メリットは退職所得控除だけじゃない!ファイナンシャルプランナーが「iDeCo」改正報道でも動じない理由とは

自分が拠出した掛金を自分で運用し、資産を形成する年金制度「iDeCo」。2026年12月に制度が改正されるため、iDeCoの内容を改めてチェックしている人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、YouTubeチャンネル『井上ヨウスケ/井上FP事務所』の動画をセレクト。iDeCoを続けているというファイナンシャルプランナーの井上氏が、改正報道にも動じない理由をじっくり語っています。
iDeCoの本質は税の“繰り延べ”にあり!
iDeCoについて井上氏が「本質的に理解をしないといけない」と挙げたのが、iDeCoは税の繰り延べをしている点。今年払うべき所得税と住民税をiDeCoに回すことによって掛金が全額所得控除されるため、今年の税金は減ることになります。iDeCoの基本構造として、住民税と所得税を「未来に先送りする」制度だと理解しましょう。
次に理解すべきは、NISAとiDeCoは「掛け算の順番が違うだけで結果が同じになる」という点です。例えば課税前所得の100万円をNISAに入れたい場合、所得税10%と住民税10%の合計20%を払って手元には80万円が残ることに。仮に5%の運用利回りで20年分がかかっていくと、出口部分では税金がかからないため、増えた後の合計金額は約212万円になります。
一方iDeCoに課税前所得の100万円を回す場合、その年の所得税と住民税は対象外に。税率が20%で同じだったとして、最後の出口部分で税金がかかってくるだけなので、合計金額は212万円でNISAと変わりありません。
iDeCoは手数料が必要になるなど、細かい部分に差はあります。一方で井上氏は、NISAとの違いについて「基本の理解としては先に課税するか後に課税するかっていう差しかないっていうのが大前提」だと明言しました。
日本のみの特権“退職所得控除”とは
大前提を理解した上で注目したいのが、iDeCoは税率裁定と退職所得控除のメリットがあるという点です。井上氏いわく拠出時の税率と受け取り時の税率の差があると、NISAを使っているときよりもiDeCoの方が得をするケースが発生するそう。
例えば、NISAで拠出時の税率が20%だった場合の合計金額は212万円。対するiDeCoの受け取り時の税率が15%だった場合は225万円となるため、当然iDeCoの方が有利だということがわかります。現役世代で給料が多く税率が高い人などは、年金受給時の税率よりも高くて将来年金受給時の税率は低いケースもあり、井上氏は「累進課税というものがある限りこの制度は堅固」といいます。
さらに日本では、退職所得控除によって税金が少なくなる可能性があるのもポイント。一時所得で受け取ったときに退職所得がない人であれば、出口部分で1円も税金を払わなくて済むかもしれません。井上氏はiDeCoの正しい理解として「税の繰り延べ・税率差・退職所得控除」の3層構造を挙げ、その中で退職所得控除は改正リスクがあると説明しています。
一方で1階部分の税の繰り延べは「制度設計の構造」であり、世界中で多く設計されているため「制度上の構造だからいじくりにくい」というのが井上氏の考え。また2階部分にあたる税率差の「累進課税の構造」もある程度残ると仮定した場合、井上氏は「1階2階部分のメリットがあることを考えたら、多少3階部分(退職所得控除)がいじられたりとか管理手数料が数十円上がったぐらいでそもそものメリットはなくならないだろう」と自身の見解を語っていました。
iDeCoに向いている人・向いていない人の特徴
じつは万人にはiDeCoをおすすめしないという井上氏。“iDeCo向きな人”として3階建ての構造を理解している、現役時点の税率が高いといった点を挙げています。一方でiDeCoのメリットを出口部分の控除のみと捉えている人や、改悪リスクに対する不安が強い人などは使うべきではないとキッパリ。「iDeCoが悪い制度だとか別に言わなくたって、自分に合わないっていう感覚で判断されればいいんじゃないか」と説明していました。
井上氏自身も「難しい制度」と語るiDeCoですが、個人で拠出して税の先送りをする制度は貴重。NISAよりも有利になる人は一定数いるので、理解を深めた上でiDeCoの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
井上ヨウスケ
1986年3月15日大阪生まれ、高知県在住。役者の経験を持つ異例のファイナンシャルプランナー。2013年に事務所を設立し、役者時代に培った“話すスキル”を生かして講演を中心に活動している。2019年に開設したお金の知識を学べるYouTubeチャンネルでは、数字だけにとらわれがちなお金の話に“人間らしさ”を加え、「お金に使われず、お金とどう付き合っていくのか?」を中心に発信。著書に『38歳までに受けたい「甘くない」お金の授業』(ぱる出版)、『図解 会社員のためのお金のキホン』(KADOKAWA)がある。
YouTube:https://www.youtube.com/@fpinoue
『井上FP事務所』公式サイト:https://fpinoue.com/
