進出を考える外資を専門でサポートし、1年で355社を誘致したインベスト香港
中華人民共和国・香港特別行政区

香港の街並みに、自然と日本の店や文字が並ぶ。
2015年まで経済自由度指数世界一の座を連続21年間保ち続けている香港には、海外企業の香港進出を推進する行政機関がある。Invest HK(香港投資推進局・インベスト香港)は、2000年7月に設立されて以来、2014年12月までに、3440社の香港への誘致を成功させ、910億香港ドル(約1.4兆円)を超える経済効果を生み出した。
元々、香港政府においては、1966年に設立のHKTDC(香港貿易発展局)が、すでに香港で開業している企業の営業活動を主にサポートをしていたが、インベスト香港は、これから香港へ進出しようとする海外企業に特化した有償サポートを提供している。香港政府は、こうした海外直接投資を統括する部署を設置することで、アジア有数の国際ビジネスセンターとしての香港の地位をより堅固にする為に活動している。
インベスト香港のホームページは香港の公用語である英語、中国語(北京語)、広東語を含む11種類の言語で紹介され、2014年度は355社を誘致した。そのトップ5は中国大陸75社、米国44社、英国32社、日本28社、そしてフランス25社であった。
香港は英国植民地だった歴史的背景を受け、海外企業にとって必要な人材を集めやすく、法的にも整備もされていることから、統計によれば昨年だけで2681人分の職を作り出したとのこと。政府機関とはいえ、一般の「お役所」イメージとは程遠く、SNS(ソーシャルネットワーク)も積極的に活用し、ツイッターなど合計で1万6000人以上のフォロワーがいる。最近では、Lush(英国のスキンケアショップ)や華御結(日本・おにぎり専門店)、La Galerie(フランス・写真ギャラリー)が成功例として紹介されており、よく知られた企業からニッチな分野の独立開業まで幅広くサポートしている。
また、2013年より、香港での起業希望者を対象にコンペを主催し、海外在住の受賞者には香港までの航空券や5泊の宿泊費を授与し、ビジネスのネットワークづくりへの便宜も図っている。
香港人は中国文化をもとに、西洋とアジア諸国の影響を受け入れ、国際色豊かな生活スタイルを送っている。邦画や日本のテレビドラマ、日本食も香港風にアレンジされながら多くの人に受け入れられている。海外進出を考える日本企業は、中国大陸やアジアへ進出する際に、まずは香港で開業してみるのも選択肢の一つとなるだろう。
取材・文/中田 あえみ 編集協力/堀内 章子