語学習得は楽しむこと! 外国語に長けた国民の語学習得法とは?
オランダ・アムステルダム
語学習得と聞いて、敏感に反応するオランダ人は多い。これは国民性と関連があるようだ。彼らは概して好奇心旺盛で、語学を駆使することに非常に意欲的である。また、母国語に国際性がないことを十分理解しているため、英語は小学校低学年から学び、中学校では第三外国語として、仏・西・独・中・ラテン語、ギリシャ語のどれかを選択して習得する。
外国語に対する彼らのアプローチも積極的だ。見知らぬ人にも物怖じせず、発音がおかしくても身振り手振りを交え、懸命に意思を伝えようと努力する。この大胆さと柔軟さに、語学習得に成功する鍵があるようにさえ思える。
そんなオランダで一番支持されている語学習得法が、カラオケである。歌は繰り返し歌うと知らぬ間に口をついて出てくるようになる。外国語の歌を反復することで習得するのだ。オランダでは1990年代から流行り始めたカラオケだが、日本のように飲み会の余興として利用されているのではなく、多くは純粋に語学習得のために利用されている。自分が習得したい言語のカラオケソフトや、ユーチューブなどからダウンロードしたものを持参して歌う。店舗はカフェと併設されていて、利用者は10~60代と幅広い。
次に支持されているのは、字幕つき映画のDVDを繰り返し観る習得法である。習得したい言語の映画の映像を観ながら、セリフを耳で聞き字幕を読んで理解する。
カラオケや映画鑑賞で語学習得した仕上げは、2週間から1カ月ほどの『プチ留学』である。ビジネスマンの場合、語学習得のための費用を請求すると、勤務先が全額負担してくれる場合が多く、現地の語学校や大学などで最後のブラッシュアップに励むことができる。さらには通信教育を行えば完璧だという。最近は、オンラインの無料英語レッスンサイトやアプリが充実していて、これらを利用する人も多い。
オランダには、イケア、ユニリーバ、ロイヤル・ダッチ・シェルなどの多国籍企業の本社が多く、各オフィス内では、英語、フランス語、スペイン語の3カ国語にドイツ語と常時3~4カ国語が飛び交っている。仕事を円滑に進めるために語学は必要アイテムだ。平均して最低でも3回は転職するというオランダのビジネスマンにとって、語学習得は次の採用のチャンスを広げることにもなる。「語学習得の秘訣は、義務感でなく楽しみながら行うこと」という多国籍企業に勤務するビジネスマンの言葉が印象的だった。
取材・文/稲葉霞織(アムステルダム) 編集協力/堀内章子・宮田園子