三井住友トラストグループ株式会社 グループ創業100年の節目を迎えて商号変更── 次の100年も、お客さまや社会から 『託された未来をひらく』
三井住友トラストグループ株式会社
東証プライム/証券コード 8309
取締役執行役社長(CEO)
高倉 透
Toru Takakura
1984年住友信託銀行入社。高槻支店長、リテール企画推進部長、人事部長を経て、2009年11月に統合推進部長に就任し、中央三井トラスト・ホールディングスとの経営統合において陣頭指揮を執った。2011年三井住友トラスト・ホールディングス発足以降、2012年常務執行役員、2017年取締役執行役専務を経て、2021年4月に執行役社長に就任。2021年6月より現職(2024 年4 月より取締役執行役社長(CEO))。
グループ創業100年の節目を迎え、2024年10月に商号変更
2024年4月にグループ創業100年を迎えたことを契機に、同年10月、三井住友トラスト・ホールディングスは三井住友トラストグループへ商号変更を行った。1923年の「信託法」「信託業法」施行後、24年に信託業法に基づく日本初の信託会社として三井信託が、翌25年には住友信託が創業。当時は経済発展に伴い国民の資産蓄積が進む一方、財産管理の必要性も高まっており、「安心して資産の管理や運用を任せたい」 というニーズに基づき同社はスタートした。
信託という仕組みは、 時々の社会の課題やニーズに対して柔軟にその機能を発揮できることが特徴。第二次世界大戦後には、貸付信託を通じて産業界に長期資金を供給し戦後の復興と高度経済成長を支え、1960年代には年金信託が誕生し、企業の福利厚生や長期的な資産形成をサポートした。その後も投資信託を通じて国民の資産形成に貢献するなど、この10年で倍増した信託財産受託残高が示す通り、信託は発展を続けてきた。信託とともに成長し、100周年を迎えた同社は、次の100年に向けてもさらなる成長が期待される。
手数料比率が高く、安定的に成長を続けるビジネスモデル
同社傘下には、三井住友信託銀行をはじめ、三井住友トラスト ・ アセットマネジメントや日興アセットマネジメント、三井住友トラスト不動産、三井住友トラストクラブといった業界トップレベルの企業を数多く抱える。他の金融グループと異なり、資産運用・資産管理や不動産仲介、証券代行、年金など多彩な信託関連ビジネスを展開する「信託グループ」として、独自のビジネスモデルを構築している。信託関連ビジネスが生み出す手数料関連利益の割合が高く、さらに多様なビジネスに分散された収益構造が特徴で、安定かつ持続的に成長を続けるビジネスモデルとなっている。
24年度の親会社株主純利益は、中期経営計画最終年度の掲げていた利益目標水準を1年前倒しで達成することを目指しており、足元のさまざまな環境変化を追い風に、さらなる収益拡大も見込まれる。株主還元に関しては、23年度より累進配当制度を導入し、連結配当性向は40%以上を目安に決定。25年3月期の配当は、100周年記念配当10円を含む1株当たり145円(前年度比35円増配)を予想している。
資金・資産・資本の好循環を促す金融・社会インフラとして成長する
同社は、信託の特長を活かして資金・資産・資本の好循環を創出・加速するとともに、同社自身も持続的な成長を続ける戦略を掲げている。具体的には好循環が起きる領域として着目する、人生100年時代や企業のESG経営といった社会課題に関して次のような取り組みを行っている。
人生100年時代を迎える個人向けには、3000兆円を超えるといわれる家計資産を背景に、長期の資産形成や信託機能を活用した一人ひとりにあった提案・ソリューションを提供。
また、貯蓄から投資への流れに対応し、金融教育、柔軟な商品開発などを進め、信託の機能・強みを活用した、プライベートアセットの民主化を目指している。そのファーストステップとして、三井住友信託銀行では24年10月、お客さまから集めた資金を社会課題解決に資するプロジェクトや企業に対するファイナンスに活用することで、「社会課題解決への貢献」と「人生100年時代の長期的な資産形成」を同時に実現する、元本補てん付き合同金信(フューチャートラスト)を販売開始。次世代にサステナブルで豊かな社会を築くために、個人の資産形成ニーズと企業の資金ニーズをつなぐ新たな信託商品だ。
ESG/サステナブル経営の重要性が増す企業に向けては、政策保有株式の削減に伴って得られる資本を活用。三井住友信託銀行では環境・社会に良い影響を与える活動を支援するインパクト・エクイティ投資を、30年度までに累計5000億円実施し、社会課題解決型の資金循環を促していく。
グループが一体となって豊かな未来づくりに貢献
こうした成長を支えるためには、専門人材の拡充や多様な人材の活躍が欠かせない。様々な社会課題に対して技術起点でアプローチする組織として、水素、蓄電池、化学などを専門とする研究者チーム(Technology-based Finance(TBF)チーム)を創設。また、DX推進を目的としたデジタル戦略子会社「TrustBase」を設立し、外部との共働も含め着実に従業員数を拡大している。さらに、役員が女性社員のキャリア形成を直接支援するサポーター役員制度を21年度に導入するなど、女性社員の活躍も推進している。
「信託」の力で社会課題を解決してきた歴史を持つ三井住友トラストグループ。高い専門性を有するグループ各社の力を結集し、次の100年も信託の力で豊かな未来づくりに貢献してもらいたい。
株式分割で投資しやすい環境を整備
同社は、24年1月からの新NISA導入を見据えて、23年12月31日を基準日に1対2の株式分割を実施した。投資単位当たりの金額を引き下げ、投資家層の拡大と株式の流動性向上を狙っている。
日本の金融・社会に好循環を促す絶好のポジションにある同社には、自社の成長はもちろん、資金循環を生み出す社会インフラの役割をぜひ果たしてほしい。