新たな推し株を発見!女性投資家から見た日経・東証IRフェア2025——東急株式会社の会社説明会!!【ハナミラ×ジャパニーズインベスターコラボ企画】

ハナミラ×ジャパニーズインベスター コラボ企画で、ハナミラレポーターとして、日経・東証IRフェア2025に初参加してきました!
大学教員として財務会計を教えている私ですが、今回は、数あるブースの中、生まれた時から沿線に住んでいる東急株式会社(証券コード:9005)の説明会に行ってきました♬
東急とはどんな会社?沿線開発から始まった「街づくり×鉄道」ビジネスの原点
東急株式会社のホームページによると中核事業の源流は、
① 土地開発:英国から日本へと伝わった田園都市論(郊外の住宅地から都心へ電車通勤するスタイル)をもとに、鉄道と不動産一体型のビジネスモデルを世に示した「田園都市株式会社」(1918年に渋沢栄一氏を発起人として設立)と、
② 公共交通整備:田園都市株式会社の鉄道部門(1922年以降は目黒蒲田電鉄株式会社)が現在の東急
であり、戦前、一時は日本最大の私鉄を有する大企業でした。
第二次世界大戦後は、GHQの指令により分社化されましたが、東京圏における住宅不足等が社会的問題を受けて、川崎および横浜北部に公共交通の整備(②)および土地開発(田園都市)(①)を行うなど、戦前に引き続き、①と②の事業を中核として発展してきました。
そんな東急の現在の会社概要は、以下の通りです。特に、図表2を確認すると、戦前からの事業を引き継いで、①の土地開発(東急沿線エリアの不動産事業と、その住民を支える生活サービス事業)と②の公共交通の整備(鉄軌道およびバス)が中核となって、東急沿線エリアを中心に展開されていることがわかります。
図表1 東急株式会社の会社概要(2025年3月末時点)
東急株式会社ホームページおよび東急株式会社会社説明会配付資料等より作成
図表2 東急株式会社の事業概要
東急株式会社会社説明会配付資料等より作成
日経・東証IRフェア2025でわかった東急の2つの「推し活投資」ポイント
では、今回の会社説明会の内容に入っていきたいと思います。今回の説明会のポイントは、「過去最高益の東急」、および「意外性のある東急」の2つとのことです。
東急が過去最高益を達成した理由とは?資産形成に役立つ安定経営の裏側
まずひとつ目の「過去最高益の東急」要因を確認していきます。事業ごとの営業収益(売上高)の構成比を確認すると、東急の特徴は、4つの事業で、バランスよく収益を得ているという点です。ただし、後述する営業利益の構成比と異なる部分があります。その大きな違いの1つとしては、営業収益で1番大きな比率を占める事業が、生活サービス事業(東急沿線エリアを中心とした百貨店、スーパーマーケット、ケーブルテレビやでんき・ガス等の家ナカサービス、クレジットカードの発行等)となっている点です。最近は、百貨店はどこも縮小している印象があったので意外に思い、担当者に伺ったところ、東急沿線の住民の日々の生活を支えるスーパーマーケット(東急ストア等)の比率がより高いとのことでした。
図表3 営業収益構成比
東急株式会社会社説明会配付資料等より作成
それに対して、営業利益の構成比を確認すると、構成比の大きさが、営業収益のそれと変わってきています。最も大きな構成比は、他の事業に比べて単価が大きい不動産事業です。次に、大きな構成比を占めるのは、交通事業でした。鉄道会社は、一度鉄道を整備すれば、鉄道車両他の減価償却費、電気代、および従業員の人件費等の支出が継続して生じるが、あまり大きな支出は生じない一方、最近は、どの鉄道会社も、電車賃を値上げしている状況のため、顧客側から見ると、儲かって見えるかもしれません。しかし、担当者の方にお話を伺うと、安全・維持対策を継続的に行っていくと、かなりのコストはかかるとのことでした。東急は、ホームドアや固定式ホーム柵を100%設置しホームの転落件数を大幅に削減するという安全対策も積極的に行っている一方、コンパクトな沿線エリア(図表5)を活かして、初乗り運賃を主要鉄道会社の中でも最も低い水準である140円としています。このように、東急が必要なコストは支出しつつも、住民にフレンドリーな運賃で交通事業を展開し、営業収益構成比2位を占めていることは、注目に値します。なお、営業収益構成比で最も高い事業であった生活サービス事業(スーパー等)は、他の企業とも同様に、薄利多売となるため、営業利益の構成比では、3位に終わっています!
図表4 営業利益構成比
東急株式会社会社説明会配付資料等より作成
東急株式会社ホームページ(https://www.tokyu.co.jp/company/about_us/)より転載
女性投資家が驚いた“意外な東急”―保育・子育て支援から海外展開まで
そして2つ目のポイントは、こうした主要事業に加えて、東急は意外な分野にも力を入れています。その事業とは、生活サービス事業の中の保育事業や子育て支援事業です。保育事業というのは、一般的に収益性が低い事業ですが、沿線住民に豊かな暮らしを提供する上で重要な機能として推進しているとのこと。それ以外にも子育て支援として東急グループが連携した取り組みを強化する「東急スクラムプロジェクト」を2025年より開始。第1弾の取組として東急沿線の子育て世代の応援を強化し、通学定期の運賃を約30%値下げするなどの施策も行われています。
また、東急沿線エリアを中心に展開している東急ですが、戦前から培った沿線開発のノウハウを活かして、ベトナムやオーストラリア等の街作りにも乗り出しています。
このように、東急は、長年にわたり培ってきた土地開発および公共交通整備の技術を活かして、東急沿線エリアの土地開発・公共交通整備・生活サービスを一手に担い、そこで得た収益を住民に還元しつつ、新たな投資を行い、東急沿線エリアを持続的に成長させるビジネスモデルを構築しています。また、そのノウハウを、時に、将来的に成長が見込める海外へと展開させることで、更なる成長を見込んでいると考えられます。
女性投資家が語る東急の“推しポイント”―地域密着と持続的成長の理由
私は、今回の日経・東証IRフェア2025では、出展している鉄道会社4社のうち、3社(東急、京急、およびJR東日本)の会社説明会を拝聴しました。私は、生まれた時から東急沿線エリアで生活してきたため、周りに東急系列の電車、バス、百貨店、スーパーマーケット、および映画館他に溢れており、他の鉄道会社のエリアとの違いもわからず、日々暮らしておりました。
しかし、今回の説明会を聞き、改めて、東急の企業情報を分析すると、大きなターミナル駅は、渋谷および横浜以外にはあまりないにもかかわらず、戦前からの、①土地開発、および②公共交通整備を中核として、沿線エリアの都市開発(不動産開発、公共交通整備、生活サービスの整備)を長年培っていました。また、近年でも、エリア住民のために、ホームドアや固定式ホーム柵の100%設置、低水準の鉄道運賃の設定、利益率が低い保育事業や子育て支援事業の展開等を行った結果、沿線エリアが“住みやすい街ランキング”などで上位に入っています。企業の中には、源流の事業とかけ離れた事業展開を行う企業も多い中でも、一貫した事業展開をしており、また、そのノウハウを海外へも展開していることから、東急の田園都市開発のノウハウは、卓越したものであると短時間でも感じることができ、投資家目線でも安心して投資できそうでしたし、住民としても、安心して住み続けたいと思う内容でした。
東急株式会社様、素敵なIR説明会をありがとうございました。プレゼンテーションも、ポイントがわかりやすく、はじめてのIRイベントでしたが、貴社に関する理解がかなり深まりました。
投資家としても、住民としても、引き続き、よろしくお願いいたします!!
ハナミラについて

「未来デザイン×資産運用アカデミー ハナミラ」は、株式投資を中心に、女性が自分らしい人生と資産形成を両立するための実践型スクールです。20代〜60代の幅広い世代が在籍し、累計受講者は1,200名以上。生活に根ざしたサービスや、信頼できる経営者などから企業を見つける「推し活投資」を通じて、楽しみながら銘柄分析や売買タイミングの判断力を養えます。初心者でも一歩ずつ投資判断力が身につくカリキュラムとコミュニティが特長。日本女性が経済的に自立することで、日本企業と社会にも資金が循環する——そんな未来の実現を目指しています。
ハナミラ公式サイト
藻利衣恵(もうりきぬえ)
ハナミラ歴4年。大学教員(高崎経済大学経済学部准教授・財務会計専攻)。
祖父・藻利重隆一橋大学名誉教授の遺志を継ぎ、商学系の研究者を志す。早稲田大学での学業と業務改善の成功後、高崎経済大学で講師・准教授として教育・研究に専念。大学生時代の著者と同様、会計・簿記が苦手な学生に定評があり、『楽しく学べる財務会計のクロスワード』(Amazon3部門1位)も出版。ゼミ生が、プレゼンテーション大会や交流ゼミでの優勝、公認会計士試験合格、一流企業への就職など多数の実績を持つ。プライベートでは、マナーの認定講師、およびメイクの認定講師の資格も持つ。

