第104回『個人投資家のための会社説明会 in 大阪』開催レポート
2025年8月18日、大阪にて「104回 個人投資家のための会社説明会」が開催された。今回は、丸三証券株式会社、日本パレットプール株式会社、アルインコ株式会社が登壇し、それぞれの強みと今後の展望について語った。
丸三証券株式会社
日本株特化と長期保有ファンドで独自の存在感を実現
丸三証券株式会社(証券コード8613/東証プライム)は、1910年創業の独立系証券会社である。従業員数(1000人超)や時価総額(約600億円)から見ると、上場している対面証券会社の中では中堅証券の上位に位置する。同社の営業活動は、日本株に特化した株式営業と、良質なファンドの長期保有を提案する投信営業の二本柱だ。日本株に絞っている理由は、アナリストが国内に集中して徹底的に調べ上げることで良質な銘柄を顧客に提案できるからであり、実際に厳選した銘柄のパフォーマンスは良好と菊地氏。
また、同社が2018年に取り扱いを開始したファンド「NWQフレキシブル・インカムファンド」は、80カ月連続で純増を続ける(2025年7月時点)。これは、米ドル建ての株式や債券などにバランス良く投資するものだ。良いものを長く持つことが資産形成を図る上で最も重要であるという信念が、長期のファンド保有につながっている。この結果、同社のファンドの残高は全体で1兆円を超える。
これら営業活動の原点は、「会社が儲かる商品でもお客様のためにならなければ販売しない」信念だ。さらに、系列の運用会社を持っていないのも、本当に良いファンドだけを販売することにつながっている。こうした顧客本位の業務運営の成果を検証・公表するために、①お客様の投資信託の平均保有期間の長期化、②信託報酬のコストカバー率の上昇による安定的な収益基盤の構築、③良質なサービスを提供するための資格取得者数の増加といった3つのKPIを掲げる。また、菊地氏は、「実質無借金経営が長期にわたって安心して取引できる土台にもなっている。過去の金融危機を教訓にし、将来への備えとして会社の体質を健全に保つためでもある」というこだわりを語った。
中期経営計画では、投信純増を5年間で3000億円、推奨する個別銘柄(日本株)の純増を同1000億円とすることを目標とし、足元まではいずれも計画を上回っている。また、ファンドラップ事業を7月からスタート。新たな柱として育てていく計画だ。
ネット社会の中でこれから対面型サービスをどう進化させるかとの質問に対し、菊地氏は「お客様に寄り添うことで成長していける」と解決策を語った。ネット証券への不正アクセスによる巨額損失、問合せ電話がつながりにくいなどの状況から、同社へ移ってきているケースが大変多い。営業員のアドバイスがあることが評価されているという。
菊地氏は積極的に取り組んでいる株主還元にも触れ、上場以来の累計の総還元性向は84%であること、最近は優待品目の中の「米」が非常に好評であると結んだ。
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日本パレットプール株式会社
物流の効率化による持続可能な成長戦略への取り組み
日本パレットプール株式会社(証券コード4690/東証スタンダード)は、1972年創業で、大阪市北区に本社を構える。主な事業内容は、物流や流通の現場で使用されるパレットと関連機器のレンタル及び販売である。売上高は2025年3月期で69億円となる。登壇した代表取締役社長の浜島氏は、新たな企業理念として定めた「挑戦することによる持続的な成長」「環境に優しい物流で、持続可能な社会に貢献」を挙げた。特に環境面では、木製パレットの原材料として北海道帯広に5.8ヘクタールの「NPPの森」を保有し、保全活動に取り組む。
同社の主要サービスであるパレットプールシステムも、企業理念に通じる。通常、運搬した荷物に使われたパレットは発送元へ返送されるが、このシステムでは運搬先近くの同社デポにプールされるので返送料が発生しない。従って、物流の効率化と低コスト化と共に、運搬に伴うCO2削減にも寄与できる。浜島氏は最近の例として、岡山県倉敷市にある水島デポを挙げた。4万枚のパレットを保管し、1時間に200枚のパレットを洗浄できるが、太陽光発電設備を併設し、稼働エネルギーの全てをまかなう。その他にも、プラスチックの再生パレット導入、使用済みパレットの木材を製紙原料やバイオマス燃料等の原料に使用している。こうした環境活動・社会貢献活動は、サステナビリティ社会を築く上での重要な要素である。
次に浜島氏は、2024年度からスタートした「経営3カ年計画2027」で提唱する、2031年度に売上高100億円、経常利益10億円を実現するため、前述のように企業理念を刷新した上で核となる戦略を定め、売上高・経常利益ともに前期を上回ったと報告した。資本コストや株価を意識した経営については、PBRが過去5年平均で0.5倍と低迷していることを課題として認識し、ROEとPERの向上を図ることで改善を目指すという。キャッシュアロケーションでは設備投資や成長投資、株主還元に配分し、配当性向30%以上を設定していると説明した。
さらに、JR貨物と連携して運営する「駅パレ事業」にも触れた。これはJR貨物駅構内や近隣に設置するパレット拠点で、顧客や運送業者が手軽にパレットの借受け・返却ができるサービスだ。ドライバーの作業時間短縮やトラックの運用効率を向上でき、2025年度末までに22駅へ拡大する計画だ。その他、今後ターゲットとする業界は素材関連・食品・飲料などであること、高精度位置情報管理システムなど新規事業展開計画、オペレーション体制強化、M&AやDX化の推進による事業基盤強化策などを解説。一般投資家への認知度を高め、個人株主数をさらに増やすための数多くの施策を述べた。
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アルインコ株式会社
独創的な商品開発でニッチ市場でのトップを目指す
1938年創業で87年の歴史を持つアルインコ株式会社(証券コード5933/東証プライム)。建設機材関連、レンタル関連、住宅機器関連、電子機器関連といった4つのセグメントを手掛けている。登壇した代表取締役社長の小林氏は、売上高の推移を「厳しい時代もあった」と振り返る。国内の建設投資額の変動に左右されるからだ。ここ数年は社会インフラの再整備や都市再開発などによる足場需要が増加し、売上高は順調に伸びている。建設投資の回復やM&Aの推進により、現在は600億円を超える水準に達した。
2026年3月期第1四半期を見ると、売上高が前年同期比6.1%、営業利益は16.9%増。第2四半期に対する進捗率は売上高49.5%、営業利益は48.7%と計画通りに推移する。経常利益と純利益は為替差益等の特殊要因があったため減少したが、実質的には堅調を保っていると小林氏。セグメント別ではレンタル関連以外全てで売上高は増加、特に住宅機器関連と電子機器関連の利益が大きく改善している。各セグメントに強力な商品があり、例えば建設用足場では「アルバトロス」という次世代型足場、無線機では飲食店等で使用されている特定小電力無線機やデジタルの消防無線。これらの存在が同業他社との差別化を図る強みである。
小林氏は最近のトピックとして、物流センターの整備を挙げた。兵庫県丹波市にある建設機材の主力工場から車で15分ほどの京都府福知山市に既存の物流センターと向かい合うかたちで第2物流センターを建設し、販売用の在庫を保管。物流の効率化や外部倉庫からの集約による経費削減を図る。また、今年6月に「安心と豊かさを創る」というブランドステートメントを制定した。これには、人々に安全と安心を届ける品質の証、便利さと豊かさを生活に届ける創意工夫の証への決意が込められているという。大阪市で開催されている大阪・関西万博に同社の無線機2300台を無償貸与。ニュース映像などではスタッフや警備員が使用している機材に「アルインコ」のロゴが確認できる。「これは地元大阪への貢献」と小林氏は語った。会社設立が前回の大阪万博開催年である1970年ということとも関連が深い。さらに海外事業にも触れ、現在レンタル事業を展開しているタイとインドネシアでの順調な成長を報告。安全な日本製足場へのニーズは高いという。当面はこの両国に集中して事業拡大を図る計画だ。
株主還元については、過去15年間一度も減配せず、2020年3月期からは配当性向を30%から40%に引き上げ、現中期経営計画中は累進配当を実施することで配当を下げないことも宣言している。
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