三井住友トラスト・ホールディングス株式会社 『継続的な「対話」で個人投資家との中長期的な関係を構築』
三井住友トラスト・ホールディングスは、証券会社や証券取引所などが主催するオンライン説明会を通じて、個人投資家との対話を積極的に行っている。今回は8月30日開催の個人投資家説明会の内容をダイジェストでお伝えする。プレゼンターは同社IR部長の加藤信氏。

東証プライム/証券コード 8309

【DATA】
設 立 2002年
資 本 金 2,616億872万5,000円
代 表 者 取締役執行役社長 高倉透
住 所 東京都千代田区丸の内1-4-1
決 算 期 3月31日
単元株数 100株
URL https://www.smth.jp/
会社説明
信託銀行を中核とする国内唯一の金融グループ
同社は、旧中央三井トラスト・ホールディングスと旧住友信託銀行が統合して誕生した、信託銀行を中核とする国内唯一の金融グループ。企業・個人向けの預金や融資などの一般的な銀行業務も行っているが、主軸は信託関連業務である。この信託関連業務には、①年金信託や遺言信託、証券代行業務などの資産運用・管理ビジネス、②不動産仲介や不動産コンサルティング、不動産証券化などの不動産ビジネスと、大きく2つのビジネス領域がある。グループ企業には、中核の三井住友信託銀行の他、資産運用残高合計127兆円とアジア最大規模を誇る三井住友トラスト・アセットマネジメントと日興アセットマネジメントなどの資産運用会社、個人向け不動産仲介の三井住友トラスト不動産、インターネット専業銀行の住信SBIネット銀行など、各分野でトップクラスの企業が名を連ねる。
銀行、信託および不動産を融合させたハイブリッド型のビジネスモデルに基づき、多彩な商品・サービスを提供し、企業・個人のお客さまが抱えるさまざまな問題を解決していくのが同グループの強みとなっている
手数料収益による安定した利益構造
同グループ各社は信託関連ビジネスにおいて、高い専門性に基づく高付加価値サービスをお客さまへ提供しており、その対価として手数料を受け取っている。開示資料から集計した同社調査によれば、粗利に占める同社の手数料収益の割合は54%。国内3メガバンクグループや欧米の主要3社平均が30%台であることからも、手数料収益の割合が高いことが分かる。日本の低金利政策が長く続く中で、金利環境に左右されにくい手数料収益は、これまで同社の着実な収益成長を支えてきた。今後金利が上昇すれば、同社銀行ビジネスの金利収益にもプラスに働くほか、強みとする手数料収益の更なる拡大と相まってますます成長が期待される。さらに、不良債権比率も3メガバンクよりも低く、高い資本効率と財務健全性の両立が同社の強みとなっている。
サステナブルな成長と株主還元
同社は中期経営計画で「社会的価値創出と経済的価値創出の両立」を経営の根幹に据え、信託の力で社会のサステナブルな発展に貢献するとともに、自社の成長を目指している。また、超高齢社会、カーボンニュートラルへの対応、コロナショック後の社会の在り方の変化など、多くの社会課題がある中、積極的に取り組む3つのテーマを掲げている。①個人向け:超高齢社会に対応する資産管理・承継、国民の資産形成、②企業(法人)向け:気候変動・脱炭素へ対応する日本経済・企業の持続的成長(財務・非財務両面の課題の対応)、③投資家向け:多様な運用機会提供、インベストメントチェーンの発展
こうした取り組みが結実し、中期経営計画2年目に当たる2021年度の実質業務純益は3,460億円と中期経営計画最終年度に目指していた水準を前倒しで達成し、同時に統合来最高益を記録した。純利益も2021年度は1,690億円と前年度比268億円増、2022年度はさらに増益の1,900億円を目指す。
また、株主還元では2022年6月から9月にかけて約300億円の自己株式を取得。2022年度をめどに連結配当性向を40%程度に引き上げる方針を掲げており、利益成長に沿った株主還元の強化に取り組んでいる。
人的資本や気候変動問題にも注力
同社はサステナビリティへの取り組みにも注力している。人的資本の観点では、社員こそが価値創造の源泉と捉え、自律的なキャリア形成サポートや人材育成投資を積極的に推進。三井住友信託銀行では、営業店で働く職員の実に2名に1名が宅地建物取引士資格を保有。年金数理人、不動産鑑定士、弁護士など高度な専門資格をもつ人材を数多く擁し、日々の実務経験の中で専門性を磨いている。また、気候変動問題への対応としては、2021年にカーボンニュートラル宣言を公表、2030年までに自社グループの排出する温室効果ガス排出量をネットゼロに、2050年までに投融資先の排出する温室効果ガス排出量もネットゼロ実現を目指し、取り組んでいる。
質疑応答
続いて、主な質問は下記の通り。
Q:「メガバンクとの違いは?」
A:本邦唯一、信託銀行を中核とする金融グループです。主軸の信託関連ビジネスは人生100年、ESGといった社会構造変化の追い風を受ける領域が多く、今後の成長に期待いただけます。
Q:「信託の魅力は?」
A:対象は自由であり、金銭だけではなく、土地のような実物資産も信託可能です。時代やお客さまのニーズに、柔軟にお応えできることも魅力の一つです。
Q: 「今後の配当方針は?」
A:2022年度の配当金は、前年比+30円の1株あたり200円を計画しており、予想配当利回りも5%弱の水準まで上昇しています。

同社独自の信託を軸にした成長戦略、企業価値向上策がよく分かる説明会であった。また、同社ホームページには、個人投資家にもわかりやすいコンテンツが豊富にアップされているため、ぜひ一度ご覧いただきたい。