第111回『個人投資家のための会社説明会 in 東京』開催レポート

6月17日、梅雨の晴れ間となった新宿。株式会社ビジョン、全保連株式会社、暁飯島工業株式会社の3社による個人投資家に向けた説明会が開催された。
経営陣の言葉から、未来を創る企業の真価を浮き彫りにする。
株式会社ビジョン
新設法人の10社に1社が顧客成長を支えるブルーオーシャン
株式会社ビジョン 代表取締役社長 COO 大田 健司 氏
株式会社ビジョン(証券コード9416/東証プライム)の説明会では、代表取締役社長 COOの大田健司氏が登壇した。大田氏は主力である情報通信サービスやグローバルWi-Fi事業の拡大に深く関わり、同事業の成長を牽引してきた。同社は、世界200以上の国・地域で利用可能なパケット定額制Wi-Fiルーターレンタルを行う「グローバルWi-Fi事業」、企業の通信インフラやオフィス機器を提供する「情報通信サービス事業」、そしてBtoC事業である「グランピング・ツーリズム事業」の3軸で展開している。同社は1995年、静岡・富士宮市のアパートの一室で佐野健一・現会長が創業し、現在は派遣社員を含め、約1200名弱の規模となった。
2026年12月期第1四半期の連結業績は、売上高が93億800万円(前年同期比0.8%増)と過去最高を更新した。対して営業利益は14億9600万円(同0.3%減)であった。将来の飛躍に向けた先行投資として2億円を計上したことが背景にある。セグメント別では、グローバルWi-Fi事業が中東情勢の影響を一部受けるも、情報通信サービス事業とグランピング・ツーリズム事業が業績を牽引した。
業界状況としては、海外渡航需要が回復基調にある一方で、燃料価格や為替の変動を注視する必要があるとした。同社の強みは、グローバルWi-Fi事業における法人利用比率の高さにある。個人利用が連休等の繁忙期に集中するのに対し、法人は年間を通じて安定的に利用するため、端末在庫の効率的な運用が可能となっている。また、国内上場企業の約30%が同社のサービスを利用しており、強固な顧客基盤を確立している。
情報通信サービス事業では、国内の新設法人の約10社に1社が同社の顧客となっており、起業直後の「川上」の段階で接点を持つことで、その後の成長に合わせたアップセルやクロスセルを実現するブルーオーシャン戦略が印象的であった。
成長戦略では、2028年度に営業利益100億円を達成する中期経営計画を掲げている。2026年を「地盤固め」の年と位置付け、M&Aでグループ入りしたアイウィッシュ賃貸保証やフリープラスとのシナジーを追求する。また、フィリピンのセブ島を中心とした多言語オペレーション構想を推進し、海外売上比率の拡大を目指すと、大田氏は説明した。
株主還元については、中期経営計画期間中、配当性向50%またはDOE8%のいずれか高い金額を目安に安定配当を維持する方針である。機動的な自己株式取得も実施し、資本効率の向上と株主への利益還元を両立させるとした。
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全保連株式会社
MUFG傘下で飛躍する信用力29年度売上360億円への道
全保連株式会社 代表取締役会長兼社長執行役員 茨木 英彦 氏
次の登壇は、全保連株式会社(証券コード5845/東証スタンダード)。代表取締役会長兼社長執行役員の茨木英彦氏が説明を行った。茨木氏は銀行出身の経歴を持ち、同社の経営基盤強化に尽力してきた。同社は家賃債務保証を主事業としており、2025年4月より株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の連結子会社となった。
2026年3月期の業績は、売上高が261億8800万円、営業利益が31億7300万円となり、売上・利益ともに上場以来連続で過去最高を更新した。時価総額は上場時の2.2倍に拡大しており、着実な企業価値の向上が見て取れる。
家賃債務保証業界は、日本の借地借家法による借り手保護の強さを背景に、安定した需要が存在する。同社の強みは、10年前に構築した「概算払い」という独自の仕組みである。これは口座振替当日に、残高不足分も含めて家賃の100%をオーナーへ支払うシステムであり、他社の追随を許さない圧倒的な競争優位性を生んでいる。
また、MUFGの一員となったことで、ブランド力と信用力が飛躍的に向上したことも同社の強みに拍車を掛けた。三菱UFJカードによる家賃決済商品の提供を開始したほか、グループのネットワークを活用して大手優良顧客層へのアプローチを強化している。全国19拠点の営業網に加え、滋賀銀行や鹿児島銀行、琉球銀行といった地方銀行との提携を深める地銀戦略も、強調したいポイントであることを茨木氏は説明し、MUFG入り以降、数多くの地銀から相談を受けていると明かした。
財務面では、売上高に対する求償債権(延滞家賃)の比率が業界トップクラスの低水準である22%に抑制されており、盤石な財務健全性を堅持している。その一方でDX推進にも注力しており、日本IBMとのパートナーシップによりAIの導入を進め、審査や回収の高度化を図っている。
次に説明された成長戦略では、2030年3月期に売上高360億円、経常利益63億円を目指す長期経営計画を策定した。居住用だけでなく、より市場規模の大きい事業用物件の保証にも注力。茨木氏はこの市場を「ブルーオーシャン」と位置付け、開拓を進めるためにも信用力のあるMUFGとの連携を軸に、成長を追求すると語った。
株主還元については、持続的かつ安定的な還元を重視し、累進配当を導入している。長期経営計画期間中は配当性向50%以上、または下限配当を40円とする方針を打ち出し、株主への利益還元を一層強化する体制を整える。さらに創業の地・沖縄のbリーグ強豪の「琉球ゴールデンキングス」にも出資し、トップオフィシャルスポンサーも務めるなど、地域社会への貢献にも取り組んでいる。
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暁飯島工業株式会社
技術が創る快適ビル空間一貫体制で高収益へ挑戦
暁飯島工業株式会社 取締役上席執行役員 片桐 倫明 氏
当日を締めくくったのが、暁飯島工業株式会社(証券コード1997/東証スタンダード)。取締役上席執行役員・片桐倫明氏の登壇である。片桐氏は長年、原価管理や財務部門を歩んできた専門家だ。茨城県水戸市に本社を置く同社は、空調や給排水衛生などの設備工事の設計、施工、保守管理を行う総合設備会社であり、今年で設立73期目を迎える。
2026年8月期第2四半期の累計業績は、売上高が47億1200万円(前年同期比5.6%増)、営業利益が7億6200万円(同52.8%増)と非常に好調な推移を見せた。受注工事高も55億円と前年同期を大きく上回っており、豊富な手持ち工事を確保している。2026年8月期の通期予想は、売上高93億円、営業利益10億円を見込んでいると、片桐氏は説明。
同社を取り巻く設備業界の環境を語ると、1960年代から90年代に建てられた建物の更新需要が高まっている一方で、足元では技術者不足や資材価格の高騰、中東情勢によるサプライチェーンの混乱といった課題を抱えている。その中にあって最大の優位性は、新築時の「建築設備事業」、保守点検の「ビルケア事業」、省エネ化を図る「リニューアル事業」を連動させた「ビル空間事業サイクル」という独自の一貫体制にある。自社内にビルケア部門を持つことで、建物のライフサイクル全体にわたって顧客と長期的な信頼関係を構築し、ストックビジネスとしての収益基盤を確立している点が印象的であった。
そして成長戦略について、中期経営計画「ネクスト暁飯島ビジョン2030」を推進していることを説明。高収益体質への挑戦として、営業やビルケアへのDX投資を行い、業務の効率化と標準化を進めている。また、技術継承のために若年層の採用と育成を強化しており、マニュアル化や動画による技術の「見える化」にも取り組んでいる。水戸、つくば、東京の3拠点を軸に、戦略エリアでの受注拡大を目指すと、片桐氏は説明した。
株主還元については、2026年2月末を初回基準日として株主優待制度を導入した。300株以上の保有者を対象に、常陸牛やメロン、干し芋といった茨城県の特産品を掲載したカタログギフトを贈呈している。これは株主への感謝とともに、地元茨城の魅力を発信し地域社会へ貢献する意図も含まれている。配当については、財務の健全性を維持しつつ、利益水準に勘案した適切な成果の配分を行う方針である。さらに、地元のスポーツ振興のためにスポンサー契約やイベント協賛を積極的に行っていることにも注目したい。
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