塚崎の大楠(最終回)

写真・文/高橋 弘(巨樹写真家)
武雄市の市街地にある国内でも有数のクスノキの巨樹です。西九州新幹線武雄温泉駅から500mほど南西、文化会館裏手の小高い丘の上に立ち、すぐ近くには国道34号線も通る市街地に生育しています。よくぞこの環境下で現在まで残ったものだと感心せざるを得ません。昭和38年には落雷の被害に遭い、主幹や大枝など大部分が失われてしまい大空洞が形成されました。根回りは38mに及ぶ大きさを誇るため、空洞には大人30人ほどが入れる巨大なもの。空洞内部には現在も焼けただれた痕跡が
痛々しく残ります。焼け残った東側の根は大部分が残存しており、大きな体躯を支えていますが、西側の根元は火災によってかなりの部分が消失。まさに皮が一枚残った状態で、今にも崩れ去るのではないかと心配されるような印象です。近年樹勢の衰えが心配され、平成23年には根元の土壌改良、根元部分保護のマット敷設、倒壊防止のワイヤー設置など、樹勢回復治療が行われました。
塚崎の大クスには訪問する観光客も少なく、森の中にあるため落ち着いた気持ちで木と触れ合うことが可能です。かつてここは武雄城があった場所とされ、小高い丘が天然の要塞でした。大クスも武雄城の歴史を見てきたのでしょう。
【DATA】
佐賀県武雄市武雄町武雄5563-2
幹周/15.07m
樹高/18m
樹齢/2000年
武雄市指定天然記念物
【著者プロフィール】
1960年山形県生まれ。巨樹を撮り始めて38年目。出会った巨樹の数は3,400本にのぼり、出版、写真展、ホームページなどにより、巨樹の魅力を発信している。著書に『巨樹・巨木をたずねて』(新日本出版社)などがある。
著者ホームページ
※この記事は2026年1月25日発行のジャパニーズインベスター128号に掲載されたものです。
