東日本旅客鉄道株式会社 創意工夫で当社のファンを創る
東日本旅客鉄道株式会社
東証プライム/証券コード9020
総務・法務戦略部
法務ユニット(法規・株式)
新川 浩介
Kosuke Shinkawa
Q1 なぜ個人投資家・個人株主に向けた取組みに注力されているのでしょうか?
日本の株式市場は、新NISA制度の導入や金融教育の進展により、個人投資家が年々増加し、その存在感も高まっています。一方で、企業間の持ち合いの縮減・解消により、いわゆる「安定株主」が減少する方向にあり、株式市場のプレイヤーの転換期にあると考えています。そのような中、株主優待の新設・拡充や株主イベントなど個人株主の獲得に向けた取組みに力を入れる会社も増えています。
当社でも、数年前から個人投資家・個人株主とのコミュニケーションを強化しています。当社グループはB2Cの事業を主としていることや、花開くまで数年がかりとなる長期的な施策も多いことから、比較的保有期間が長い傾向にある個人投資家・株主との相性も良いと考えています。
Q2 具体的にはどのような取組みをされていますか?
「株主イベント」「株主優待」「情報発信」の3つの柱で展開しています。
「株主イベント」では、個人株主の皆さまに当社グループの事業を肌で感じていただくことを目的として、年間10回以上の多種多様なイベントを開催しています。施設見学会、支社幹部と少人数で意見交換する「株主懇談会」、親子やご友人と参加できるイベントなど、ユニークな企画を多数実施しており、当社株式を保有することの付加価値を高めています。イベントの企画・運営は、社員にとっても株主を意識する機会になり、仕事へのモチベーション向上につながっています。
「株主優待」では、鉄道の運賃・料金が4割引きになる「株主優待割引券」の発行枚数を昨年4月に行った株式分割に合わせて見直し、長期保有優遇制度も拡充しました。グループ施設や店舗で使える「株主サービス券」をスマートフォンでいつでもどこでも手軽に利用できるようにし、紙の優待券を持ち歩く必要をなくしました。また、他社にはないユニークな優待として西武HD様や東急不動産HD様とそれぞれ「コラボ株主優待」を設定しています。
「情報発信」では、誰でも無料登録できるメルマガの運営に力を入れています。決算・適時開示情報はもちろん、テレビ番組の放映情報など、当社グループへの理解を深めていただけるよう幅広く発信しています。また、個人投資家向けのウェブサイト「早わかり!JR東日本」を新設し、当社グループの強みや戦略をコンパクトに写真付きで発信しています。
個人投資家向けにはこのほか、証券会社などを通じたIR説明会も積極的に開催しており、昨年度は9回実施しました。
こうした3本柱で個人株主の獲得、既存株主の満足度向上、ファン株主化に創意工夫で取り組んでいます。
Q3 個人株主とのコミュニケーションというと株主総会も思い浮かびますが、具体的にはどのような取組みをされていますか?
株主総会は株主と直接対話する貴重な機会です。当社では、議決権行使から総会当日の運営まで、様々な工夫を凝らしています。
例えば、社長自らが議案内容や議決権行使方法を案内する動画の配信、また、インターネット行使すると抽選で当社グループのポイントが当たる企画、LINE・ハガキなど多様なツールを駆使して、議決権行使を呼びかけています。個人株主の議決権行使率は、個人株主とのエンゲージメント状況を表す1つの指標としても意識しています。
そして総会当日の運営も、株主の皆さまが理解しやすく、安心して参加していただけるように毎回工夫を重ねています。
Q4 様々な取組みを精力的に行っていますが、今後の展望、構想はありますか?
「株主」→「ファン」→「ロイヤルカスタマー」、またその逆の流れを創出することにチャレンジしたいと考えています。各株主施策と営業施策の連動性を高めることで、分厚いファン層の創出と、企業価値の向上につなげていきます。そして株価や安定配当等、株主の皆さまのご期待に応えていきたいと考えています。ぜひ、株主の皆さまには「長め」「多め」で当社の株式を保有いただきたいです。
当社では株主向けのアンケートやインタビューを繰り返し行っています。その中では、当社グループに対する信頼、期待、愛着といったお言葉をたくさんいただき、社員として胸が熱くなりました。こうした対話を重ねることが、新たなサービスや価値創造の源泉となりますし、社員のモチベーション向上にもつながります。個人株主の皆さまの満足度を高めることが、まさにB2C企業としての原点なのです。ぜひ当社グループの今後にご期待いただき、私たちもそれに応えていきたいと思います。
