学生起業家が選ぶ「未来を創る注目株」――「人こそ財産」5年分の給与を払えるキャッシュを持つ企業とは?

ノムラシステムコーポレーション×早稲田大学 株式投資サークルForward
学生投資家がIR担当者にズバリ聞く新企画「次世代の眼」。第1回は、ノムラシステムコーポレーション×早稲田大学 株式投資サークルForward。無借金経営で自己資本比率90%超という健全な財務基盤を持つ同社は、新進気鋭の学生投資家の〝眼〞にどう映ったのか――。
今回の訪問企業
株式会社ノムラシステムコーポレーション
〈東証スタンダード 3940〉
1986年創業。代表取締役は野村芳光氏。独SAP社のERP(統合基幹業務システム)導入の課題解決に強みを待つITコンサルティング企業。高いコンサルティング力を土台に蓄積したコンサルティング・ノウハウを駆使した進捗管理や品質管理によってスケジュール内で課題を解き切ることにより、プロジェクト成功率は100%を維持。
競合他社との差別化、ポイントは社員の「コンサルタント」意識
恵良氏:御社は独SAP社のERP(統合基幹業務システム)導入のコンサルティング会社だと思いますが、同業他社との差別化要素や強みについて教えてもらえますか?
飯田氏:当社は、過去20年以上にわたるSAPコンサルティングの知見を活かした豊富な業務・システム知識を持った社員全員が「コンサルタント」としてお客様の課題を自発的に引き出し、戦略的に解決する姿勢が特徴の伴走型コンサルティング会社です。近年は、ERP市場のほか、クラウド、ビッグデータ市場等の拡大も視野に、お客様と一緒に伴走するPMO(Project Management Office)サービスが好調に推移しています。また、強固な財務基盤による無借金経営も当社の大きな特長のひとつです。
高い自己資本比率はなんのため?
恵良氏:自己資本比率が90.5%もあります。投資家目線だと、自己資本比率が高すぎて資本効率が悪い印象があります。
内原氏:ご指摘のとおりなのですが、これには当社なりの理由があるのです。それは、創業者で社長の野村(芳光氏)の経営哲学である「5年は給料を払えるキャッシュを持つ」との方針に基づいています。
飯田氏:当社は「人こそ財産」と考えているため、社員の安心と“やりがい”を重視しています。リーマンショックやコロナ禍のような世界的な経済危機にも耐えられる環境を用意することで、社員が安心して仕事に取り組み、その価値を最大限に引き出すための備えと考えています。社員が安心して仕事をすることこそが、当社の着実な成長を支えており、当社の強みとなっています。
恵良氏:つまり、「社員の安心に投資している」と。なるほど。たしかに社員は安心ですし、社員の労働生産性を向上させますね。すごく納得しました。
「プロジェクト成功率100%」の強み!
恵良氏:ESGへの取り組みは、どうでしょう。
飯田氏:当社ではESGへの過度なリソースの投入は控え、本業での価値創造を重視しています。例えば、環境への直接的なアプローチは難しくても、コンサルタント業務でお客様の環境問題の解決に貢献できると考えています。
内原氏:ガバナンスの強化では、社外役員の充実や女性管理職の登用を進めています。
恵良氏:ESGは、投資というより「必要なコスト」という考え方ですね。ところで、プロジェクト成功率が100%です。これはどういうことですか。
内原氏:当社は失敗しないんです(笑)。例えば、大手コンサルティング会社が難航した案件でも、納期どおりに成功させています。
飯田氏:いままでのノウハウを駆使し、どんな困難な要求にも「コンサルタントの腕の見せどころ」とチームで乗り越え、スケジュール内で課題を解き切るコンサルティング力で、高い顧客満足度と信頼を得ています。
恵良氏:「失敗しない」のは物凄く大きな強みですね。
内原氏:ただ、この強みが投資家の方々に十分に認知されていないことが課題なので、今後は従来以上に各種のIR活動で積極的にアピールしていきたいと思います。
恵良氏:最後に、どんな投資家に株主になってほしいですか。
飯田氏:長期的に成長を共に楽しみ、応援してくれる投資家に株主になっていただければ、うれしく思います。
内原氏:中長期で当社の成長を応援してくださるファン株主の方に保有いただき、積極的な株主還元を実施することで、良好な関係を築いていきたいですね。
恵良氏:なるほど。ありがとうございます。すごく理解が深まりました。
プロジェクト成功率100%「失敗しない会社」のインパクトは絶大!
Summary
正直に言えば、最初は「自己資本比率90%超って、資本効率が悪いのでは?」と疑問を持っていた。しかし、対談を通じてその認識は大きく変わった。
「5年は給料を払えるキャッシュを持つ」という創業者・野村社長の経営哲学。これはリーマンショックやコロナ禍のような危機でも社員を守り抜くための備えだという。つまり、このキャッシュは「社員の安心への投資」なのだ。
「人こそが財産」という言葉は多くの企業が掲げるが、ノムラシステムではそれが財務戦略として実践されている。その結果が離職率3%、そしてプロジェクト成功率100%という驚異的な数字となっている。派手な成長戦略はないが、人を大切にする姿勢が確かな競争力を生んでいる。ただし、成長戦略の具体性には物足りなさも残った。長期目線で見守りたい企業だ。
今回の取材者
早稲田大学投資サークル Forward
2003年創立。早稲田大学唯一の投資部門公認サークル。国内最大級の大学投資コミュニティ。会員の9割は投資未経験者で、外国人学生のほか、学部学年、院生を問わず、多様性に富む。株式投資を中心に幅広い金融知識の習得と実践に取り組む。WallStreetComp2023優勝。現在(26年3月まで)、世界の15大学が参加して投資のパフォーマンスを競う国際大会「World Investment Competition 2025」に参加している。
※この記事は2026年1月25日発行のジャパニーズ インベスター128号に掲載されたものです。
