日本山村硝子株式会社 確かなものづくりの実績を礎に 企業価値のさらなる向上に挑む
日本山村硝子株式会社
東証スタンダード/証券コード 5210
代表取締役 社長執行役員
山村 昇
Noboru Yamamura
1992年山村硝子入社。2002年㈱山村製壜所代表取締役社長、2012年日本山村硝子㈱プラスチックカンパニー事業開発部長、2018年執行役員プラスチックカンパニー社長、2022年取締役執行役員プラスチックカンパニー社長、2024年取締役専務執行役員プラスチックカンパニー社長を経て、2025年4月より現職。
【お問い合わせ先】
日本山村硝子株式会社 総合企画部
〒660-8580
兵庫県尼崎市西向島町15番1号
国内シェアNo.1を誇るガラスびんメーカー
2025年に創業111年を迎えた日本山村硝子。「事業は人なり」、「商いの基は品質にあり」、「革新なくして未来なし」の基本理念を掲げ、「100年先も必要とされる会社」というグループ経営ビジョンのもとで持続的な成長を追求している企業だ。
社名に「硝子」とある通り、主要事業はガラスびん関連事業で、国内シェア約40%とNo.1の地位を長きにわたり築いている。加えて、世の中にリサイクルという呼び方がまだ一般的ではなかった1970年代にガラスびんを資源として回収するリサイクルシステムをいち早く構築し、ガラスびんの軽量化の推進や環境特性の発信など、循環型社会の実現に貢献してきた歴史を持つ。
現社長の山村昇氏は、「山村スピリットと呼ぶべき、事業に対する『誠実さ』や新しいことに『挑戦する勇気』、人への『優しさ』といった精神を堅持する一方、時代の変遷に対応して事業を変化、発展させていく『強さ』を発揮していくことで、新たな成長の基盤を確立していく」と、次代に向けた抱負を述べる。
事業の特長・特性
ガラスびん関連事業
● ガラスびん国内シェアNo.1
● 国内最大級の生産能力
● 国内唯一のガラスびん成型機メーカー
● 飲料・食品向けの充填および搬送設備を製造販売
プラスチック容器関連事業
● オリジナル飲料キャップの製造(特許取得)
● 国内キャップリサイクリングシステムのパイオニア
● 海外における製造販売の規模拡大(主にアジア)
● プラスチック成型技術を医療・介護製品へ技術展開
物流関連事業
● 国内を横断する41拠点の物流ネットワーク
● ドライ・チルド・フローズンの3温度帯への対応が可能
● 社会生活の安全を守る警備業務を提供(イベント警備、車両誘導など)
● 倉庫・運輸業、製造業等へ最適な人材を派遣
ニューガラス関連事業
● ガラスの特性を活かした素材や部品を開発
● 顧客のニーズに合わせてカスタマイズできる開発力
● 半導体、電子部品、自動車、エネルギー関連、通信の分野に進出
● ガラス素材をセラミックス、金属と接着するコア技術
ガラスびん関連事業のさらなる可能性を追求
ガラスびんの事業は、日本国内の市場が縮小している中で成長性を実感しにくい面が否めない。しかし、同社は国内最大級の生産体制を基盤として、高品質の製品を生み出す確かな技術を有している。加えて、酒類や飲料、食品、薬品など多岐にわたる顧客の製品を手がけている点も見逃せない。
「ガラスびんにしかできないことは、まだまだたくさんあると、常日頃から強く発信している。2025年10月にはブランドコミュニケーション室を立ち上げた。ガラスびんが持つ可能性を再発見するきっかけを作り、需要創造を図る。ガラスびんのプレゼンスを高めることで当社の利益向上にも繋げたい。また、ガラスびんをはじめとした各事業ポートフォリオのブランドの再構築に向けた取り組みも加速させる」と、山村社長は未来を見据えた思いを述べている。
強固な事業基盤のもと、新たな成長事業の確立に挑む
ガラスびん関連事業が売上高の60%超を占める一方、同社は飲料用プラスチックキャップの製造を主に手がけるプラスチック容器関連事業の顔も持つ。国内におけるキャップ生産能力は年間30億個以上で、売上高の約11%を稼ぎ出し、中国をはじめとするアジア他11ヵ国で製品を提供して事業を拡大中だ。海外子会社や提携先との連携により、アジアでの販売強化を目指す。また、近年は物流関連事業が急成長。売上は全体の約20%にのぼる。今後は、顧客と共に物流の課題を解決するロジスティクスの提供でさらなる拡大を見込む。
そして、新たな成長の鍵を握るのが、ニューガラス関連事業だ。現在は売上全体の約4%にとどまっているものの、最先端のガラス材料をもとに半導体、電子部品、モビリティ関連、エネルギー関連、通信の市場を開拓しつつある。山村社長は「ニューガラス関連事業は、まだ直近で31億円程度の売上だが、当社が次に目指す連結売上高1000億円達成の成長エンジンと位置付け、今後は国内外の有力なパートナーとのアライアンスなども想定している」と強気の姿勢である。
さらにもう一つ注目したいのが、顧客やパートナーと共に社会課題の解決に向けた事業開発に挑んでいる研究開発センターだ。10年以上の研究開発を経てコア事業とは異なる領域で展開した植物工場事業は、同社の「挑戦」を象徴する。クリーンな環境で育った安心安全な野菜を「きらきらベジ」のブランドで販売。機能性表示食品にも認められた高栄養野菜や、気候変動で供給が不足しやすい葉物野菜を取り揃える。「日本の農業の発展」や「食の安心安全」などに貢献するため、さらに多くの野菜や果物などに挑戦する。
研究開発センターでは、2025年から研究領域を「医療」「エレクトロニクス・エネルギー」「環境」とし、新事業を創造する開発を行っている。「環境」領域においては、従前よりガラスびん製造の環境負荷低減を実現する研究開発を継続しているが、今後は排出される温室効果ガスを有効活用した事業の展開なども目指す。
持続的な成長に向けて着実に前進中
同社は、2024年度までに事業構造改革を完了し、2026年3月を最終年度とする中期経営計画フェーズ1において、成長に向けた事業基盤の整備を着実に進めている。2026年3月期においては経常利益で計画比9億円増の39億円、ROE5.0%以上を見込む。そして、2027年度以降、「持続的な成長に向けた飛躍」を実現していくことで、中長期的にはROE8.0%以上を目指す構えだ。一方、株主還元は2025年3月期より連結配当性向50%を目安とし、1株当たり配当金50円を下限として設定。利益成長に応じた継続的な配当額の増加を目指す考えだ。2026年3月期は150円配当を見込む。
「事業を描くうえで『そんなことは無理』とか『できない』と言われると、むしろ『何としても実現したい』と燃えてくるのが私の性分。今後、ガラスびんをはじめとして、新たな価値の創出を通じて、ステークホルダーの皆様から『その手があったか』と驚かれるような一手を次々に繰り出していきたい。当社のこれからにぜひ期待してほしい」と、山村社長は語っている。
※この記事は2026年1月25日発行のジャパニーズ インベスター128号に掲載されたものです。
