強い意思と迅速果敢な実践力で持続可能な未来を創造する(株式会社キッツ 取締役 代表執行役社長 河野 誠)
株式会社キッツ
証券コード 6498/東証プライム
取締役 代表執行役社長
河野 誠
1951年の創業以来、生活及び社会インフラの整備・維持に寄与するにとどまらず、時代とともに成長する産業向けに製品領域を拡大しながら、社会の発展に貢献する志のもと、事業展開を広げてきました。自社内に鋳造設備を有し、素材からの一貫生産にこだわった安定供給を維持し、流体制御技術と材料開発を磨き上げながら事業成長させる当社の経営ポリシーは、創業者 北澤利男の言葉「バルブは素材が命」に基づく、品質保証体制の礎であり、信頼性の高いブランド力の源泉となっています。
また、この貢献を日本にとどまらず、世界中に広げたいとの創業者の志を受け継ぎ、グローバル供給体制を築きつつ、きめ細かな販売・アフターフォロー体制を構築し、現在のキッツグループの姿へと進化してきました。
そうした社会への貢献と揺るぎない信頼を追求する文化の中で育ち、5代目社長を拝命した私自身も持続可能な未来を創造するにふさわしい貢献の広がりを胸に経営を舵取りしています。
新しい時代に求められる社会課題の解決を
事業ポートフォリオの一角を担う大きな柱に育てる
長期経営ビジョン「Beyond New Heights 2030『流れ』を変える」の実現に向け、連結売上高は1,700億円を超すまでに伸長し、2030年度の目標(連結売上高2,000億円規模)を射程圏内に捉えられる状況にまで成長しました。
第1期中期経営計画では両利きの経営を目指し、市場別に管理できる体制を整えながら、建築設備・石油化学・水処理・機械装置をCore市場と定め事業基盤としてさらに拡大させる一方、半導体装置・半導体材料(フィルター)・機能性化学・水素/脱炭素をGrowth市場と位置付け積極参入を加速させました。
昨年5月に開催した展示会では、市場毎にキッツグループ全体が連携して挑戦する姿を訴求し、ニーズに応えていく強い意思を示すことができたのではないかと思います。
また、デジタル化・AI化が進む時代、デジタル化社会を下支えする半導体市場への取り組みを精力的に進めるとともに、エネルギートランジション需要に応える脱炭素分野や進化著しい機能性化学分野とあわせ、新しい時代に求められる要請にしっかり応えながら新事業を大きく育てることで、社会課題への解決に貢献していきたいと考えています。
成長投資の実行をはじめ
次なる成長に向けた「仕込み」は着実に前進
第1期中期経営計画の3年間では、ブラジルでは鋳造設備を増設した工業用ボールバルブの新工場を竣工し、ベトナムではステンレス鋼バルブの生産工場を稼働させたほか、今後、想定される半導体市場の伸びに追随して急勾配の成長を描けるよう、次なるピークに耐えうる半導体関連製品の生産設備への成長投資を実行しました。
半導体装置に組み込むバルブを手掛けるキッツエスシーティー新田SC工場に新棟を建設したほか、日本・中国工場内で半導体装置向け部品の内製化を開始、ベトナムでは2026年の稼働を目指し、高純度ガス対応バルブ生産設備の整備を進めています。これら投資は生産能力の増強とあわせ、生産地分散による安定供給にも大きく貢献するものと見込んでいます。また、キッツマイクロフィルターが手掛ける半導体材料(フィルター)も茅野工場内に増築した新工場で増産を開始しており、今後、急激な半導体需要の高まりに確実に供給できる体制へと整いつつあるとの手応えを得ています。
また事業成長を支える基盤づくりとして、DX推進を含むBX(ビジネストランスフォーメーション)による業務革新はグループ会社横断で取り組んでから3年経過し、工場では、自動化・スマートファクトリー化を見据えた、人的労働から機械化への置き換えが進み、営業・技術部門も人間技、個人の力量に頼っていた部分にDX化を実現し、働き方を変え、生産性を向上させる成果が現れはじめました。
この結果、人財リソースを新事業や付加価値の高い仕事へシフトさせることが可能になりはじめ、デジタル化が一層加速していく中で、この基盤が作れたことは、さらにその先にとっても非常に価値のある、大きな仕込みになったと捉えています。さらにデータドリブン経営による生産性向上の実現を狙い、在庫の最適化などにも活かしていきます。
信頼・新規・進化の3つの「SHIN」を通じて
各市場・エリアで戦える“真のグローバル企業”を目指す
第2期中期経営計画「SHIN Global 2027」をスタート
第2期中期経営計画のテーマは「SHIN Global 2027」(「コーポレートレポート 2025」p23をご確認ください。)です。SHINには、信頼・新規・進化という意味に加え、Strong Will(強い意思)、Harmony(調和)、Innovation(イノベーション)、Net work(ネットワーク)というキッツグループが大切にする要素をメッセージとして込めました。日本以外のメンバーたちにも調和をもってワンチームになって仕事をすることはグローバル展開において非常に大事なことだと思っています。
第2期中期経営計画では、市場別管理をさらに進化させるため、生産・技術・営業という機能別組織から市場別ビジネスユニット(BU)制(「コーポレートレポート 2025」p28をご確認ください。)への舵を切りました。グループ会社はどの市場に対して責任を持つのか明確にし、個社の力をグループ全体に活かせるように体制を整えて利益の最大化を狙っていくのがBU制の目標です。ユニット毎に製販一体でお客様のニーズに寄り添い、対話を深める中で課題を理解し提供できるソリューションを見つけて迅速に対応できる体質へ転換していきます。またグローバル展開においても、素材の品質は落とすことなく、部品や加工、コーティング等は現地でもっともコスト競争力のある方法をミックスさせながら、各エリアで望まれる性能を満たす製品を現地で設計・開発・販売する現地完結型ビジネスを加速させていきます。
それが、私たちが目指す「SHIN Global 2027」です。
この3年間で、投資計画が目白押しの日本は堅調、裾野が広いアメリカには力強さを感じている一方で、中国景気は簡単に浮上してこないと見ており、その分、インドと中東に力を注ぐ計画です。インドは現地販売会社を設立し、医薬・食品・化学を中心に販路拡大を視野に入れており、中東はドバイ駐在事務所を足がかりに、活動を本格化させていきます。アメリカやASEANへの製品供給は、ベトナムを機能させることを考えていますが、世界の流れは自国保護主義にあり、各国内でものづくりをするメーカーが最優先で採用される動きが加速している中で、アメリカでの現地生産についても第2期中計期間のうちに検証していきます。
より高い付加価値を創造する
エンゲージメント高いワンチームへ
ビジネスポートフォリオ変革のもう一つの方向性として、製品単体の販売からバルブを軸とした装置やユニット販売、さらにはエンジニアリング、最終的なアフタービジネスの領域にも踏み込み、お客様に永続的に寄り添える、より高い付加価値を発揮するビジネスモデルへの転換も指向しています。
その具現化には、キャリア人財の活躍に期待を寄せるところも大きくなりますが、現在も新卒・社会人採用在籍率は半々程度で、個人の高いスキルや能力より、人のことを考え、正直に、正しいことを判断する人、調和を取れ、ワンチームで仕事をする人を選ぶ「Do it True」の文化から生まれ来る「融合する力」は、まさにキッツグループの強みの一つです。
幸い、当社は提案すればチャレンジできる文化であり、私自身の経験を振り返っても、仕事を通じて成長させてもらってきたとの実感があります。目の前にチャンスがきても、他人事と捉えているとそのチャンスを掴めません。強い意思を持ってチャンスを掴み取り、やり遂げ、実績を上げることで周りの信頼を得てより大きなアサイメントを受ける循環を生み、知らず知らずのうちに器を大きくしてくれます。成長の源泉となる健全な緊張感と健全な危機感が生まれる環境を作ること、これもリーダーの果たすべき役割の一つと捉えています。
「Strong Will」をもって自ら決断し、
スピード感をもってやり切る組織へ
第1期中計は、想定以上に数値計画を前倒しできたものの、お客様に提供すべきソリューションがあるにもかかわらず、できていないことも多く、まだまだスピードが足りないとの危機感を覚えました。ニーズには旬があり、それを逸したらチャンスはありません。それを何とか超える策をみんなで打ち出し、諦めることなく突破する。そうして突破した後に見えてくるのが、新しい景色とさらなる高みです。
キッツに脈々と受け継がれるDNAは「迅速果敢な実践力」だと言われてきました。実践なしに事業は発展しませんし、その決断には強い意思が必要です。「クオリティファースト」を信言とした2代目社長清水雄輔は、長坂工場と伊那工場で日本企業初となるISO9001認証を取得し、その姿勢を社内外に示しました。長年、海外営業を進める中で「真のグローバル企業へ」の強い想いを抱いた前任の堀田康之は、グローバルビジネスの発展には現地企業が必要と判断し、狙う地域における企業をグループ化する流れを加速させました。「SHIN」のS、「Strong Will」は、まさにこうした強い意思を意味しており、これまで他人事に見ていたことを、一人ひとりが自分ごとに置き換え、自ら決断して進んでもらいたいという思いを込めています。
「何か自分にできることはないか」と考える土壌が育つことは、エンゲージメント向上につながるだけでなく、間違いなく、お客様のより近くに寄り添い、ともに未来を創造していく力になるものと確信しています。
※本記事は、株式会社キッツ「コーポレートレポート2025」より転載しております。
