賃貸需要が高く賃料が安定した城南3区の投資用新築物件を販売――株式会社フェイスネットワーク 代表取締役社長 蜂谷 二郎
株式会社フェイスネットワーク
証券コード 3489/東証マザーズ
代表取締役社長 蜂谷 二郎
Jiro Hachiya

投資用の新築1棟RC(鉄筋コンクリート)マンションの企画開発販売事業で業績を急伸させているフェイスネットワーク。城南3区にこだわる理由は何か? 城南3区に限定して持続的な成長が可能なのか? 新たな事業展開の計画は? 同社の成長の秘密と将来像を蜂谷二郎社長に聞いた。
取材・文/山本 信幸 写真撮影/和田 佳久
設計施工を内製化することで顧客に理想の物件プランを提示
―― 不動産投資用の新築1棟RCマンションを建てるエリアを東京の城南3区(世田谷区・目黒区・渋谷区)に絞っているのはなぜですか?
蜂谷 当社の「GranDuo(グランデュオ)」(新築1棟RCマンションのブランド)のオーナーさまから見ると、お客さまは入居者です。入居者の多くが住みたいと思う街は、都心に近くて緑が多く、商業地域と住居地域が程よいバランスで共存しているエリアです。都内なら世田谷区・目黒区・渋谷区が該当します。
城南3区は1年中賃貸需要が見込め、都心3区ほど土地の価格が高くないため、オーナーと入居者と当社がWin-Win-Winの関係になれるわけです。
―― 具体的には、どんな物件ですか。
蜂谷 例えば世田谷区の三軒茶屋駅(東急田園都市線)徒歩5分、部屋の広さは25㎡、賃料10万円前後、入居者は20代から40代の女性をターゲットとし、デザイン性と居住性を両立させた販売価格3~5億円の新築1棟RCマンションです。
―― 投資用不動産を販売する会社は他にもありますが、御社の強みはどこにあるのですか。
蜂谷 当社は、大手不動産会社などを通じて1カ月に400件ほど入ってくる城南3区非公開の土地情報を基に、土地の仕入れから設計、施工、賃貸募集、管理、販売までをワンストップで提供しています。そのためお客さまと面談をしながら理想とする物件をプランニングし、短期間で商品化することができます。不整形地や狭い土地も得意としているといった強みもあります。
―― 1カ月400件の土地情報のうち、成約するのは何件くらいですか。また引き渡し件数はどのくらいですか。
蜂谷 オーナーさま保護のために物件を絞り込んでいるため、およそ9割の物件はお断りをすることになり、プランニングまで進むのは30件くらい、成約するのは1カ月4、5件です。
引き渡し物件数は17年3月期26棟、18年3月期33棟、19年3月期は42棟を予定しています。今後も同じくらいのペースで増やしていきたいです。

クリエーターの支援や保育園併設の社会貢献型物件も開発
―― マンション価格が暴落するのではないかといわれる2020年問題の影響はありませんか。
蜂谷 私は金融機関勤務時代から不動産不況も不動産バブルも経験してきました。その経験から、人気の高い城南3区の土地価格は、仮に2020年問題が起こっても、大きく値下がりすることはないと考えています。賃料に対する影響も少ないでしょう。不況になると都心3区のオフィスビルの坪単価は3分の1になる可能性があります。でも先ほどの三軒茶屋物件の家賃10万円が7万円になることはないはずです。
――17年4月から新事業として中古の一棟ビルをリノベーションした「GrandStory(グランストーリー)」というシリーズも始めましたね。
蜂谷 これは社会貢献を兼ねた「創作支援型シェアリング事業」です。フリーランス1,100万人時代と言われていますが、仕事のスキルはあっても社会的な信用はまだ低いし、収入も多いとはいえません。そこで、コンセプトが明確な中古物件を提供することで、若いクリエーターを支援できないかと考えました。例えば代官山の物件は、3階、4階が時間貸しの美容室です。美容師の方が所属しているサロンの非出勤日に副業として仕事をしたり、子育ての合間に仕事したりといった使い方ができます。また自由が丘の物件は地下に24時間使える入居者専用のスタジオが用意されています。「GrandStory」は「GranDuo」に比べると物件情報が圧倒的に少ないのですが、ゆくゆくは二本柱に育てて行きたいですね。
―― 社会貢献といえば、保育園を併設した物件もありますね。
蜂谷 待機児童問題の解消と、仕事と子育てとの両立を支援することを目的とした企業主導型保育事業を手がけるパートナーエージェント社との協業により、保育園を併設した物件を建てています。当社の物件は駅徒歩5分前後と近く子どもを預けるのに便利な上、駅の商業地から住宅地に入る中間地にあり、騒音などの問題も起きにくいといえます。
今期も過去最高売上高、最高益の達成を目指す
――業績が急激に伸びていますね。
蜂谷 18年3月期の売上高は139億4,500万円、経常利益は10億4,600万円となり、売上高は過去6期で約6倍、経常利益は16倍に増えています。
19年3月期は売上高180億円を予想しています。建物の完成までに8カ月から10カ月かかるので、前期の仕入れが順調であれば、今期の業績がある程度見えてきます。18年3月期は仕入れが順調にできたことから、19年3月期も過去最高の増収増益を目指し、3年後には売上高300億円くらいの規模を目指したいと思っています。
――上場の目的は何でしょう。
蜂谷 大きく二つあります。当社は設立から現在までの16年で150棟以上の物件を手がけていますが、それでもお客さまから「こんな会社があったんだ」と言われることが多く、知名度が高いとは言えません。そこで上場をきっかけに知名度を高めたいと考えています。もうひとつは人材確保です。設計と施工部門の人材補強をしていきたいです。
―― 株主還元について教えてください。
蜂谷 自己資本比率が30%程度に高まったところで配当性向をより高めていきたいと考えています。
当社は城南3区に特化した「ニッチトップ」という特色を持った会社です。株主さまには城南3区の可能性に着目していただき応援をお願いいたします。