注目度高まる外国人留学生市場で確固たる地位を築く広告会社――株式会社アクセスグループ・ホールディングス 代表取締役社長 木村 勇也
株式会社アクセスグループ・ホールディングス
証券コード 7042/JASDAQスタンダード
代表取締役社長 木村 勇也
Yuya Kimura

参入障壁が高い分野で、プロモーション事業から採用広報、学校広報まで、幅広く事業を展開し、着実にシェアを伸ばしているのがアクセスグループ・ホールディングスだ。事業の拡大を推し進める木村勇也社長に強みと今後の成長戦略を聞いた。
取材・文/大西 洋平 写真撮影/和田 佳久
専門特化した3つの事業で広報・広告サービスを展開
──まずは御社の事業概要についてご説明をお願いします。
木村 当社グループは、プロモーション、採用広報、学校広報という3つのフィールドでビジネスを展開しています。プロモーション事業では住宅やケーブルテレビ、アパレル、旅行、自動車販売など幅広い業界においてセールスプロモーションに特化したサービスを提供しています。クライアントが販促したい商品・サービスをターゲット層に直接アプローチするダイレクトプロモーションを得意としており、パンフレット、ウェブサイトなどの販促物の制作、印刷、DM等の発送代行を行っています。このほか、イベントの企画・開催やキャンペーン事務局の運営、顧客・会員データの管理など、プロモーションに付随するさまざまな業務も手掛けています。
採用広報事業では、就活生や若手社会人向けの合同企業説明会や就職情報サイトの企画・運営、各種広報物の制作、採用業務の一部代行に至るまで、クライアント企業の採用活動全般を包括的にサポートする事業を展開しています。
学校広報事業では、教育機関の学生募集に関わる広報業務を総合的にサポートしています。具体的には、受験生や外国人留学生向けの合同進学説明会の開催やウェブサイト上での情報提供を展開しています。加えて、ウェブやパンフレットによる学校案内の企画・制作や進学イベントなどの運営代行、ウェブ出願システムなどといった学校運営支援業務も行っています。

ニッチ分野を開拓し拡大中の外国人留学生市場で圧倒的なシェアを獲得
──3つの主力事業にはどのような関連性があるのでしょうか?
木村 当社グループは、1982年に創業者が主要な大学と協働して、大学4年生向けにプロモーションを始めたことに端を発しています。今では一般消費者向けのプロモーションが主軸ですが、当時は、スーツや晴れ着・袴、卒業旅行などの情報を中心に扱っていました。
そして、このノウハウを活かして、就活生への企業情報の発信を開始(採用広報事業)するとともに、就活イベントを多数開催するようになりました。また、大学との協力関係が一層深まったことから、その後、入試広報分野である学生募集プロモーション(学校広報事業)へ本格参入し、今の3事業体制が出来上がりました。その結果、学生の入学から在学中、卒業まで一貫して学校とお付き合いするようになっていったわけです
学校広報事業にとって転機となったのは、2000年に開始した新聞の見開き広告です。多くの大学・専門学校から掲載料をいただき一覧で掲載する企画で、請求された学校案内を一括して発送するサービスを開始したところ、抜群の広告効果を発揮しました。これが学校からの評判を呼び、取引校数を大幅に増やすことに至りました。この学校取引の網羅性が、競合にとっての参入障壁ともなっています。
こうした背景から、「進学」「就職」を通じた大学などの学校との幅広い連携が私たちの経営資源であり、強みとなっています。当社グループは出展・出稿型の企画商品の豊富な実績を有し、それを足掛かりにした受託型案件も多数手がけています。
――御社が現在力を入れているのはどんなビジネスですか?
木村 外国人留学生市場が当社グループにとっての成長フィールドであると捉えています。日本の人口減少やグローバル化に伴い、日本企業の間でも外国人留学生を積極的に採用する気運が高まっています。また、海外から日本に留学する学生の数は着実に増加していますし、そのまま日本で就職する人も急増しています。ベトナムをはじめとする東南アジアやネパールなど、アジア諸国からやってきた留学生の多くは、日本で働くことに憧れているようです。
すでに当社グループは、国が認定する日本語学校の95%以上と連携し、最大規模で日本語学校向けのイベントを開催しています。こうした信頼関係を背景に、外国人募集ツールの制作や、官公庁、自治体からの国際交流事業も増えてきています。
当社グループは日本語学校生向け市場において圧倒的なシェアを獲得していますが、今後はさらに手を広げ、進学、生活、日本企業への就職まで一貫してサポートしていきたいと考えています。「外国人留学生といえばアクセスグループ」を目指します。
人や社会のベストな未来を目指して事業に取り組む
――このタイミングでIPOを行った理由と株主還元についてのお考えを教えてください。
木村 かねてからIPOの検討は進めていたのですが、持ち株会社の下で各主力事業を分社化して専門性を高めるという組織再編を優先することにしました。そして、外国人留学生市場の拡大が顕在化してきたことから、さらなる飛躍をめざしてIPOを決断しました。株主還元につきましては、株主の皆様から末永く応援していただける関係を築きたいと考えておりますので、配当性向30%を目安に尽力してまいります。
当社グループは人生に関わる重要なフィールドで事業を展開していることから、「人や社会をベストな未来に導くために、心の通うメディアとコミュニケーションの場を創造する」という経営理念を掲げています。新しいプロモーション手法を取り入れつつ、イベントや人材紹介などのコミュニケーションの場も創出し続けていきたいと考えています。私たちのこうした取り組みに共感し、長期的な視点でご支援いただけましたら幸いです。