第105回『個人投資家のための会社説明会 in 東京』開催レポート
2025年9月3日、東京にて「105回 個人投資家のための会社説明会」が開催された。今回は、いちよし証券株式会社、メディアスホールディングス株式会社、株式会社キッツが登壇し、それぞれの強みと今後の展望について語った。
いちよし証券株式会社
対面営業に特化したサービスでブランド力のある「専門店」を目指す
いちよし証券株式会社(証券コード8624/東証プライム)の創業は1950年、今年で75周年を迎えた。創業50周年時には本社を大阪から東京へ移し、社名も平仮名に変更した。現在の従業員数は約1050名、営業拠点は52。対面営業に特化した証券会社の中では中堅に位置している。オンライン取引は行っていないが、スマートフォンなどから預かり資産や取引履歴をチェックできる。また、いちよし経済研究所、いちよしアセットマネジメントのグループ各社と密接に連携し、より良い商品情報・サービスの提供態勢を整えている。
続いて、同社の経営理念が明文化されている「いちよしのクレド」について述べた。これは2006年に制定された、全役職員が心掛けるべき信条や行動指針を記したものだ。「お客様に信頼され選ばれる企業であり続ける」「金融・証券界のブランド・ブティックハウス」といった理念、目標が並ぶ。玉田氏はブランド力のある「専門店化」を目指すと表現した。さらに、1998年から踏み切った「改革の断行」は、日本版金融ビッグバンの流れでフロー型ビジネスモデルからストック型ビジネスモデルへ舵を切り、より安定した収益を目指すことを説明。先のクレドもその流れから生まれた。営業員を「アドバイザー」に変更し、資産純増重視へ見直しを図った。2019年からはより強化した第2回目を実施した。
中期経営計画である「3・D」では、預かり資産3兆円、コストカバー率70%、ROE10%が目標である。2025年4〜6月期でそれぞれ2兆3000億円、66.4%、3.2%と順調に推移している。主力商品のファンドラップ「ドリーム・コレクション」は、6月末現在で口座数2万8440件、純資産残高3403億円で、運用損益がプラスとなるお客様の割合は業界トップクラス。準ベース資産の「いちばん星」は、対面証券では珍しいノーロード商品で実績報酬制を採用し、6月末現在で口座数9663件、純資産残高は540億円と順調に拡大。「ミズナラ」は世界の好配当株式やREITに投資を行い、新NISAにも対応した商品であると紹介した。
株主還元策については、連結ベースの配当性向50%と純資産配当率(DOE)半期2%のいずれか高い方を採用して配当額を決定している。また、1998年以来4割弱の株式を消却しており、持続可能で安定的な株主還元策を継続する方針であることを述べた。証券口座乗っ取り被害についての質問には、対面営業に特化しているゆえに被害は一切発生していないと説明。これからの営業については、若い世代へのアプローチも行い、相続を通じた資産の継承にも注力していると答えた。
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メディアスホールディングス株式会社
医療機器卸業界のリーダーとしての使命とこれからの戦略
次の登壇は、メディアスホールディングス株式会社(証券コード3154/東証プライム)の代表取締役社長・池谷保彦氏。同社は2009年に設立された医療機器卸会社を傘下に持つホールディングスカンパニーで、本社は東京・日比谷。全国に17の事業会社を擁し、従業員数は3563名。池谷氏は「ニッチな業界だが、医療現場を支える重要な役割を担っている」と立ち位置を説明。「医療を止めない」の使命のもと、消耗品から最先端の手術支援ロボットまで100万点以上の医療機器を取り扱い、年間売上高は25年6月期で約2800億円を超え、同業界市場において首位に立つ。25年6月期の決算では、経常利益が24億円、純利益は13億円であった。
同社はトータルソリューションを謳い、病院の経営改善に資するIT技術を活用した多彩なアプリケーションを提供する。医療材料のデータベースを整備し効率化と合理化を図る「アソースデータベース」、病院の購買分析を行い商品の購入価格を比較できる「メッカル分析サービス」、病院内の各診療科や手術室などに必要な備品を配置・補充する「SPD」、その他「アソースストア」「サージレーン(手術室運用支援プログラム)」が、トータルソリューションを支える。
池谷氏は人口動態を見据えつつ、医療機器業界を取り巻く状況について「市場はあと15年から20年は成長が続く」と予測。40年まで高齢者人口は減少せず、介護を必要とする人口も増加傾向にあるからだ。市場規模は3~4兆円程度。新しい医療機器が成長を牽引する。ただし、日本では薬や特定の医療材料の価格が政府によって低く定められ、海外から新製品が入りにくい問題がある。さらに医療材料の公定価格はマイナス改定が続くといった厳しい環境にあることも説明した。
今後の成長戦略については、既存事業は現在の営業地域を中心に進め、経常利益で年率10%向上を目指す。さらにM&Aによる規模拡大も進め、首位を堅持する方針だ。営業面では、蓄積したノウハウと情報ネットワークの活用、ソリューションサービスの提供、急性期病院への営業強化、低侵襲手術分野への注力、プライベートブランド商品の拡充、BCP対応の強化などを進めるとした。内部強化策として、組織横断的な取組み、グループ内の人事交流、ITや物流インフラ整備、管理業務の集約、働き方改革に向けた業務改善、M&A後の統合プロセスの推進などを具体的に挙げた。
資本施策については、ROEの長期目標を8%、配当性向30%以上を目指す。株主優待はクオカードまたは国境なき医師団への寄付の選択制。さらに同団体への従業員とのマッチングギフトや、国連のWFPへの支援、子ども向けの体験型医療イベント開催など、社会貢献活動にも積極的に関与している姿を説明した。
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株式会社キッツ
国内外での安定した評価と多様な取組によって高まる競争力
3番目の登壇は、株式会社キッツ(証券コード6498/東証プライム)の経営企画本部長である大田裕氏。同社は旧社名・北澤バルブで、売上の約8割を占めるバルブ製造が主力事業である。本社は東京・汐留。売上高約1700億円、連結従業員数は約5400名、連結子会社33社を有する。国内バルブ市場では圧倒的なシェアを持ち、世界的に見ても上位となる。製品は世界50カ国以上で販売され、海外17カ国に32拠点を有している。また、海外の数十億円規模の会社を複数M&Aにより買収。コロナ禍後は4期連続で増収増益、昨年は過去最高の売上と利益を記録した。同社の強みは、素材からの一貫生産による高品質の実現、多様な製品・市場への展開だ。
次に大田氏は、長期経営ビジョンについて触れた。建築設備、石油・一般化学のコア事業から、成長領域の半導体、機能性化学、水素などに事業を拡大する方針であることを表明。同時に投資収益性も重視し、第2期中期経営計画の定量目標では2027年度の売上高2000億円、営業利益200億円、ROE11%以上という目標を掲げる。達成のためには、市場別・エリア別戦略の追求とグループシナジーの最大化、エンジニアリングビジネスの強化、DX推進による支援を進める計画だ。また、「SHINグローバル2027」を掲げ、「信頼・新規・進化」の3つの「SHIN」によって真のグローバル企業となる目標を立てた。社内外への浸透を図るため、同社の河野誠社長自ら全拠点を回る「エンゲージメントフォーラム」を実施。社員が同じ方向を向くよう注力している。
成長領域である半導体については、日本とベトナムの工場で生産能力を約1.7倍に増強し需要拡大に備える。そして組織体制をビジネスユニット(BU)制に再編。建築や機械設備の汎用ビジネス、インダストリアルビジネス、半導体の三本柱に加え、環境ソリューション、水素、伸銅品の各BU体制とした。それぞれのBU領域では、新たなニーズにも対応していく。これらのシナジーに期待を寄せると大田氏は語った。
エリア別に目を転じると、アメリカではデータセンター向けに大規模な倉庫を確保し在庫を充実させていく。そしてノックダウン生産、加工・組立へ進み、同時にM&Aを検討する。また、インドでは高品質バルブの市場はこれから伸びていき、付加価値の高いビジネスを構築できるという。
株主還元については積極的に取り組み、常に株主の利益を最大化する方法を模索していくと大田氏。2025年12月期は1株当たり48円へ増配する予定だ。さらに、グループ内の温泉旅館優待券も人気の株主還元になっていると締めくくった。
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