EC事業の採算改善が鮮明に。受注拡大を伴う業績回復局面へ。
投資判断
第1四半期は、従来の投資判断を引き上げるに足る内容だった。EC事業の需要回復、利益率改善、受注増加が同時に確認され、利益回復は期待の段階から実績の段階へ移った。株価3,750円は予想PER11.8倍、実績PBR2.09倍、予想配当利回り3.4%であり、回復後の収益力を踏まえれば決して行きすぎた株価評価ではない。投資判断は強気とする。
前回レポートでは、EC事業の市場在庫調整の終了、受注の改善、粗利率と営業利益率の反転を確認してから株式保有を厚くする方針を示した。今回、その確認条件の相当部分が実現した。従前の慎重姿勢は方向として妥当だったが、回復時期と利益の立ち上がりをやや慎重に見過ぎていた。
一方、受注急増には製品価格上昇、円安、長納期化を見越した先行発注が含まれる。さらに、運転資金の増加により営業キャッシュフローとネット有利子負債は悪化した。したがって、四半期利益を単純に年率換算する強気判断ではない。EC事業の採算改善が続き、受注が売上へ転換するとの見方を中心に据える。
1.第1四半期決算の要点
2027年3月期第1四半期の売上高は603.2億円で前年同期比33.6%増、営業利益は40.7億円で179.5%増、経常利益は39.1億円で127.8%増、親会社株主に帰属する四半期純利益は26.5億円で117.7%増となった。営業利益率は3.2%から6.7%へ上昇した。
売上総利益は前年同期比44.2%増えた一方、販管費は4.8%増にとどまった。増収効果と売上構成改善が利益へ効率よく転換された。経常利益が営業利益を下回ったのは、前年同期に為替差益があった一方、今回は為替差損が発生し、支払利息も増加したためである。
2.事業別分析
CN事業は利益の安定を担う
CN事業の売上高は99.7億円で14.0%増、セグメント利益は15.3億円で3.1%増となった。ネットワーク関連製品、セキュリティ関連製品、保守・監視サービスが伸びた一方、通信事業者向けストレージ関連製品は減少した。保守・監視サービスの売上構成比は44%で、継続性の高い収益が事業ポートフォリオの安定に寄与している。
課題は、セグメント利益率が17.0%から15.4%へ低下した点である。売上増加に比べ利益増加が小さく、製品構成や案件採算を確認する必要がある。ただし、会社の通期売上計画は前期比0.4%減であり、第1四半期の増収を踏まえると計画には慎重さが残る。
EC事業が全社利益を押し上げた
EC事業の売上高は503.5億円で38.4%増、セグメント利益は23.7億円となり、前年同期の2.3億円から大幅に増加した。利益率は0.6%から4.7%へ回復した。産業機器向け、車載機器向け、コンピュータおよび周辺機器向けがそろって増加し、相対的に利益率の高い製品の販売伸長も利益を押し上げた。
PB事業は成長したが構成比は低下
PB事業の売上高は25.6億円で10.1%増加した。TED長崎は半導体製造関連を中心に好調で、TED本体でも回復の兆しが出た。一方、全社売上高比率は5.2%から4.2%へ低下した。今回の利益回復はPB事業の構造的拡大より、EC事業の販売回復と製品構成改善が中心である。VISION2030が目指すPB事業売上構成比10%にはなお距離がある。
3.受注高は強いが、金額と実需を分けて見たい
第1四半期の受注高は997.8億円で、前四半期797.1億円から25.2%増加した。内訳はEC事業786.9億円、CN事業210.8億円である。前年同期の465.6億円と比べると全社受注高は約2.1倍となり、売上高603.2億円に対する受注高比率は1.65倍である。
受注拡大は業績回復の持続性を支える。一方、会社は製品リードタイムの長期化、価格上昇を見据えた先行受注、半導体製品価格の上昇が寄与したと説明している。投資家が確認すべきなのは受注額だけではない。受注残から売上への転換期間、キャンセル、価格上昇を除いた数量、顧客在庫の増減が重要になる。
4.業績予想の上方修正と上振れ要因
会社は通期予想を売上高2,400億円、経常利益136億円、当期純利益94億円へ引き上げた。前回予想に対する修正率は、売上高6.7%、経常利益20.4%、当期純利益19.7%である。年間配当予想も108円から129円へ増額した。
修正後計画に対する第1四半期進捗率は、売上高25.1%、経常利益28.7%、当期純利益28.2%である。第1四半期の経常利益率6.5%に対し、残り9か月に必要な利益率は約5.4%となる。会社計画の達成可能性は高い。
追加的な上振れ要因は、EC事業利益率の4%台後半維持、受注残の早期売上転換、CN事業の前期比減収回避、産業機器とコンピュータ周辺機器向け需要の継続である。下振れ要因は、先行発注の反動、半導体価格上昇による需要抑制、円高、金利負担の増加、AI半導体投資の減速である。
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