第108回『個人投資家のための会社説明会 in 大阪』開催レポート

3月6日、大阪にて開催された第108回個人投資家説明会では、いちよし証券株式会社、ファーマライズホールディングス株式会社、シナネンホールディングス株式会社の3社が登壇し、投資家を前にそれぞれの戦略説明を行った。
いちよし証券株式会社
対面営業の特化と「改革の断行」を持続
いちよし証券株式会社 代表執行役社長 玉田 弘文氏
トップバッターとして登壇したのが、いちよし証券株式会社(証券コード8624/東証プライム)の玉田弘文代表執行役社長。同社はオンライン取引を行わず対面営業に特化し、顧客とのフェイス・トゥ・フェイスによる信頼関係構築を重視する点が最大の特徴。従業員約1020名、営業拠点52店舗という体制で、関東・近畿を中心に顧客基盤を構築している。
同社の根幹にあるのが1998年から続く「改革の断行」である。売買手数料中心のフロー型ビジネスモデルから信託報酬など安定収益を重視するストック型ビジネスモデルへ転換し、預かり資産を最重要指標とする体制を確立。預かり資産は2兆6009億円に達し、中期経営計画の目標3兆円に迫る水準となっている。
証券業界ではネット証券を中心に手数料競争が激化しているが、同社は追随しない戦略を明確化。過去に仕組債で約10億円の損失を出した経験から、複雑で説明困難な商品は取り扱わない方針を徹底。顧客本位の業務運営を実践し、現在の競争優位につながっている。
さらに「トライアングル・ピラミッド経営」により、いちよし経済研究所といちよしアセットマネジメントが連携する体制を構築。中小型株に特化したアナリスト集団は国内トップクラスで、新興市場部門で19年連続1位の実績がリサーチ力の高さを裏付ける。こうしたリサーチ力が、対面営業における提案の質を高め、顧客の長期資産形成を支えている。
主力のファンドラップ「ドリーム・コレクション」は純資産残高4210億円、口座数3万943件と拡大し、中期計画目標を達成した。顧客の運用損益がプラスの割合でも2年連続1位を記録し、商品力の高さが示された。コストカバー率80.2%、ROE 12%と収益性も高水準であり、ストック型ビジネスモデルの成果だ。
加えて、採用面でも2025年は新卒・中途の計180名を採用し、体制強化が進行中だ。コロナ禍以降採用を一気に拡大した点は、育成を見据えた表れ。アドバイザーの質を高めることで、預かり資産のさらなる積み上げが期待される。また、対面営業を支えるインフラとして52店舗体制を維持し、顧客との接点を重視する。甲子園球場や神宮球場への広告掲出、BS番組提供などのメディア展開も、ブランド認知向上に寄与している。
株主構成は個人が約6割を占め、そのうち54%が10年以上保有。長期株主が多い点は信頼の裏付けだ。株主還元は配当性向50%程度またはDOE半期2%程度の高い方を採用し、安定配当を実施。自己株式償却も長期間進めてきた実績があり、株主重視の姿勢は明確だ。新中期経営計画も控え、改革の深化が期待される。市況についても、日本企業の業績や政策期待を背景に、株式市場の上昇余地に前向きに言及した点も印象的であった。
いちよし証券株式会社の個人投資家説明会動画はこちらから>
ファーマライズホールディングス株式会社
調剤薬局と在宅医療、両輪での成長を図る
ファーマライズホールディングス株式会社 代表取締役社長 秋山 昌之氏
次に登壇したのはファーマライズホールディングス株式会社(証券コード2796/東証スタンダード)だ。同社は、調剤薬局事業を中核とし、全国449店舗を展開する売上635億円規模の中堅チェーンと位置付けられ、売上の81%を調剤薬局、15%を物販が占めている。関西を基盤とするドラッグストアチェーンも今は同社の傘下にあり、M&Aによって全国的に幅広く展開している印象。
調剤薬局業界は医薬分業率80%超まで進展し成熟段階にあるが、薬価改定により単価は下落傾向にある。一方で高齢化の進展により医療需要は拡大しており、特に在宅医療分野が成長領域となっている。同社は30年以上の在宅医療の実績を持ち、売上の約10%を在宅医療が占める点を大きな強みとし、既存薬局の薬剤師が空き時間を活用して訪問する効率的なモデルを構築。新たな投資をせずとも収益機会を拡大できる点が特徴である。また、有料老人ホーム等との連携も進めており、継続的な処方せん応需につながる基盤を築いている。
収益構造は処方せん枚数と単価に依存し、全国平均では処方せん1枚あたり約1万円の単価となっており、そのうち薬剤料75%、技術料25%程度で構成される。薬価差益と技術料が利益源となるため、「かかりつけ薬剤師」としての機能強化による技術料獲得や応需枚数の増加が重要となる。関連した取り組みとして、DX推進、及び薬局実店舗における相談機能の充実や全国の薬局ネットワークを活かした健康イベントの開催により来局機会を創出している。
オリジナルキャラクターのニャーマライズ先輩にちなんだ、「カフェにゃーまらいず」は、認知症カフェをベースに、野菜摂取量測定や肌年齢測定等の健康イベントまで拡充することで、気軽に立ち寄れる場を提供し、地域との接点を強化する。単なる調剤拠点にとどまらない価値提供が、顧客基盤の拡大につながっている。また、全国約6万3000軒の薬局の多くが事業承継期を迎えており、M&A機会も拡大している。同社は平成9年頃からM&Aを継続してきた実績を持ち、直近でも複数案件を実施し、成長戦略の柱の1つとして位置付けている。グループ入りした店舗についても、既存店と同レベルのサービス水準、収益性まで高めていることも同社の持ち味と言える。
デジタル化の推進も進む。公式LINEによる処方せん送信、オンライン服薬指導、電子処方せんへの対応、導入検討中のAI薬歴等、現場の負担軽減と患者対応向上の両立が期待されている。
社会のインフラの1つとして、景気変動の影響を受けにくい点も、投資対象としての安心感につながる要素と言えるだろう。
ファーマライズホールディングス株式会社の個人投資家説明会動画はこちらから >
シナネンホールディングス株式会社
エネルギー基盤と構造改革が価値向上の決め手に
シナネンホールディングス株式会社 執行役員財務IR部長(当時) 寺田 達彦氏
説明会のトリを担ったのは、シナネンホールディングス株式会社(証券コード8132/東証プライム)の執行役員財務IR部長(当時)寺田達彦氏だ。同社は1927年創業のエネルギー企業で、LPガスの供給は年間50万トンで国内第3位、灯油130万kLを扱う供給網を持つ。
エネルギー事業には季節性があると、寺田氏は説明した。中でも、第3・第4四半期に利益が偏る構造を持つ。同社はこの課題に対し、通年で収益を確保できるメンテナンス事業やモビリティ事業の拡大を進めている。収益の平準化という観点からも重要な戦略と言えるだろう。
同社は2015年にホールディングス体制に移行したが、その後の10年でコスト増大と成長停滞が課題となったことに言及。「コングロマリットディスカウント状態」に陥ったと説明した。このため現在は選択と集中による構造改革を推進している。エネルギー関連4社の統合により経営資源を集中し、効率化とブランド統一を図る方針を示した。これによりサービスの幅と深さを同時に拡大する狙いである。
中期計画では2027年度に経常利益100億円、ROE8%以上を目標とする。2025年度見通し49億円からの成長を目指し、リテールサービスを新たな収益ドライバーとして位置付けている。メンテナンス事業では集合住宅や大学施設などの受託を拡大し、安定収益基盤を構築していることを報告。建物の維持管理を一括で請け負う体制により、継続収益の積み上げが可能となっている。
モビリティ事業では1万5000台のシェアサイクルを展開し、都市部に加え観光地でも活用が進む。地域交通インフラとしての役割を担う点も特徴である。さらに、エネルギーと生活サービスを組み合わせた提案により、顧客との接点を広げている。水回りや保険などの周辺サービスも含め、生活全体を支えるモデルへの転換が進行中である。
株主還元は配当と自社株買いを組み合わせ総還元性向40%を目標としている。5億円規模の自社株買いを実施し、資本効率向上への姿勢を明確にした。加えて、キャッシュフローの活用方針についても言及があり、成長投資と還元のバランスを重視する姿勢が示された。資本政策の柔軟性を高めることで、今後の企業価値向上につなげる狙いが明確となっている。
エネルギーの安定供給という社会的インフラとしての責務を果たしながら、新たなサービス領域へ拡張する同社の変革は、100周年に向けた成長戦略として強い存在感を示した。
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