第109回『個人投資家のための会社説明会 in 東京』開催レポート

3月12日に東京で開催された個人投資家説明会は、第109回目を数える。ファーマライズホールディングス株式会社、株式会社アイキューブドシステムズ、株式会社エル・ティー・エスの3社が登壇した。
ファーマライズホールディングス株式会社
調剤薬局事業と在宅医療の成長戦略
ファーマライズホールディングス株式会社 代表取締役社長 秋山 昌之氏
第一に登壇したのはファーマライズホールディングス株式会社(証券コード2796/東証スタンダード)である。調剤薬局事業を中核とし、全国449店舗(うち401店舗が調剤薬局)を展開。売上高635億円のうち81%を調剤が占め、安定した制度ビジネスを基盤とする企業と、代表取締役社長の秋山氏は説明。
調剤薬局の収益は処方せん枚数と単価で決まり、処方せん1枚あたりの全国平均単価は約1万円で、その内訳は薬剤料75%、技術料25%程度で構成される。利益は主に技術料と薬価差益から生まれ、特に技術料の算定水準が収益性を左右する。調剤報酬改定や薬価改定といった制度変更の影響を受ける一方、一定の安定性を有するビジネスモデルである。
業界全体では医薬分業率が80%を超え成熟段階にあるが、超高齢化社会の進展により在宅医療分野は拡大が続く見通しである。2040年には高齢者人口比率35%に達するとされ、在宅医療の重要性は一段と高まる。同社は30年以上にわたり在宅医療に取り組んできた実績を持ち、既存薬局の人員を活用した効率的な運営体制を構築している点が強みである。在宅医療では医師や看護師、介護事業者との連携が不可欠である。同社は地域ネットワークへの積極的な参画を進め、単なる調剤機能にとどまらない役割を担っている点が他社との差別化につながっている。
また、全国に約6万3000軒存在する薬局の多くが事業承継期を迎えており、再編機会が拡大している。同社は直近で30~50店舗規模の複数M&Aを実施してきた実績を有し、更なる大型案件も含めて、今後も受け皿としての役割を果たす方針だ。直近ではPMIを重視し、取得店舗についても既存店舗なみの収益改善を優先する戦略であると秋山氏。
中期経営計画では、売上高700億円、営業利益16億円を目標に掲げ、成長戦略として、かかりつけ薬剤師機能の強化や処方せん応需枚数の増加、デジタル活用の推進等、複数の施策を展開する。かかりつけ薬剤師を指名するのべ患者数は全国平均を大きく上回る水準にあり、薬剤師の専門性の高さが競争力の源泉となる。また、認知症カフェをベースとし、健康相談ができるイベントまで拡張した「カフェにゃーまらいず」による地域交流活動にも注目が集まる。
さらに、オンライン服薬指導や処方せんの事前送信など、患者利便性の向上にも取り組む。デジタル技術の活用により業務効率化とサービス品質向上を両立し、長期的な成長を目指す。制度変化へのキャッチアップが必要な業界でありつつも、在宅医療と機能強化による成長余地を併せ持つ点が印象的であった。
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株式会社アイキューブドシステムズ
CLOMO事業の成長がさらに加速
株式会社アイキューブドシステムズ 取締役執行役員管理本部長 CFO 坂田 崇典氏
次に登壇したのは坂田崇典氏。株式会社アイキューブドシステムズ(証券コード4495/東証グロース)における取締役執行役員管理本部長CFOである。同社は、企業のスマートフォンやタブレットを一元管理するMDMサービス「CLOMO MDM」を主軸に、ソフトウェアの開発・提供を行なっている企業である。売上高は今期見込みで45億円規模に達し、ストック型収益を基盤とした極めて安定したビジネスモデルを確立している。
主力であるCLOMO事業は、端末の利用状況を可視化し、紛失時の遠隔ロックやデータ消去を可能にするインフラサービスである。企業のセキュリティインシデントの約37.4%が端末紛失に起因する中、モバイルワークが標準化した現代において、同社のサービスは必須の安全装置として位置付けられている。市場規模は周辺のPC管理領域まで含めると約700億円に達し、DX進展に伴い建設や医療、教育現場での導入が加速している。
同社の最大の強みは、強力な販売パートナー戦略にある。特にNTTドコモグループとの強固な連携を軸に、OEM提供を通じて膨大な顧客基盤へアプローチできる体制を整えている。自社単独の営業力に依存せず、通信キャリアの販売網を活用し、効率的な導入拡大を実現している。また、3G回線終了に伴うスマートフォンの買い替え需要も強力な追い風となり、新規導入の勢いは極めて強い。
ストック型ビジネスの重要指標である解約率の低さも特筆すべき点である。直近の継続率は97.6%という高水準を誇り、一度導入した企業が長期利用する傾向が強い。これは開発からサポートまで自社で一貫提供し「顧客の声を迅速に製品へ反映させる体制が評価されている証左だ」と坂田氏。導入法人数は9523社に達し、年間経常収益(ARR)は35億1500万円と前年同期比16.3%増の二桁成長を継続している。
セキュリティ面では、政府認定基準であるISMAPに登録されており、厳格な水準が求められる官公庁や自治体への導入も加速する見通しである。この公的な信頼性は、競合に対する強力な参入障壁となっている。
今後の成長戦略は、既存のモバイル管理に加え、PC管理領域への本格進出を掲げる。企業内のデバイスを一元管理したいニーズを取り込み、顧客単価の向上とシェア拡大を狙う。株主還元は年間配当36円、配当性向25%を予定しており、優待制度も導入。高い成長性と還元のバランスを重視する経営姿勢が示された。モバイル社会の進展という構造的な追い風を背に、同社が描く成長曲線は投資家にとって非常に魅力的な内容であった。
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株式会社エル・ティー・エス
企業変革支援と人材価値の向上に注力
株式会社エル・ティー・エス 代表取締役社長執行役員 樺島 弘明氏
最後に登壇したのは株式会社エル・ティー・エス(証券コード6560/東証プライム)代表取締役社長執行役員の樺島弘明氏。同社は、戦略立案から実行支援までを一気通貫で手掛けるコンサルティング企業であり、売上高171億円、営業利益11億8500万円と着実な成長を遂げる。最大の特徴は、単なる提言に留まらず、顧客企業と変革を共に推進する伴走型のスタイルだ。
提供領域は戦略、DX、業務改革、人材開発と多彩。これらを分断せず統合的に提供できる点が大きな強みである。企業変革は単一の領域では完結せず、組織・業務・システムの三位一体での改革が不可欠で、その全体設計から実装までを一手に担う点に価値がある。特にDX推進においてはデジタルツール導入に終始せず、業務プロセスそのものの再設計まで深く踏み込むことで、実効性のある成果創出につなげている点が高く評価されている。
主なターゲットは年商規模が準大手クラスの企業で、プロジェクト規模は5億から15億円程度が中心だ。大手コンサルが手掛けにくい細やかな領域において高品質なサービスを提供する独自のポジションを確立。長期プロジェクトの比率が高く、一度構築した信頼関係を基盤に継続的な支援を行うリピート受注が、同社の安定した収益基盤を支える。
外部環境に目を向けると、DX投資の拡大が続く一方で、変革を実効的にリードできる人材は慢性的に不足している。同社はこの課題に対し、コンサルティングと人材育成の両面からアプローチを強めている。社内教育においては、若手社員にプロジェクトの核心部分を任せる実践型の育成を重視しており、組織全体の生産性向上を図っている。
経営管理面では、1人当たり付加価値の向上が最重要指標だ。単なる人員数の拡大に依存するのではなく、個々のコンサルタントの専門性を高めることで高単価・高収益なモデルを志向できる。現在は本部制の導入によるマネジメントの高度化を進めており、案件ごとの採算管理を徹底することで、営業利益率10%を安定的に目指す段階にある。
中長期的なビジョンとしては、2030年に売上高500億円、営業利益50億円という目標を掲げる。生成AIの進展により定型的なコンサルティング業務が代替される可能性を見据えつつ、人間ならではの構想設計や意思決定支援といった高付加価値領域に経営資源を集中させる方針だ。企業変革は一過性のブームではない。日本企業が直面し続ける構造的な需要であり、その中心に位置する同社の成長余地は極めて大きい。実行力を武器に、いかにして成長軌道を確固たるものにするか、今後の展開が非常に期待される内容であった。
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