暗号資産40%、株式30%、現金20%、金10%。「価値の消えない資産」を追求する人気ユーチューバーの投資戦略

サラリーマンとして働きながら節約系ユーチューバーとして活躍する「くらま」氏。徹底した節約で月の支出を8万円以下に抑え、余剰資金を投資し続けることで資産は7,000万円を超えている。さらに、その資産ポートフォリオも暗号資産40%、株式30%、現金20%、ゴールド(金)10%とかなり特徴的だ。「価値の消えない最適解の資産を買う」という投資戦略と、法定通貨への不信感から導き出された資産配分の考え方を語ってもらった。
構成/岩川悟 取材・文/吉田大悟 写真/石塚雅人
「価値の消えない資産」への投資が重要
——くらまさんの現在の資産構成、いわゆるポートフォリオは、暗号資産40%、株式30%、現金20%、ゴールド10%とのことです。株式投資の内訳について教えてください。
くらま:基本はオルカン(全世界株式)への長期投資です。オルカンをコアとしたうえで、自分にとって解像度の高い業種の個別銘柄について、わかりやすいチャンスが訪れたときに500万円以下の範囲で短期・中期の投資を行っています。
現金のうち、生活防衛資金を除いたぶんを余剰資金として、個別株に1回で数百万円をドンと張ることもあるので、株式と現金の比率は流動しています。利確したら利益分をオルカンに投資して、また500万円で勝負しているような具合です。
——個別株を売買する際の基準はありますか?
くらま:大きな社会の流れや、国が舵を切る方向性を見て、自分が詳しい業界の変化が予測できるときに投資しています。例えば、わたしは旅行業界の知識には自信があるので、コロナ禍のときは国内航空会社に投資しました。
2020年に水際対策で外国人の入国制限を強化したとき、JALやANAをはじめ旅行関連の銘柄は軒並み株価が下がりましたよね。どう考えても割安な状況に加え、先行き不透明とはいえ、長期的に見ればパンデミックは収束します。それに、コロナ禍以前までインバウンド消費による恩恵は大きく、政府も国策として訪日外国人旅行者を増やそうとしていた以上、低迷する旅行業界をこのまま見捨てることはないだろうと踏んだのです。これが、社会の流れを見ての投資です。
また、直近ではビットコインへの投資事業が話題となったメタプラネットへの投資も行っていました。わたし自身、暗号資産は2022年頃から研究し続けてYouTubeなどでも発信してきましたので、ビットコインへの理解度には自負があります。同社の株価は、ビットコイン相場の変動に応じた高いボラティリティが予想できました。そして、その予想通りにビットコインの上昇で株価が急騰したところにうまく入ることができました。
そうしたチャンスを細かく探しているわけではなく、あくまでベースの投資はオルカンで、必勝のチャンスが訪れたときに自分が取れるリスクの範囲で個別株投資をしています。
——インデックス投資に関して、S&P500ではなくオルカンを選ぶ理由は?
くらま:投資というのは、あらゆる資産クラスで「価値が消えることのないもの」を選んで買うことが最適解だと考えています。例えば不動産投資なら、世界各国の主要都市の一等地を買うことが最適解であるということです。戦争や経済危機が起ころうと、どれだけ人口が減少しようと、東京やニューヨークから人がいなくなることは考えにくいですよね。
しかし、不動産の現物は高過ぎてわたしには買えませんから、株式やゴールド、暗号資産のなかで「価値が消えないもの」を買っているのです。ゴールドなら上場廃止になり得るETFより現物ですし、暗号資産についてはビットコイン一択です。そしてインデックス投資なら、それはオルカンであるということです。
2018年以降の米国の成長率の高さから「S&P500やナスダックを買うべきだ」といわれますが、少し遡れば2010年代は中国をはじめとする新興国、1990年代までは日本が高い成長率にありました。米国が経済の覇権を握り続けたことは確かですが、時代ごとに勢いのある国は異なります。今後も米国がナンバーワンであり続ける確証も、高い成長率を維持する確証もないと思っています。
S&P500やナスダックでは、米国一国に成長を委ねることになりますが、オルカンを買っておけば、仮に米国経済が停滞しても他の国に資金が流れ、他国の経済成長がオルカンに反映されます。単一国の経済成長には波があっても、世界経済はとどまることなく成長し続けていますから、今後も成長し続ける確度が高いと考えています。
暗号資産とゴールドへの強い確信の理由
——資産の40%を暗号資産、10%をゴールドに配分されていますね。
くらま:先の「価値の消えないもの」の考えでいえば、ゴールドは5,000年以上もむかしから貴金属として高い価値を持ってきた歴史があります。時代によって常識も価値も様変わりするなかで、5,000年以上もむかしの人間と現代の人間が同じように金に価値を感じ続けているのですから、そもそもゴールドという資産そのものに消えない価値があるといえます。
また、ゴールドには金本位制のもと法定通貨の価値を担保する準備資産とされてきた歴史もあります。いままさに米ドルへの信頼が低下するなかで、新興国をはじめとする各国がゴールドを買い集め、経済の覇権を握るために自国通貨のプレゼンスを高めようとしています。中長期的な金相場の観点でも、ゴールドは買いではないでしょうか。
そのうえで、わたし自身も米ドルだけでなく法定通貨そのものを信頼していませんし、インフレによって価値を失う不安定な資産だと見ています。ですから生活防衛資金や買い増しの資金として現金を保有していますが、それは20%にとどめてゴールドや暗号資産を買っています。このふたつの金融資産については、投資というより法定通貨に対するリスクヘッジという考えです。
——暗号資産についてはビットコイン一択とのことですが、暗号資産は「価値の消えないもの」としてリスキーな資産に思えます、そのあたりについてはいかがですか?
くらま:40%という配分は過度に大きいのですが、これはもともと2022年から保有して積み立ててきたビットコインが成長した結果です。不安定性については、確かにビットコインは過去90%もの下落を起こしたことのある金融資産ですが、近年では状況が変わっています。トランプ大統領のもと米国が「戦略的ビットコイン準備金」法案を推進しましたが、それはいわば米国がビットコインをゴールドと同様の公的資産として認めたことを意味します。また、市場においてもビットコインのETFができるなど、金融資産としての価値が認められています。それでもボラティリティが高く、暴落によって一時的な含み損を抱える可能性が高いことは否定できませんが、長期的に保有するうえでの信頼性は高まっています。
ただし、数ある暗号資産のなかで、わたしが信用するのはビットコインだけです。その他の暗号資産とは異なり、ビットコインは2,100万枚までの発行数量が決まっている通貨です。どれだけ需要が高まってもそれ以上に通貨の総量が増えることはなく、希少性が担保されます。現時点で上限の約90%が発行されており、残りの発行スケジュールもプログラムで管理され、誰にも操作することができません。
現在の米ドルがそうであるように、法定通貨は政府が恣意的に発行数量を増やし、インフレによって価値を低下させ続けています。それに対して、ビットコインは価値が保存される仕組みがあることにわたしは共感し、保有しているのです。同様の仕組みを持つ暗号資産も新たに登場していますが、もはや先行したビットコインの知名度や信頼に追随できるとは思いません。
投資は高い「関心」と「知識」に基づく裏づけが大切
——くらまさんは、自らの投資の成功要因がどこにあると考えていますか?
くらま:個別株投資については、「自分が得意なこと」をベースにチャンスを探したことにあると思います。それは例えば、自分の本業に関わる業界や、深く関心があってアンテナを張っている業界ですね。あるいは、得意なこと以外にも「自分が実際に消費者として利用しているもの」にもチャンスがあります。なぜなら、実際に製品やサービスを使っていて解像度が高まるからです。
例えば、楽天モバイルは長らく赤字事業でしたが、2024年に黒字転換しました。わたしは2016年から節約のために楽天モバイルを使っていて、使用感やサービス改善の流れを見ていたので、黒字化を見越して楽天に投資していました。ですから、自分が興味のない領域や、解像度の高くない領域にも手を出していたら、どこかで手痛い失敗をしていた可能性もあります。
興味のない領域まで探し回るのではなく、自分が詳しい分野でチャンスが訪れたタイミングで動く。それが一番効率的だと思います。そしてなにより大切なのは、自分なりのロジックを持つことです。「ロジックが正しいかどうか」よりも、自分でロジックを立てられるくらい理解度が高いものに対して投資をしていくわけです。暗号資産とゴールドについても、自身のYouTubeで視聴者にロジックを解説できるくらいに詳しく調べて勉強し、興味を持って投資をしてきました。今後も、そのスタンスは崩さないつもりです。
——これからの投資における目標は?
くらま:もともとは、投資による収益で生活費を賄うことを目標にはじめました。わたしの場合、徹底した節約生活によって生活費が月8万円で済んでいるので、年間計算でいくと96万円稼げればいいということになります。すると、3,200万円を年利3%で運用すればよく、それ自体はすでに実現することができました。
次のフェーズは、労働収入分を投資収入で賄えるようになることが目標ですね。仮に本業の年収が400万円とすれば、それを投資による収入で稼げるようにしたいのです。そうなったら、自分の分身がもうひとりいて、一緒に稼いでくれているような安心感を得られるはずです。
具体的な最終目標を持っているわけではないので、達成が近づいたら目標をさらに先においてモチベーションを切らさないようにしていきたいですね。その過程で、資産配分については、さらなる成長が期待される暗号資産は変わらずに40%を維持し、現金を20%から10%に下げ、ゴールドを10%から15%に、株式を30%から35%に高めるよう調整していきたいと考えています。
くらま
節約系ユーチューバー、東京都在住のファイナンシャルプランナー資格を有する会社員。社会人1年目でひとり暮らしをしながら徹底的な節約生活を開始し、奨学金300万円を完済。そのストイックな節約生活や資産運用のノウハウを解説するYouTubeチャンネル「倹者の流儀」を運営し、2025年8月現在チャンネル登録者数は36万人を超える。著書に『すごい貯蓄 最速で1000万円貯めてFIREも目指せる!』(KADOKAWA)がある。
