中小のオフィスコンサルタントとシステムサポートで一番の力を発揮――株式会社No.1代表取締役社長 辰已 崇之
株式会社No.1
証券コード 3562/JASDAQスタンダード
代表取締役社長
辰已 崇之 Takayuki Tatsumi
コピー機や複合機といったOA関連商品の販売に端を発し、顧客の様々な要望に応えていった結果、経営支援サービスやシステムサポート、さらに情報・防犯セキュリティ商品やソリューションの販売まで幅広く展開しているのがNo.1だ。同社は中小企業・個人事業主の経営支援でトップの座をめざす。
取材・文/大西 洋平 写真撮影/鈴木 康史
中小企業や個人事業主に包括的なサービスを提供
── 非常にユニークな社名ですが、その由来や御社グループのビジネスの概要について教えてください。
辰已 顧客満足度No.1をめざすという思いを込めた命名です。当社グループの経営理念は「日本の会社を元気にする一番の力へ」で、「皆様のNo.1ビジネスパートナー」との経営ビジョンを掲げています。私どもが展開している事業は、2つのセグメントに分類できます。
その1つがオフィスコンサルタント事業で、中小企業や個人事業主のあらゆるニーズに対応し、3つの商品・サービスを提供しています。まずOA関連商品の販売では、複合機(MFP=マルチ・ファンクション・プリンター)やビジネスフォンを取り扱っています。
そして、防犯セキュリティ商品や自社企画による情報セキュリティ商品、情報セキュリティソリューションも販売。経営支援サービスでは、ホームページ制作やパンフレットをはじめとする販促資材制作、店舗改装、販売イベントなどをワンストップで提供しています。さらに、お客様が抱える経営課題の解決のために、税理士、社会保険労務士、弁護士などと連携したソリューションサービスも展開しています。
2つ目のセグメントはシステムサポート事業で、各サービス拠点に「テクニカルコンシェルジュ」という専門スタッフを配し、当社グループで販売した機器の保守・メンテナンスなどを手掛けています。また、頻発しがちな情報システム関連のトラブルなどに、電話や遠隔リモート操作(VPN)、訪問によって対応するITサポートも展開しています。加えて、アスクル株式会社の代理店として、オフィス関連商品の注文販売業務を行っています。
──売上高が順調に拡大を続けていますが、御社グループの強みはどういったところにあるのでしょうか。
辰已 当社グループがお付き合いしている中小企業のオーナーや個人事業主は、本業に専念するのが精一杯で、なかなか他のことには手が回りません。まずはOA関連商品の販売やメンテナンスを通じて日頃から密に接していくうちに、お客様から様々な要望が寄せられ、それらに1つ1つお応えするかたちで、当社グループの展開するビジネスが多様化していきました。言い換えれば、お客様のニーズを反映した自社商品を企画できることが、私どもにとって大きな強みとなっています。
そして、販売した商品の保守・メンテナンスを自社で手掛けているので、密接なサービスを提供できます。販売促進のノウハウ提供や経営課題解決のサポートまで展開していることも、当社グループ独自の強みと言えるでしょう。しかも、私どもの商談相手はもっぱら企業オーナーや個人事業主です。このため、決裁スピードが速いという特徴があり、信頼を獲得できれば、他の商品やサービスもご利用いただける可能性が広がります。
拡大するニーズに応えるため人材育成や先行投資に注力
──御社グループのビジネスを取り巻く環境はいかがでしょうか。
辰已 当社グループにおけるOA関連商品販売は堅調に推移しているものの、複合機やビジネスフォンのマーケットが縮小傾向を示しているのは確かです。その一方で、ランサムウェアが猛威を振るっており、中小・零細企業の情報セキュリティ対策は重要な経営課題となっています。個人情報保護法の改正に伴い、全事業者が情報漏洩対策を進める必要が出ていることも追い風ですし、情報セキュリティ関連のマーケット自体はさらに拡大を続けていく見通しです。
防犯セキュリティ商品におきましても、今後は監視・モニタリングといった用途に加えて、マーケティング分野でのカメラ需要拡大が見込まれます。中小・零細企業の間では、経営者の高齢化に伴う第三者への事業承継の需要も拡大しています。これらのニーズに応えていくためにも、当社グループではお客様の経営課題を探るヒアリング能力をいっそう強化すべきです。併せて、経営課題の解決に向けた適切な提案を行えるソリューション力の強化も求められます。そこで、人材育成やソリューション力向上のために、経営資源を積極的に投じていく方針です。
── 先般発表された中期経営計画では、具体的にどのような目標を掲げ、どういった施策を推進する方針ですか。
辰已 今年6月開示の中期経営計画(2018年2月期~2020年2月期)では、当期間中に商品ラインナップの拡充と販売チャネルの拡大によって、2017年2月期実績で70億5,800万円の売上高を2022年2月期に100億円まで増大させることを目標としています。当計画最終年度の2020年2月期につきましては、売上高81億円、営業利益4億円、当期純利益2億5,900万円、ROE12.8%の達成をめざしています。
オフィスコンサルタント事業で具体的に進めていくのは、法人顧客を有する販売店・工事店とのアライアンス戦略や店舗ソリューションの展開を通じた新たなマーケットの開拓です。OA関連商品、情報セキュリティ商品、経営支援サービスでは、既存のマーケットでのさらなるシェア拡大を追求します。また、情報セキュリティ商品や防犯セキュリティ商品、経営支援サービスにおいてサービスの拡充に取り組んでいきます。
一方のシステムサポート事業では、日頃からお客様と接する機会が多いという利点を生かし、中古複合機という新たなマーケットを開拓していきます。既存のマーケットでも保守・メンテナンス、オフィス通販におけるシェア拡大、ITサポート推進、レンタルパソコン、設置工事内製化といったサービス拡充に注力します。