仲間川のサキシマスオウノキ
写真・文/高橋 弘(巨樹写真家)
※この記事は2024年7月25日発行のジャパニーズインベスター122号に掲載されたものです。
サキシマスオウノキは奄美大島以南に見られる常緑高木で、西表島の仲間川上流に日本最大
と思われるサキシマスオウノキが生育しています。西表島のパンフレットには、必ずこの木の写真が
載っており、「ああ、あの木だ!」と思われる方も多いことでしょう。近年の西表島のツアーでは、由
布島へ渡る水牛車とともに、メインの観光の場所ともなっています。
写真では知っていても、実際の大きさはなかなか伝わってこないのが実情。実際に出会ってみる
と、その破格の巨大さに誰しもが驚愕するでしょう。板根上に生長する幹は、ごくごく普通の"木"
なのですが、根だけが突出して巨大で、その周囲はなんと35mあまり。いかに特徴的な樹形であ
るかお分かりいただけるでしょう。板根の高さは約3.1mあり、10数枚の板根が波打つように広が
る姿は、自然だけが作り出せる芸術品のようです。先島諸島は、台風の発達する海域のまっただ
中に位置し、遠い過去から台風との対峙を繰り返してきました。長い年月を費やし進化、猛烈な強
風にも負けることのない巨大な根を手に入れたのかも知れません。サキシマスオウノキを見ていると、
植物も日々進化し続けているのだと実感させられます。
【DATA】
沖縄県八重山郡竹富町字南風見 国有林173林班い小班
幹周/35.1m
樹高/18m
樹齢/400年以上
国指定天然記念物
【著者プロフィール】
1960年山形県生まれ。巨樹を撮り始めて37年目。出会った巨樹の数は3,400本にのぼり、出版、写真展、ホームページなどにより、巨樹の魅力を発信している。著書に『巨樹・巨木をたずねて』(新日本出版社)などがある。
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