食品や日用品も揃う! コンビニ代わりの自動販売機が登場
カナダ・バンクーバー
海外に行くと、日本のように自動販売機(以下、自販機)が街のあちこちにないため、不便な思いをした人は多いのではないだろうか。カナダも例外ではなく、水やジュース、炭酸飲料類の自販機でさえ、街中でもなかなか見かけない。「のどが渇いた、何か欲しい……」というときは、スタバのようなコーヒーショップ、あるいはコンビニエンス・ストアに入るしかないのが実情だ。
しかし、頼みの綱のコンビニも、ガソリンスタンドに併設されているものの、日本と比べると数はずっと少ない。「買い物は週一回まとめて買い出し」というのが、カナダ人のライフスタイルとはいえ、買い忘れた場合や、缶ジュースや炭酸飲料が無性に飲みたくなった場合、不便な思いをする。
そんなカナダで、ドリンクのみならず、さまざまな食料品を販売する自販機が登場した。提供しているのは、バンクーバーの企業Happy Vendingで、各種飲料の自販機というより、コンビニ代わりとなるものを目指している。設置は高層コンドミニアムが中心だ。
「自販機というとジャンクフードのイメージがありますが、Happy Vendingの自販機は、コンドミニアムの住人が必要とするものを提供できます」と、社長のJason Moyal (ジェイソン・モヤール)さん。設置が決まると、まず住人にどのような商品を置いてほしいかアンケートを取る。現在の人気商品は牛乳、卵、洗剤だそうだ。
「コンドミニアムごとに、中国系が多い、若い人が中心……というように、住人の傾向が異なります。各コンドミニアムで、そのときの需要に合わせた品物を提供することができるのが好評です」
生鮮食品や日用雑貨も扱う自販機という、Happy Vendingのコンセプトは、ヨーロッパの自販機から得たという。
「カナダ人にはまだ馴染みがないため、設置時に住人の皆さんにクーポンを配り、まずは一度、試しに使ってもらうように努力しています。特に寒さが厳しいカナダだからこそ、何かちょっとしたものが必要なとき、わざわざ外出せずにコンドミニアムのロビーで手に入るということは、大きな意味があると思います」とモヤールさんは強調する。次なる展開は、冬の寒波時にはマイナス30 度になることもある極寒の地にして、カナダの経済の中心、トロントへの進出だという。カナダの街中で自販機を見かける日もそう遠くはないかもしれない。
取材・文/西川桂子(バンクーバー) 編集協力/堀内章子・宮田園子