第106回『個人投資家のための会社説明会 in 東京』開催レポート
2025年11月27日、東京にて開催した説明会は今回で106回目となる。日本国土開発株式会社、株式会社テラプローブ、暁飯島工業株式会社を招き、熱心な個人投資家の前で説明を行った。
日本国土開発株式会社
災害復旧からまちづくりまで目指すのは地域パートナー
日本国土開発株式会社 常務執行役員CFOサステナビリティ経営本部長 大西 暁子氏
日本国土開発株式会社(証券コード1887/東証プライム)は、戦後の荒廃した国土の復興を目的に1951年に設立された。建設重機のレンタルから出発し、黒部第4ダムや高速道路、新幹線といった国家的プロジェクトに参画しながら、土木・建築・不動産・再生可能エネルギーを手がける総合建設会社へ発展してきた。一度は1999年に会社更生法の適用を受け上場廃止となったが、2003年に更生手続が終結、2019年には再上場を果たし、現在は東証プライム市場に名を連ねる。震災復興で培った技術と経験こそが同社の核となる強みであると、大西氏は語る。同社の事業は土木、建築、不動産開発・太陽光発電などを担う関連事業の3本柱だ。2025年5月期の売上高は1200億円超。2024年5月期に94億円の大幅損失を計上したものの、2025年5月期には営業利益23億円へと黒字転換しており、大西氏はこれを「稼ぐ力の回復に向けた一歩を踏み出した」と説明する。
説明会の中心となった中期経営計画2027は、「持続的に利益を生み出す経営基盤の再構築」と「成長軌道への回帰」がテーマだ。最終年度である2028年5月期には、ROE8.0%、営業利益90億円(土木23億円、建築35億円、関連事業50億円)を掲げる。3カ年で総額740億円を投資し、不動産開発420億円、エネルギー開発220億円、R&D億円、新規事業・M&A・DXなどに82億円を配分する計画だ。自己資本比率40%以上、DEレシオ0.7倍以下を維持しつつ、2028年5月期に自己資本720億円の確保も目指すと語った。
建設需要は災害復旧、老朽インフラの更新、脱炭素関連投資などの追い風を受ける一方、採算確保や人手不足への対応が現在の課題となっている。日本国土開発は、重機の遠隔操作や無人化施工、AIを活用した配筋検査などのDXを推進し、経産省のDX認定事業者にも選定された。また、土木・建築・関連の3事業が連携し、用地取得から造成、建築、アセットマネジメント、再生可能エネルギー供給まで一気通貫で提供できるバリューチェーンは、中堅ゼネコンでは希少な強みであることを大西氏は強調した。
株主還元については、中計期間中、DOE2.5~3.5%を基準とした安定配当を掲げる。2026年5月期の年間配当予想は22円(中間10円、期末12円)とし、PBR1倍割れ脱却に向けては、ROEの改善とPER向上の両面から企業価値の再評価を狙う。大西氏は、「復興と開発で培った技術とDX、人材投資を組み合わせ、社会課題を解決する建設企業として、持続的な成長と還元を実現したい」と訴えた。
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株式会社テラプローブ
世界的な半導体市場拡大の波 差別化はスマートファクトリーで
株式会社テラプローブ 代表執行役社長 横山 毅氏
次に登壇したのは、株式会社テラプローブ(証券コード6627/東証スタンダード)の横山毅代表執行役社長だ。同社は半導体テストを専門とする受託メーカー(OSAT)である。2005年にエルピーダメモリのテスト部門を分離して設立され、現在は台湾のPTIグループに属している。主力事業はウエハーテストとファイナルテストで、日本(熊本)と台湾に拠点を構えることで、グローバルな顧客の要請に応えている。
横山氏は、説明会の冒頭で「半導体市場は2030年に約150兆円規模へ拡大し、特にAIチップ市場は約50兆円に達する」と述べ、成長産業である半導体分野における同社の位置づけを強調した。同社は2025年に設立20周年を迎え、売上高400億円、営業利益率20%という高水準を維持する見込みである。
同社の強みは、1200台のテスターを保有し、高性能なAIチップから単一機能の半導体まで幅広く対応できる点にある。さらに日台両拠点にクリーンルームを備え、熟練のテストエンジニアを擁することで、品質と効率を両立する体制を築いた。これまでの売上成長は車載向けが牽引してきたが、今後はサーバー・AI向けが増加し、車載比率を40〜50%に抑えることで製品別売上高の平準化を図っていると説明。「エンジニアは熟成が必要な存在。優秀な技術者がいるところに仕事が集まる」と語り、人材力こそが最大の競争優位であることを横山氏は力説した。
また、スマートファクトリー化も積極的に推進しており、AIや機械学習を活用した自動化を進めている。台湾の技術を日本に導入し、相互に補完し合う日台連携が同社の特徴だ。横山氏は「台湾が先行する自動化技術を取り入れ、日本の品質管理力と融合させている」と述べ、両国の強みを生かした運営方針についての説明を行った。
まずは売上高500億円を目指し、2030年に向けてさらに成長を図る計画で、中でもAI・先端デバイス分野の積極的な獲得、日本の半導体エコシステムへの参画、日台両拠点での最適投資、そしてスマートファクトリー化による競争力強化を4つの柱として掲げている。横山氏は「この2~3年が勝負どころ」と述べ、積極的な設備投資を続ける考えを示した。
株主還元については、連結配当性向30%程度を目安に安定配当を維持する方針だ。中間配当については「現在は考えておらず、まずは設備投資を優先したい」と説明している。地政学リスクや需給変動への耐性を強化しつつ、半導体産業の成長の波に乗るテラプローブ。同社は、AI時代を支える縁の下の力持ちとして、注目される存在となっている。
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暁飯島工業株式会社
ビル空間事業サイクルで成長 空調設備のスペシャリスト
暁飯島工業株式会社 取締役上席執行役員管理統括部長 片桐 倫明氏
茨城県水戸市に本社を置く空調・給排水衛生設備の設計・施工及び保守を主たる事業としているのが、暁飯島工業株式会社(証券コード1997/東証スタンダード)だ。1953年の設立、現在は水戸・つくば・東京の3拠点を基盤に、地域に根ざした事業を展開している。片桐氏は「健全なる企業活動を通じ、誠意を以って社会に貢献する」という社是非のもと、空間の快適さとインフラを支える役割を担ってきたと語った。
同社の事業は、建築設備事業、リニューアル事業、ビルケア事業の3本柱から成る。新築のオフィスや病院、物流施設、学校などの設備工事に加え、空調機や給排水設備の更新、日常の保守・点検まで一貫して対応できる体制を築いている。2025年8月期の設備事業売上高は89億円で、内訳は建築設備44%、リニューアル41%、ビルケア15%。新築からメンテナンス、改修へとつなぐ「ビル空間事業サイクル」により、長期のストック収益を積み上げていることが同社の強みと言える。
建設業界は、資材価格の高騰や技術者・労働力不足で受注環境は厳しいのが現状だ。一方で、高度成長期に建てられた建物の老朽化が進み、建て替えや大規模改修の需要は今後も堅調と見込まれる。こうしたなか同社は、受注時の採算性チェックと原価・施工管理を徹底することにより高収益体質の構築を進めてきた。その結果、2025年8月期は受注工事高102億円、売上高91億3500万円、営業利益11億2600万円、当期純利益7億9600万円を計上し、営業利益率は1割超に達した。
さらに中期経営計画「ネクスト暁飯島ビジョン2030」では、2030年8月期に売上高100億円、営業利益率12~13%、ROE12~13%を目指す体制を構築するという。第Ⅱ期にあたる現在は、社内業務のDX推進や人材育成を通じて「空間のスペシャリスト」として選ばれ続ける企業への転換を進めている。2026年8月期は外部環境を慎重に見極めつつ、売上高93億円、営業利益10億円、当期純利益7億円を予想。配当は1株当たり95円とし、成長投資と株主還元の両立を図る方針だ。
片桐氏は、株主優待として300株以上の保有株主を対象に、茨城県産品のカタログギフトを新設したことにも触れ、「地元の魅力をお届けしながら、長く株式を持っていただきたい」と会場の出席者にアピールした。PBR1倍割れの現状を踏まえ、本業の設備工事で安定したキャッシュフローを創出し、設備投資や人材投資、自己株式取得などを通じて企業価値向上を目指す暁飯島工業。ビル空間を支える堅実な経営基盤のもとで、地域社会と株主の双方に信頼される企業として、今後の歩みが期待される。
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