株式会社ヤギ 循環型の価値創造モデルで挑む成長戦略と総還元性向70%の実現
株式会社ヤギ
東証スタンダード/証券コード 7460
代表取締役 社長執行役員
八木 隆夫
Takao Yagi
1999年インドネシア石油株式会社(現株式会社INPEX)に入社。海外での駐在を経て、2011年11月ヤギに入社。16年6月に代表取締役社長就任、21年4月より現職
2026年4月に始動した新経営理念と「中期経営計画2029」
株式会社ヤギは、1893年の創業以来培ってきた「終始一誠意」の精神を基盤に、130年以上にわたり社会や経済の変化に対応しながら進化を続けてきた。2026年4月には、単なる商取引の枠を超え、その先にある思想や信念を軸にビジネスのあり方そのものを進化させるという決意を込め、新たな経営理念「Business to Belief」を策定。あわせて、2027年3月期から2029年3月期を対象とする「中期経営計画2029」を始動。本計画では、従来の「垂直統合型」から、各部門が有機的に繋がる循環型の価値創造モデル「YAGI 140 MOMENTUM」への進化を掲げ、連鎖的な付加価値を生み出し、成長を牽引する源泉としている。
セグメント体制においては、「マテリアル」「アパレル」「ブランド」「リテール」の4事業を収益事業「マテリアル」「アパレル」と成長事業「ブランド」「リテール」に再定義。これにより、投資の最適化を推進する方針だ。4つの事業が相互に価値を提供し、市場からのフィードバックを繰り返すことで、持続的な高収益構造への転換と、業界における独自の競争優位の確立を目指していく。
2期連続の過去最高益を達成した強力な成長ドライバー
「中期経営計画2029」への重要な足がかりとなった2026年3月期の連結業績は、売上高859億円、経常利益48億円、ROE(自己資本利益率)8.2%を達成した。2期連続で過去最高益を更新し、利益面と効率性の双方において大きな進展を見せている。
この飛躍的な収益性向上の背景には、3つの明確な成長ドライバーがある。1つ目は、不採算事業の整理による収益構造改革。2つ目は、各取扱商材の高付加価値化。そして3つ目は、高い利益率で全体の成長を牽引した「ブランド事業」の好調さである。これらの構造改革が実を結び、資本効率の指標であるROEも大きく向上。次なる成長フェーズに向けた強固な足場を築いた。
事業戦略の推進と未来へのネットワーク拡充
循環型の価値創造モデル「YAGI 140 MOMENTUM」の具現化に向け、同社はポートフォリオを収益事業と成長事業に分類し、それぞれの戦略を推進している。基盤となる収益事業では、海外展示会への出展によるグローバル市場の開拓や、企画・提案力を活かした顧客との関係の深耕を推進。ここで生み出した利益を成長事業へ投資し、グループ全体の成長を目指す。
その中核となり成長を牽引するのが「ブランド事業」だ。主力子会社WEAVAが展開する「TATRAS」は基幹ブランドとしてグローバル展開を加速しており、成長投資を独自の価値へ転換しグループの飛躍をリードする。さらに、NIKEストアを運営する関連会社WINWIN YJVなどの「リテール事業」を加え、消費者との直接接点を拡大していく。


資本効率の向上と積極還元で、株主価値の最大化にコミット
同社は資本効率の向上と積極的な利益還元を重視し、株主還元の枠組みを大幅に強化している。近年の好調な業績を背景に、年間配当の大幅な増配を実施。さらに「中期経営計画2029」の期間中は、株主への姿勢をより明確に示すため、「40億円規模の自己株式取得」や「配当性向40%以上」を掲げ、総還元性向を「70%目途」とする方針へと大きく転換した。過去の実績と比較しても圧倒的な還元水準へと引き上げ、PBR1倍超えに向けた株主価値の最大化を図る。こうした継続的な利益還元の姿勢が市場からも評価され、株価は直近3年間で3倍近く上昇している。
安定的な配当の維持と資本効率の向上を高い次元で両立させ、株主との中長期的な信頼関係をより強固なものにしていく姿勢であり、東証スタンダード上場企業としての企業価値最大化へのコミットメントを明確にしている。
新たな投資サイクルへの突入と未来に向けた布石
2027年3月期は、売上高880億円、経常利益50億円を定量目標として据えている。新中計の初年度として、将来の成長に向けた先行投資や事業基盤の強化を積極的に推進する方針だ。直近の第1四半期決算では、こうした未来に向けた投資負担や季節的・構造的要因により減益となったものの、売上高は前年同期比で増加した。
この短期的な減益は、あくまで「中期経営計画2029」の最終年度目標を確実に達成するための「戦略的投資」と位置づけられている。不確実性の高い外部環境を乗り越え、持続可能な循環型企業へ変革を遂げる同社の未来志向の決断といえるだろう。
【お問い合わせ先】
株式会社ヤギ 経営企画部
〒540-8860
大阪市中央区久太郎町2丁目2番8号
https://www.yaginet.co.jp
※この記事は2026年10月25日発行のジャパニーズ インベスター131号に掲載されたものです。
