取り崩しシミュレーションは役に立つのか――投資歴30年以上のベテランが明かした“本音”

資産形成のノウハウを惜しみなく提供しているYouTubeチャンネル『投資家・税理士 三本さんのお金の話』。今回は「新NISAの終わり方」というテーマを解説した動画をセレクトしました。投資歴30年以上のベテラン・三本勝己氏が語った“本音”を、じっくり見ていきましょう。
三本氏が挙げた「心の支え」になる手段
まず知っておきたいのは、世の中にはさまざまな「取り崩しシミュレーション」があるということ。取り崩し開始時期(年齢)、金額、リターンといった数値を入力することで、どれぐらいの取り崩しができるのか、お金がどのぐらい持つのかといったシミュレーションのイメージをつけることができます。
しかし投資経験の長い三本氏は、シミュレーションどおりになるとは思えないといいます。実際に2008年にはリーマン・ショックが起きていて、例えば1999年にS&P500で1,000万円投資した場合、2008年に700万円を下回ってしまいました。10年経っても戻らないとなると、三本氏は「大部分の人は心が折れちゃってもう投資なんか嫌だなというふうに思ったはず」と指摘。リーマン・ショック当時は、三本氏も「買いより売りの方がいい」という発想になったそうです。
そんな局面を乗り越えた先にリターンが良くなるとはいえ、三本氏いわく「投資は心理戦」。お金を増やすつもりがかえって減ってしまったとき、多くの人は耐えられないといいます。
老後にリーマン・ショックのような大暴落が起きてしまった場合、厳しい状況になることは必至。「自分自身も考えた時にやっぱり勝ち逃げしたいという気持ちはある」という三本氏は、「心の支えになりそう」な手段として高配当ETFを挙げています。課税などがネックになってくるとはいえ、高配当ETFを組み合わせることも考える必要があり、「そのときにNISAの枠をどう使うという選択肢が出てくるんじゃないか」と説明しました。
ルール化することの必要性
続いて三本氏は「大きな下げの対処を考える」をテーマに、取り崩しは定率がいいのか定額がいいのかについて言及。「含み益がいっぱいあるときは定額でもいい。でも含み益があんまりないときに定額で引き出しちゃうとやっぱり戻すときにきつくなっちゃう」といいます。“取り崩せない年もある”という前提で、ある程度のリターンが出たときにキャッシュポジションを多めにしておくのもひとつの選択肢となります。
また、ある程度の年齢になったらこれまでの定率取り崩しから定額取り崩しへ移行するという方法もあります。ただし、そのとき自分だけで意思決定ができるわけではない可能性もあるため、家族と取り崩しのプランを共有しておくことが大切。三本氏は「ある程度こういうものから崩していこうというふうな話ができるようにルール化し、それを書面かなんかで残しておくといいんじゃないか」とアドバイスを送っています。
三本氏は、ある程度の資産がある人は“資産ピラミッド”を構築するよう指南。取り崩しやすいものから順番に自分なりのピラミッドを構築することで、何から手をつければいいのかがわかりやすくなります。ただし同じ資産があったとしても順番は人それぞれなので、あくまで自分の中で考えて整理しましょう。
シミュレーションは“絵空事”
50代・60代の人にとって、取り崩しは切実な問題だと三本氏は語っています。シミュレーションどおりにはいかず、毎年プラスが少しでも出るに越したことはありませんが、やはりマイナスの年というのも出てしまうもの。
そこで三本氏が訴えるのは、「暴落したときとかには取り崩さないで済むような戦略を作らないといけない」ということ。今後、マーケットがどれほど荒れるかは誰にも予想することはできません。リーマン・ショックを挟んだ2000~2010年のような、厳しい10年間が再びやってくる可能性もあると三本氏は警鐘を鳴らしています。
最後に改めて「シミュレーションによる取り崩しプランっていうのは全くの絵空事だったというのが私の結論」と明言した三本氏。大きく下落するような局面になったときにどう対処すればいいのか、三本氏の言葉を参考に予め“マイルール”を決めておけたらいいですね。
三本勝己
投資家・税理士。仕事内容は法人税務顧問、事業承継サポート、事業再生サポート、税務セカンドオピニオンなど多岐に及ぶ。開業税理士としても投資家としても経験年数は30年以上。YouTube登録者数は8.6万人超を誇り、「日本人の資産形成をサポートしたい!!」という思いのもと惜しみなくノウハウを提供している。また、経営者・個人事業主・投資家向けのオンラインサロン形式の投資経営塾も展開中。税理士との新しい付き合い方や、セカンドオピニオン、経営、税務に役立つ“YouTubeでは話せない”内容も満載となっている。
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