日本山村硝子株式会社 時代に即したガラスびんの可能性を広げる一方、新たな領域の開拓を通じて、持続的な成長に挑む
日本山村硝子株式会社
東証スタンダード/証券コード 5210
代表取締役 社長執行役員
山村 昇
Noboru Yamamura
1992年山村硝子入社。2002年㈱山村製壜所代表取締役社長、2012年日本山村硝子㈱プラスチックカンパニー事業開発部長、2018年執行役員プラスチックカンパニー社長、2022年取締役執行役員プラスチックカンパニー社長、2024年取締役専務執行役員プラスチックカンパニー社長を経て、2025年4月より現職。
※本記事は128号をご覧になった読者のみなさまから寄せられたご質問にお答えします。
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Q1 新中期経営計画におけるガラスびん関連事業の取り組みについて教えてください。
今回の新中期経営計画(以下、新中計)では、「フェーズ2 持続的な成長に向けた飛躍」と位置づけ、着実な成長と飛躍のための変革に取り組みます。前中期経営計画(以下、前中計)は事業基盤を整える3年間で、今回は将来の成長に向けた投資を本格化する3年間です。計画は野心的な数字を並べるよりも、収益基盤の確立を目指して策定しました。
中核事業のガラスびん関連事業は、市場動向や出荷量減少、前中計で実施した溶解炉更新の減価償却負担に加え、エネルギー価格の変動など不確実な要素も織り込み、2027年3月期は減益を見込んでいるものの、需要に応じた生産体制の構築や価格適正化を進めることで、収益基盤をさらに強化し、2028年3月期には利益の回復を見込んでいます。
一方で、新中計は決して守りの計画ではありません。市場環境が厳しい中でも、ガラスびん関連事業そのものに成長の余地はあり、ガラスびんの価値を改めて社会へ発信する社長直轄のブランディングプロジェクトを進めています。私たちはガラスびん製造・販売だけの会社ではありません。高温・24時間操業という製造現場だからこそ、ロボットやAI、DXの活用を進め、その過程で培った技術やノウハウを他の事業や業界に展開し、新たな事業機会につなげ持続的な成長を目指してまいります。
Q2 ニューガラス関連事業の可能性について教えてください。
ニューガラス関連事業は、成長を最も期待している事業です。ガラスびん関連事業は今後も当社のコア事業としつつ、将来の成長を牽引する新たな柱として、ニューガラス関連事業に大きな可能性を感じています。現時点では事業規模は限定的ですが、一定の規模まで成長すれば、利益面ではガラスびん関連事業を凌駕する可能性を秘めています。
中でも注力しているのが、半導体分野向けのガラスセラミックスです。AIや高性能コンピューティング(HPC)、高速データ通信の普及にともない、次世代半導体材料への期待が高まる中、当社も長年培ってきたガラス技術を生かし、この分野での事業展開を進めています。2026年4月には、台湾の工業技術研究院(ITRI)および中國製釉社との連携を発表しましたが、これは単なる研究開発ではなく、評価・検証から量産までを見据えた取り組みです。
これまでのニューガラス関連事業は、素材開発が中心でしたが、今後は加工や部品分野、さらにはパートナー企業との連携によるサプライチェーン構築まで含めて事業を拡大していく考えです。研究所の中だけで技術を育てるのではなく、外部企業と積極的に連携しながら事業化につなげていきます。
また、4月の発表以降、同業他社や既存のお客様から、「日本山村硝子はこんな技術も持っているのか」「こうした分野でも協力できないか」といったお問い合わせが増えています。
ガラスセラミックス分野の量産化までには一定の時間が必要ですが、その間にも提携や新たな取り組みなど、皆さまにお伝えできる進展は数多く出てくると考えています。今後の情報発信を通じて、当社がこの分野に本気で取り組んでいることを感じていただけるのではないかと思います。
Q3 新中期経営計画における株主還元方針を教えてください。
当社は前中計において、業績改善と将来への投資を総合的に勘案し、利益が生まれた際には、その成果を株主の皆さまと分かち合うという考え方のもと、株主還元を段階的に強化してきました。そのため、前中計において策定しました「連結配当性向50%を目安とし、1株当たり配当金50円を下限」とする株主還元方針を新中計でも継続します。利益成長に応じて継続的な増配を目指しながら、安定的な株主還元を実践していきます。
また、2027年3月期は減益を見込んでいるものの、特殊要因として中東情勢の影響を織り込んだこともあり、年間配当金は前期と同額の150円を維持する方針です。さらに、2026年2月には株主優待制度を新設しました。当社グループの商品や事業への理解を深めていただくとともに、中長期的に当社を応援してくださる株主の皆さまとの関係をより強固なものにしていきます。
Q4 資本コストと株価を意識した経営の推進に向けた取り組みを教えてください。
当社は中長期的な目標としてROE8%以上を掲げています。現在、収益力は着実に改善しているものの、PBRは依然として1倍を下回る水準にあります。そのため、新中計ではROE向上と市場からの評価向上の両面に取り組み、企業価値向上につなげていく方針です。
ROE8%については、短期で実現できる水準ではないものの、「いつになるかわからない目標」にするつもりもありません。当社の事業基盤や成長可能性を踏まえれば、十分に達成可能な目標だと考えています。まずは事業の成長によって利益を拡大し、その結果としてROEを高めていきます。
また、PBR改善のためには、事業の成長に加え、市場から適正な評価を得ることも重要です。新中計ではローリング方式を導入し、事業環境や戦略の進捗を継続的に開示していく方針です。投資家の皆さまとの対話を強化しながら、当社の成長戦略や企業価値向上への取り組みをより分かりやすくお伝えし、市場からの評価向上につなげてまいります。
【お問い合わせ先】
日本山村硝子株式会社 総合企画部
〒660-8580
兵庫県尼崎市西向島町15番1号
https://www.yamamura.co.jp/
※この記事は2026年7月25日発行のジャパニーズ インベスター130号に掲載されたものです。
