再生可能エネルギーの発電施設開発を通じて環境と地域に貢献──株式会社レノバ 代表取締役社長CEO 木南 陽介
株式会社レノバ
証券コード 9519/東証マザーズ
代表取締役社長CEO
木南 陽介 Yosuke Kiminami
再生可能エネルギーを利用した発電所の開発・運営を専業とするレノバ。再生可能エネルギーといえば、太陽光発電が広く知れ渡っているが、バイオマス発電や洋上風力発電などにもビジネスチャンスがあるという。木南社長に事業の現状と今後の展望を聞いた。
取材・文/岩切 徹(編集部)
再生可能エネルギー発電所の開発において確かな事業推進力を
──事業内容について教えてください。
木南 弊社では再生可能エネルギー発電所の開発・所有と、その発電所が生み出した電力を販売しています。
個々の発電所はSPC(特別目的会社)として弊社を含め複数社が共同出資を行います。その後、売電を開始して、順調な稼働が確認できてから、弊社の出資比率を上げて子会社化するという手法を取っています。
何故このような手法を取っているのかといえば、弊社が主導的な立場でより多くの開発案件を手掛けられるようにするためです。SPCを活用すれば、筆頭の出資者となれる範囲内でなるべく少額の出資に留めることができます。
再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)が成立した2012年以降、全国各地に再生可能エネルギーの発電所が建設されています。しかし、これらの発電所は開発着手から完成まで3~5年間を要します。また、弊社が手掛ける発電所の場合、総事業費も巨額で数十億円から数百億円にも上ります。このような規模で発電所開発を複数、同時並行で進めていくため、立ち上がり段階では持分のすべてを所有せず、資金の投資先を分散させているわけです。
──共同出資者にはどのような会社がいますか。
木南 共同出資者の多くは、弊社の事業パートナーである事業会社やメガバンク系列の金融機関などです。
再生可能エネルギーを使用したいという企業ニーズは強まっていますが、門外漢が発電事業を手掛けるにはリスクが高いのも事実です。発電所の建設は、用地の確保や地権者をはじめとした地元地域の方がたとの話し合い、発電量を推定するための調査など、売電開始に至るまでの長期間にわたります。また、それに伴い、事業の資金計画と調達も長期で複雑なプロセスを経ます。そこで、これら多くのプロセスについて専門家を数多く抱えるプロ集団である弊社が、開発可能な案件を探し出して開発を主導し、SPCへの出資者を募る形態をとっているわけです。
── 所有する発電設備を教えてください。
木南 現在のところ、売電収入の中心は大規模太陽光発電所です。発電所は全国7カ所にあり、合計141.5メガワットの発電設備容量があります。この他、バイオマス発電所(発電設備容量20 .5メガワット)が秋田県秋田市にあります。また、最大級の太陽光発電所(合計発電設備容量128.8メガワット)を岩手県軽米町に2カ所建設中(2019年に運転開始予定)です。
マルチ電源開発を推進し、資産・収入の倍増を見込む
──今後の成長戦略を教えてください。
木南 現在、弊社の発電所の構成は太陽光が先行しておりますが、今後はバイオマス、風力、地熱といった再生可能エネルギーに広げ、マルチ電源の開発を推進していきます。
バイオマス発電については、既に用地確保を見込んでいる案件が複数あります。現在計画している発電所の燃料としては、安定した調達が可能な輸入木材ペレットを中心に、地元の資源(国内材)を一部加えることを検討しています。
風力発電では、大規模な洋上風力発電所を計画しています。具体的には、秋田県由利本荘市の沖合に、発電設備容量で世界最大級となる約560メガワットの洋上風力発電所の設置を計画しており、今年3月に秋田県及び由利本荘市に対して各種調査の協力要請を行いました。こちらは順次開発を進めていきます。日本には陸上の風力発電所は既に数百カ所あります。しかし、洋上風力はこれから開発が本格化する分野であり、拡大余地は非常に大きいと考えています。
さらに、地熱発電についても調査が進み、既に井戸を掘っている地点が2カ所あります。規制緩和で、国立公園等の地下にも敷地外からの開発が可能となり、地熱発電の開発は期待できる状況です。この分野は競合も少なく、成功すれば果実も大きいと考えています。
──マルチ電源の開発により、どの程度の成長を見込んでいますか。
木南 現在建設中のものと近く建設開始する発電所が完成する3~5年後を目途として、現在約500億円である弊社の総資産は1,000億円規模に倍増する見込みです。同様に発電量、売電収入も倍増を見込んでいます。
さらに、現時点で詳細を開示できないことが心苦しいのですが、その後も続々と発電所の開発を計画しており、さらに総資産は拡大、売電収入も増加していくものと考えています。
── 株主還元については、どのようにお考えですか。
木南 当面は再生可能エネルギー事業の拡大のため、獲得した利益は拡大・再投資に活用したいと考えています。現在、弊社の発電構成は太陽光が主力ですが、今後、バイオマス発電や洋上風力発電へと電源のポートフォリオを拡大していく成長過程にあります。なかでも、バイオマス発電で多くの開発案件を抱えており、今は少しでも多くの資金を必要としています。投資家・株主様におかれましては、その点をご理解いただき、当面は企業成長に伴う株式価値の向上に期待していただきたいと考えています。
──最後に、投資家へ向けたメッセージをお願いします。
木南 政府は、水力を除いた再生可能エネルギー発電量を2030年には2013年比で4倍強にすると計画しており、市場開拓の余地は非常に大きいと考えています。弊社は再生可能エネルギーの専業企業として、長期的、かつ徹底的に再生可能エネルギーの拡大に努めてまいります。弊社への投資を通じ、再生可能エネルギーに対して一層の関心をお持ちいただければ幸いに存じます。