メディアスホールディングス株式会社 どんな災禍でも、けっして医療を止めない医療機器専門商社
メディアスホールディングス株式会社
東証プライム/証券コード 3154

代表取締役社長
池谷 保彦
Yasuhiko Ikeya
1978年協和医科器械㈱へ入社。1991年同社取締役営業部長兼浜松支店長を経て2001年代表取締役社長に就任。2009年協和医科ホールディングス㈱を設立しジャスダックに上場、同社代表取締役社長に就任。2010年現在のメディアスホールディングス㈱へと商号変更。2017年東証一部上場を果たし、2022年プライム市場上場。
ありとあらゆる医療機器・材料を取り扱う専門商社
メディアスホールディングスグループ(以下同社グループ)は100万点以上にも及ぶ医療機器・医療材料をメーカーや代理店などから仕入れ、国内の病院をはじめとする医療施設に販売するビジネスを展開しており、それが同社の基幹事業となっている。言わば、医療領域において求められる多様な機器・材料を取り揃えている専門商社だ。
また、同社は医療機関におけるDX推進の一役を担うソリューション事業も手掛けている。医療材料データベースや院内物流管理システム、手術情報共有システムなどを独自に開発・提供し、それらのツールを有機的に連携させることによって、医療現場における業務効率化をサポートしているのだ。
たとえば院内物流管理システムは、使用した分だけ費用請求が発生する〝富山の薬売り〞のようなスキームになっているうえ、在庫管理や発注業務の負担も軽減でき、長く医療機関が抱えてきた大きな課題の解決に結びついている。
「医療を止めない」を使命に、コロナ禍や災害時も安定供給
医師や看護師などのように患者とダイレクトに接するわけではなく、まさに黒子的な存在であるだけに、世間的にはその存在がさほど認知されていないかもしれない。だが、かねてより「医療を止めない」を使命として掲げて、コロナ禍でもそれを体現してきたのが同社だ。感染防止のための医療用ガウンや医療用マスクの需要が瞬く間に増大し、それに伴って価格も高騰。だが、同社は以前に世界を震撼させたSARS(重症急性呼吸器症候群)の大流行を教訓に、パンデミックに備えて在庫を確保しており、速やかに治療の最前線に供給ができた。
地震や台風、豪雨などの災害発生時も然りである。通常のサプライチェーンが寸断されてしまった場合も、必要な医療材料を供給し続けられる体制を築き上げることによって、地域医療の核となる医療機関を支えている。
M&A戦略で規模とシェアを拡大し、東証プライムに上場
同社の前身は静岡を拠点とする1959年設立の協和医科器械で、M&Aを通じて同業他社を傘下に収めながら事業規模を拡大してきた。多くの医療機関は地域密着型の診療を行っており、医療機器商社も特定のエリアに的を絞った活動を展開しているケースが主流だ。同社はM&A後も各社の独自性を尊重し、地域の
特性などに応じた事業を推進することにより、国内シェアを伸ばしてきた。
そして、手術用のメスからダヴィンチ(内視鏡手術支援ロボット)のような大型機器に至るまで、医療現場で必要とされているものを安定的に供給するインフラ機能を構築してきた。株式市場では2009年に協和医科ホールディングスとしてジャスダックに新規上場し、2016年に東証二部に上場、翌年に東証一部に指定替え、2022年から東証プライムに上場している。
中立的なスタンスと専門性の高さを強みに、厚い信頼を獲得
多彩なメーカーの製品を取り扱う同社の強みは、中立的なスタンスと専門性の高さにある。当然ながらメーカーや代理店の担当者は自社製品を採用することを推奨し、導入を検討する側もそれを念頭に話を聞くケースが多い。その点、同社は特定の製品にバイアスがかかることなく、中立的な立場から現場が本当に求め
ているものを提案できる。
しかも、同じ処方なら効能も同じである薬剤とは異なり、医療機器は道具であるため、いかに上手く使いこなせるかが問われてくる。たとえば、切開と同時に高周波電流によって止血を行える電気メスにしても、体脂肪の多い人と少ない人ではそれぞれ効果的な使用方法は異なる。同社の営業担当者は、医療機器ごとの特徴に合わせた使い方を学んだうえで、さらに他院での症例に基づいた使用方法などの情報も紹介することができるため、現場の医療スタッフたちから厚い信頼を獲得している。

経常利益を新たな経営指標とし、年率10%増を目標に
周知の通り、少子高齢化によって日本の人口自体は減少の一途を辿っているが、医療機器市場は年率2〜3%の成長が見込まれている。これまでのM&A戦略などが奏功して売上・シェアは一定の拡大を達成できたことから、同社は経常利益を新たな経営指標に位置づけたうえ
で年率10%増を目標値として定め、2027年6月期に売上高3200億円、経常利益24.2億円の達成を目指すという。
現在、同社は25の都道府県に拠点を設けているが、今後は全国47都道府県での広域展開体制を整えるためにM&Aによる規模拡大も引き続き継続する方針だ。また、それに伴いニーズが一層拡大しているソリューション事業も経常利益拡大の牽引役として期待が大きい。
同社は株主還元にも力を入れている。連結配当性向30%以上を目標値に掲げるとともに、2021年6月期より4年連続で期初配当予想を上回る増配を実施。併せて株主優待制度も導入しており、100株以上500株未満の保有で1000円、500株以上の保有で6000円のクオカードを進呈している。