青幡神社の楠
写真・文/高橋 弘(巨樹写真家)
※この記事は2023年4月25日発行のジャパニーズインベスター117号に掲載されたものです。
青幡神社は、嵯峨天皇の流れをくむ松浦党の2代党祖・源直(みなもとのなおす)が久安年間(1145~51年)に、東山代町の里に政庁(せいちょう)を置き、その鎮守として創建したと伝えられる古社です。足の太い肥前鳥居をくぐり、境内に一歩足を踏み入れると大クスの雄姿が視界いっぱいに広がります。根張りの雄大さが印象的なクスノキで、その周囲はなんと28mほどもあるのだとか。この雄大な根に支えられて樹冠も大きく生長し、直径20mほどの大きさを誇ります。
古い時代に落雷の被害を受け、上に伸びていた主幹を失ってしまった痕跡が残っており、それを補うために多数の横枝が生長、現在見られる雄大な樹形となりました。解説板によると樹齢は500年とされていますが、少し控え目な樹齢のような気もします。やはり神社創建の頃に植えられて、少なくとも800年以上この地で集落を見守ってきたのだと考えた方がしっくりきそうです。
青幡神社周辺は、現在は埋め立てられており工場群が林立。かつては伊万里湾に面した立地であっただろうと考えられ、波打ち際にも近かったものと思われます。かつては海とクスノキが奏でる風光明媚な地であったに違いありません。
【DATA】
佐賀県伊万里市東山代町348番地
幹周/13.03m
樹高/17m
樹齢/500年
佐賀県指定天然記念物
【著者プロフィール】
1960年山形県生まれ。巨樹を撮り始めて36年目。出会った巨樹の数は3,400本にのぼり、出版、写真展、ホームページなどにより、巨樹の魅力を発信している。著書に『巨樹・巨木をたずねて』(新日本出版社)などがある。
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