阿豆佐和気神社の大クス(来宮神社の大クス)
写真・文/高橋 弘(巨樹写真家)
※この記事は2024年4月25日発行のジャパニーズインベスター121号に掲載されたものです。
新幹線で東京から大阪方面へ向かう際、熱海駅を過ぎてまもなく右手方向に来宮神社のこんもりとした鎮守の森が一瞬視界に飛び込んできます。その来宮神社本殿の奥に鎮座するこの大クスは、樹齢2000年以上とも伝えられ、幹の周囲は20mを遙かに超える大きさを誇り、全国で2番目に大きな巨樹とされています。2本の幹に分かれて立っており、西側の幹は昭和中期に台風により折れてしまいましたが、東側の株は現在も樹勢旺盛、樹高も高く葉を茂らせています。その巨大な幹はまさに筋骨隆々、ボディービルで鍛えたかのような姿には圧倒されること間違いなしです。はち切れんばかりのエネルギーを周囲に放出しているかのようです。それを証明するかのごとく、この木の周囲を一回りすると願い事が叶い、また一歳長生きするという言い伝えも残っています。現在でも実際に木の周りを巡る方が絶えません。近年では、この大クスがパワースポットとして脚光を浴びることとなりました。全国に数多いパワースポットの数々、その中でも断然の一番人気ともいえるほど注目されつつあります。来宮神社に参詣する人も大幅に増え、かつての静かで神聖な雰囲気だった境内の雰囲気は、徐々に失われつつあるようにも感じられるのは、少々残念な気もします。
【DATA】
静岡県熱海市西山
幹周/23.9m
樹高/20m
樹齢/2000年以上
国指定天然記念物
【著者プロフィール】
1960年山形県生まれ。巨樹を撮り始めて36年目。出会った巨樹の数は3,400本にのぼり、出版、写真展、ホームページなどにより、巨樹の魅力を発信している。著書に『巨樹・巨木をたずねて』(新日本出版社)などがある。
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