アトムリビンテック株式会社 高収益型企業への回帰に向かう 住空間創造企業
アトムリビンテック株式会社
東証スタンダード/証券コード 3426
創業
1903年(明治36年)
代表者
代表取締役社長 髙橋快一郎
事業内容
住宅用内装金物(住まいの金物)の企画・開発・販売。5万点を超える取扱アイテムの80%が自社開発。「アトムリビンテック」ブランド拡充に取り組むファブレス企業。
住所
〒110-8680 東京都台東区入谷1-27-4
TEL
03-3876-0600(代表)
URL
https://www.atomlt.com
2024年7月からスタートした第12次ATOM中期経営計画
アトムリビンテックは建築金物と家具金物にまたがる「内装金物(住まいの金物)」という独自の事業ドメインを確立し、自社工場を持たないファブレス企業として、効率的な収益基盤を構築。また、時代を先取りして商品を開発する「ファースト精神」に基づくものづくりをしてきたことで、1903年(明治36年)の創業以来、120年を超える伝統を築き上げてきた。2024年(令和6年)7月からスタートした第12次ATOM中期経営計画では、前中期経営計画のスローガンである「伝統を活かし、変革に挑む」を新たに企業スピリットとして設定し、「持続的成長に向けた新たな付加価値の創出」を基本方針として、「ものづくり」の原点に立ち返り、商品の裾野拡大と高収益型企業への回帰を目指している。
基本方針を実現するため、①独自の機能を内包するソフトクローズ関連商品の発展性と全方位営業ネットワークの優位性を活かした周辺の事業領域と販路の拡大・拡充への取り組み、②環境の変化に即応できる柔軟な技術開発力の強化、③積極的に行動できる発想豊かな人材の育成、④株主様との中長期的な信頼関係の維持、の4点を行動目標に掲げている。
大幅な増益の要因となった4つの成長ドライバー
第12次中期経営計画(第71期〜第73期)の初年度となる第71期(2024年7月〜2025年6月)においては収益改善を実現し、高収益型企業への回帰に向けた手応えをしっかりとつかんだ。売上高は102億97百万円(前期比1.3%増)、営業利益は5億15百万円(同54.6%増)、経常利益は5億61百万円(同50.9%増)、当期純利益は3億90百万円(同53.5%増)と、大幅な増益を達成。売上高営業利益率も5.0%へ改善し、直近数年の停滞から一歩抜け出した形となった。2025年1月末には公表数字に対して開示基準を満たす増益のため上方修正を実施。さらに同年7月末にも大幅な増益のため上方修正を実施した。
今回の収益改善には、複合的な4つの要因が寄与している。1つ目が、主力商品に関連する設備投資による長期的な原価低減効果だ。生産効率や品質の安定化を図る投資を計画的に行い、コスト構造の改善に結びつけた。2つ目は、商品戦略・市場戦略・情報システム戦略を有機的に連動させたこと。新商品の開発、販路開拓、営業・生産・管理部門の連携を強化し、全社的なシナジーを生み出した。3つ目が、高騰した原材料価格を販売価格へ転嫁する活動が徐々に浸透してきたこと。取引先との交渉や価格改定を通じ、収益性を損なわずに対応できた。4つ目が、高利益率商材の販売増だ。特に同社が設計・開発する自社ブランド製品の販売が伸び、利益率の向上に貢献した。これらは再現性のある施策と考えられるため、持続可能な成長ドライバーだといえる。
商品戦略・市場戦略・情報システム戦略の取り組み
第71期における各課題への取り組みも順調に進んだ。商品戦略における開発では、「シンクロ連動引戸金具SU-101」「ダンパー付き折りたたみ棚受け」「室内用可動ルーバー」など、裾野の広い商品開発を推進し、住宅から施設建築分野まで幅広く対応可能な新製品を市場へ投入。利便性・機能性の両面で評価を得ている。市場戦略では、総合カタログ「ATOMDATA-LINE(2025-2027)」を発刊し、新たな商品の周知に努めた。ベトナム最大級の建築系展示会「VIETBUILD」への連続出展により、東南アジア市場における新たなフレームワークの構築を推進。また、西日本市場の強化と物流拠点の複数化を目指して、「広島営業所・C/Dセンター」の機能拡充を図った。情報システム戦略における大きな取り組みの一つが、基幹システムの更新だ。会計や受発注・在庫管理などの主要システムをクラウド型へ移行し、将来の事業変革にも柔軟に対応可能な環境を整えた。利便性の向上による全社的な業務効率および経営効率のさらなる向上が期待されている。
利益還元を最重要課題とし積極的な配当の実施を目指す
株主還元については、「年間配当金は利益水準のいかんにかかわらず最低でも1株当たり30円を維持する」という方針を掲げている。第71期は、業績好調を受けて期末配当を従来予想の15円から16円50銭へと1円50銭増額。中間配当17円50銭(法人改組70周年記念配当2円50銭を含む)と合わせ、年間配当金は34円となった。安定配当と5年を節目とする記念配当を組み合わせた形で、株主還元の強化を明確に示した。
成長のための投資を実施 増収減益は未来への布石
第72期(2025年7月〜2026年6月)は、積極的な商品開発や販売促進、システム活用による業務効率化を継続しつつも、前向きな投資計画により増収減益を予想している。売上高は105億円(前期比2.0%増)、営業利益は3億50百万円(同32.1%減)と減益の見通しだ。住宅関連業界は、住宅価格の高騰に加えて構造的要因により、新設住宅着工戸数は中長期的に減少傾向で推移している。また、金物業界においても市場規模は縮小し、競争は激化している。このような事業環境で今後も生き抜いていくためには、新たな需要と付加価値の創出が大きなテーマとなる。そこで同社は第72期を将来の成長に向けた種まきの時期として、前向きな投資を実施することとした。これは商品開発・マーケティング・人材投資など、持続的成長のための“先行コスト”を意図的に計上する戦略的判断だ。一時的な減益予想とはなるが、未来志向の投資計画が次の成長サイクルを呼び込む可能性は高いであろう。
