光客も気軽に参加できるよう便宜が図られていて、ロッテルダム中央駅からバスか、貸し自転車で10分とアクセスも良い。
現在進行中なのが、市内の運河を改造した波の出る巨大プールの建設だ。人工波の高さは30㎝から1.5m、約20秒間波の高さを維持できるように計画中で、サーフィン、カヌー、ウォーター・ポロそしてスキューバ・ダイビングなども行えるようだ。宿泊施設も併設されているので、今後も多くの観光客を誘致できると期待されている。
市では来年に向け、「ヨーロッパ一のスポーツ都市」としての肩書きを得るため、新たな目標を定めている。それは、市民と観光客が世代を超え、各種スポーツに一体となって参加することにより、忘れ難い思い出を作ってもらおうというもの。たとえば観光ツアーにスポーツ参加を盛り込み、誰もが気軽にトライできるよう、様々なプロジェクトが掲げられている。
2028年度のオリンピック招致を目標に入れ、斬新的なアイデアを以て進化する都市ロッテルダム。勝ち負けを争うのではなく、忘れ難い思い出と素晴らしい経験をもたらすものがスポーツだということを、この市でなら実際に体験できるに違いない。
取材・文/稲葉 霞織 編集協力/堀内 章子