リックス株式会社 『オリジナル製品の開発強化による差別化で新たな成長を目指す』
リックス株式会社
東証プライム/証券コード 7525
前号をご覧になられた皆さまからいただいたご質問にお答えします。
代表取締役社長執行役員
安井 卓
Takashi Yasui
2006年当社入社。2013年事業開発本部事業企画部長、2014年に取締役に就任。事業開発本部副本部長、企画本部長、海外子会社管理部長、 瑞顧斯貿易(上海)有限公司董事長、営業本部副本部長を経て、2019年4月代表取締役社長、2022年6月代表取締役社長執行役員(現任)に就任。
Q1 競合先や他のメーカー商社との違いについて教えてください。
当社はメーカー商社として、鉄鋼、自動車、電子・半導体、ゴム・タイヤ、工作機械、環境、紙パルプ、高機能材、食品など様々な製造業の生産現場向けに、機械装置や計測機器、消耗品などを提供しています。業界、地域、お客さまごとに、地場商社や専門商社などの競合先は存在しますが、上場企業はほとんどなく、プライム市場に上場して全国展開している当社は稀有な存在であると思います。
また、自社でオリジナル製品を開発できるだけの技術力を持ち、自社工場も保有しているため、対応が難しいとされる品質・コスト・納期といった要点を押さえて営業活動ができるのが、他のメーカー商社との違いであると考えています。また、幅広い情報ネットワークを持つ『業界プロリーダー』と呼ばれる人材を持っているだけでなく、対応する営業要員も業界ごとの専門性を有しており、技術的な対応が可能であることも、当社の強みであると思います。
Q2 具体的な製品や強い業界について教えて下さい。
当社の取扱製品は、産業界の様々な分野で活躍していますが、鉄鋼、自動車、電子・半導体の3セグメントで当社売上の6割強を占めます。
当社(メーカー部門)が製造する製品としては、ロータリージョイントと産業用の洗浄装置が主力になります。当社製のロータリージョイントは、鉄鋼、電子・半導体、食品など多くの業界で使われており、なかでも工作機械業界向けでは国内トップシェアとなっています(約70%、当社調べ)。
自社製品の開発については、基本的には流体制御技術を軸に行っております。この技術に発展性を持たせるため、「流体」、「制御」については幅を持たせています。例えば、「流体」にも水・油・空気などがありますが、粉・電気や情報なども入れるとさらに広がります。また、「制御」についても、「送る」、「止める」、「分離する」など、さまざまな意味合いで解釈しています。
Q3 為替や原材料価格上昇、中国動向の影響について教えて下さい。
為替については、当社の場合、買掛金(債務)よりも外貨建ての預金・売掛金が大きいため、円安になれば為替差益、円高になれば為替差損が発生します。2023年3月期の第1・第2四半期は、円安傾向が続いたため、営業外収益でかなり多額の為替差益が発生しました。
原材料価格上昇については、仕入れ価格の上昇があるものの、お客さまへの売価に上乗せするのが基本的な考えです。当社と取引のある業界に限らず、原材料価格は全体的に上昇しているため、お客さまにもご理解をいただきやすく、業績への影響は想定より軽微なのが実情です。
中国に関しては、ゼロコロナ政策が経済活動の大きな足かせだったと捉えています。現在は規制緩和傾向に進んでおり、当社業績にとっても、これまでよりもプラスに作用すると考えています。 他にも、世界に目を向けると、物価の高騰、エネルギー価格の高騰、軍事的な脅威など、様々なリスクが考えられます。これらを予想するのは難しいですが、しっかりと情報収集を行い、適切な対応を図っていきます。
Q4 今後の海外展開について教えて下さい。
海外で戦ううえで、自社製品、グループ会社の製品といったオリジナル製品が武器になると考えています。現在10%の海外売上比率を、2030年までに20%に伸ばしていくためにも、オリジナル製品開発の強化を進めています。
また、展開する地域としては、今後も成長が見込まれる中国、北米、インドに注力したいと考えています。現在、中国で当社製のロータリージョイントや洗浄装置を、タイで洗浄装置を製造しています。海外進出に際しては、現地の商習慣や文化の違いなどにも注意を払わなければいけません。また、製造拠点に関しては、利益を出すまでに非常に大きな固定費のリスクを負うことになります。そのため、慎重に検討を重ねて、長期的に現地生産をどこでやっていくべきかを計画しています。
Q5 中期経営計画の詳細について教えて下さい。
中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)では、連結売上高500億円、営業利益率6.5%以上、ROE10%以上を目標としています。その実現に向けて「収益性の向上」、「オリジナル製品比率の向上」に取り組んでいます。
これまでは、自社工場の敷地内にある「技術開発センター」で開発業務を行ってきました。主力であるロータリージョイントや洗浄装置の改良、新機能の付加などを実施し、既存品のラインナップを充実させてきました。その一方で、次の柱となる新製品の研究・開発は後回しにされるという状況にありました。
そこで、既存製品の枠にとらわれずに、新製品・新商品・新サービスを開発するため、2022年12月、新製品の研究・開発を目的とする『リックス協創センター』の建設決定を発表しました(2024年6月末完成予定)。建設地についても、既存製品を開発する「技術開発センター」から離れた場所に置き、流体制御技術を核にした新たな研究・開発を進めていきたいと考えています。
当社ではさまざまなパートナーと協力して、ものごとやソリューションをつくり上げていくことを重要視しており、そのことを"協創"と表現しています。社内だけでなく、社外(顧客・仕入れ先、ベンチャー企業、研究機関、大学など)と協力しながら、顧客の抱える課題や社会課題を解決できる新製品を創り上げていきたいと思っています。