株式会社NITTAN 『「日鍛バルブ」で培った技術と誇りを胸に、「NITTAN」として新たな企業価値創造へ!』
株式会社NITTAN
東証スタンダード/証券コード6493
代表取締役社長
李 太煥
Lee Tai Hwan
1989年起亜自動車株式会社入社。1995年当社入社。同年韓国事務所長、2011年取締役営業統括部営業開発部部長、15年常務取締役営業統括、総務部門担当、19年専務取締役執行役員経営企画部門担当を経て、22年より現職。
URL https://www.niv.co.jp/
日鍛バルブからNITTANで新たな付加価値創出へ繋げる!
1948年(昭和23年)の設立以来、世界トップレベルの熱間鍛造の技術で日本のモノ創りを支え、エンジンバルブ主体の独立系部品メーカーへと成長してきたNITTAN(旧・日鍛バルブ)。エンジンバルブのトップメーカーとして、「耐久性」「軽量高速化」が求められる世界最高峰のレースで日本メーカーの勝利に大きく貢献。また、エンジンバルブのほか、オートマチックトランスミッション用デフギヤなど環境面にも配慮した開発を通じて、社会発展と環境保護を両立した事業を展開している。
同社がもっとも影響を受ける自動車業界は、EV化への大きな潮流や自動運転技術の進化に加え、SDGsをはじめとする企業のサステナビリティへの取り組みが重要性を増している。こうした中、同社は、2030年までの中長期経営ビジョン「NITTAN Challenge 10」(以後、NC 10)を策定。2022年4月には「日鍛バルブ株式会社」から「株式会社NITTAN」へ商号を変更している。「バルブ」の表記を外して、既存の事業にとらわれない無限の事業領域の可能性を目指すとともに、漢字からアルファベットにすることで、グローバルでの事業拡大も目指している。
事業環境の急激な変化に応え、中核事業を筆頭に改革を推進
現在、同社には5つの事業があり、その筆頭が小型エンジンバルブ事業で連結売上高の約75%を占める。エンジンバルブとは、800℃を超えるエンジン内部の燃焼室で1分間に数千回という速さで開閉運動をする部品。同社では、耐久性や小型化はもとより、燃費向上に資する高性能なエンジンバルブを開発し、乗用車、トラック、バス、二輪車、汎用製品等に搭載されている。
そのエンジンバルブの技術を応用した舶用部品事業は、高シェア事業(同社推定:舶用中速エンジン向け66%、船外機向け42%)で、今後は水素やアンモニアのGHG(温室効果ガス)フリーエンジン化の開発と転換に取り組んでいく。
歯車事業では、既存のデフギヤやオートマチックトランスミッション用デフギヤを維持しつつ、熱間鍛造技術を活用したヘリカルギヤを開発し、「E-Axle」のニーズにも対応していくことで、次の柱の1つに育てていく予定だ。
PBW事業は、乗用車のパーキングブレーキ用部品として、従来の電動式から油圧化し、顧客のニーズを実現。
その他事業では、工作機械の製造販売のほか、様々な事業に取り組んでいる。
いずれの事業も鍛造や機械加工等のコア技術を応用しており、その高度な技術力で次世代事業の育成に注力している。
2030年の目標達成に向け、NC 10を推進中
同社の中長期経営ビジョンNC 10では、2030年の目標達成(売上高1,000億円以上/営業利益額100億円以上/売上高営業利益率10%以上)に向けて、ICE(内燃機関)領域、脱炭素エンジン領域・駆動領域、xEV領域の3本柱を育成していく。
その成長を支える外部環境としては、先進国では電気自動車等を中心にxEV領域が拡大し、新興国ではガソリン車中心のICE領域が引き続き必要とされることが見込まれている。
同社は、中国やアジアを中心とした新興国向けに「VISION Ⅰ」(ICE有効活用領域)として、既存エンジンバルブの製造販売を加速させ、営業利益率15〜20%を達成し、収益基盤とすることを目指している。
また、「VISION Ⅱ」(xEV領域)では、先進国を中心に脱炭素化を背景としたEV化に関わる新たな開発と商品化へ挑戦する。例えば、同社独自開発中の増・減速機(ニクストロイド)を自動車だけではなく、電動小型モビリティにまで応用するなど、技術力を背景にNC 10の幅と奥行きを広げていく構えだ。
NC 10と共にNCNを推進し、サステナビリティも積極展開
同社では、NC 10と共に2030年度温室効果ガス排出50%削減(CO2排出枠取引等4%含む)の実現を目指す「NITTANカーボンニュートラル(NCN)」を推進していく構えだ。
具体的には、直接排出量にあたる燃料の燃焼(スコープ1)については、環境対応車の切り替えを積極的に推進、EV車両用充電スタンドの整備を進めている。間接排出量にあたる電気の使用(スコープ2)では、屋根屋上への太陽光パネルを設置するなど、太陽光発電を積極的に展開。また、照明のLED化、設備更新による省エネを推進。その他の排出量(スコープ3)では、ニアネット活動(※)により、鋼材使用量、補助材料を削減するとともに、3Rにより廃棄物を削減していくという。
※ニアネット活動……鍛造素材を完成品に近い形状に仕上げることをニアネットシェイ(Near net shape)と呼び、同社ではニアネット活動としている。
最後に、配当については2021年3月期7円(中間3円、期末4円)を底に、22年3月期11円(中間5円、期末6円)とV字回復。NC 10とカーボンニュートラルへの投資も考慮して、23年3月期は12円(中間6円、期末6円)を予定している。
コーポレートスローガン「CHALLENGE・CREATION・SPEED(挑戦・創造・スピード)」のもと、時代のニーズを先取りした高品質な製品を提供し続ける同社に注目したい。